グロースハックとは?事例から成功手法まで5分で理解できる記事

グロースハックとは?事例から成功手法まで5分で理解できる記事

グロースハックとは何か、グロースハックと従来のマーケティングとの違い、グロースハックの事例・手法(AARRRモデル)グロースハック成功のポイントについて、Webコンサルタントの筆者が解説します。

5分程度で、グロースハックの全体像がつかめる内容となっています。

「グロースハック」という言葉は、一般にはまだ浸透していないですが、マーケティングの世界では非常に注目を集めている考え方です。

実際、有名IT企業の中にはグロースハックを活用して大きな成果を上げたところが誕生しています。

本記事を読むだけで、グロースハックの基礎知識から手法・グロースハック成功のポイントまで理解できるようになっているでしょう。ぜひ最後までお読みください。

グロースハックとは?

まずはグロースハックとは何かを説明します。

グロースハック(Growth hacking)という概念は、2010年にアメリカの起業家ショーン・エリスが考え出したものです。

エリスはまず、「グロースハッカー」というWebマーケティング担当者に関する新しい概念を定義しました。

エリスによると、「グロースハッカーとは、成長を自身のコンパスにしている人のこと。彼らは実現可能な成長への可能性を徹底的に精査し、成功を実現させる」と説明しています。

グロースハックでは、A/BテストKPI(Key Performance Indicator)の設定、コピーライティング、ユーザーインターフェース、ウェブサイトのユーザビリティなどあらゆるものを精査し、アクセス数や売り上げを増やすとともに、時には商品やサービスの開発にも関与して、企業の在り方そのものを進化させることを言います。

この施策を担う人が、グロースハッカーだと言えるでしょう。

グロースハッカーとは、スケールの大きなWebマーケターです。

そのグロースハッカーが行う仕事が「グロースハック」です。グロースハックの事例としては、現在も成長を続けるAirbnbやDropboxなどが挙げられます。(後にグロースハックの事例については詳しく紹介します。)

グロースハックではA/Bテスト、Googleアナリティクスのコホート分析、ファネル分析などが多用されるため、マーケティング分析力やJavaScriptなどのプログラミングの知識が求められます。

つまり、マーケターとエンジニアの両方の要素が必要だということです。

グロースハックのイメージ

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グロースハックと従来のマーケティングの違い

グロースハックと従来のマーケティングはどう違うのか?という疑問がよく挙げられます。この章では、グロースハックと従来のマーケティングの違いについて解説します。

従来のマーケティングでは、広告を出稿したり、SEOやアクセス解析を行います。もちろん、グロースハックでもこれらのことは行います。しかし、グロースハックでは、それらに加えて、「サービスに成長・拡散の仕組み」を入れることを行います。

例えば、instagramには、友達が自分をタグ付けできる機能があります。タグ付けされた人には通知が行き、普段はあまりinstagramを使わない人でも自然とinstagramを開いてしまいます。

このように、グロースハックでは、サービス自体に、ユーザーが使用・拡散するような「仕組み」を入れることができるかに重点を置いていることがグロースハックと従来のマーケティングとの違いです。

従来のマーケティングとグロースハックの違い解説画像

グロースハックの事例

この章では、具体的なグロースハックの事例を紹介します。非常に有名なグロースハックの事例なので、ぜひ知っておきましょう。

グロースハックの事例①:Airbnb

・写真をプロに依頼

Airbnbでは、サービス開始当初、創業者自らが家や物件の写真を撮っていたのですが、それをプロのカメラマンに依頼することにしたそうです。

プロのカメラマンが撮った写真により、ユーザー数の獲得に成功しました。

・Craigslist(クレイグリスト)と連携

Airbnbは、大手の地域情報コミュニティサイトCraigslistと連携させて、グロースハックに成功しました。

※Craigslist→不動産や求人情報、宿泊施設などを投稿できるコミュニティサイト

具体的には、Craigslistへ投稿すると、自動的にAirbnbにも投稿されるように仕組み化したのです。この事例はグロースハックの事例でもかなり有名となりました。

グロースハックの事例②:Dropbox

・徹底したA/Bテスト

ランディングページの最適化(LPO)や登録フォームの最適化(EFO)、画面の遷移など、非常に多くのA/Bテストを重ねてコンバージョン率(CVR)の改善を行ってきました。

従来のマーケティングの基本をまずは徹底しているというわけですね。

・紹介制(インセンティブ)を設けて登録ユーザーを増加

Dropboxを友達に紹介すれば、〇〇MBの容量を紹介者にプレゼントします!といったようなインセンティブを設けて、グロースハックに成功しました。

以上で紹介したグロースハックの事例以外にも、グロースハックには多くの事例がるので、興味がある人は「グロースハック 事例」などで調べてみるのもいいでしょう。

グロースハックの手法(AARRRモデル)

グロースハックの手法にはどのようなものがあるのでしょうか?

グロースハックを実現させるために注目されている手法が「フレームワーク」という分析ツールです。

この章では、グロースハックの手法における「フレームワーク」とは何か・そのフレームワークの1つである「AARRRモデル」とは何かについて解説します。

グロースハックの手法:フレームワークとは?

グロースハックにおけるフレームワークとは、グロースハックを成功に導くためによく使われるツールのことです。

なかでも有名なのが「AARRR(アー)」と呼ばれるフレームワークです。

AARRRは別名「スタートアップ・メトリクスモデル」と呼ばれ、名前の通りスタートアップ企業を成長させるために考え出されたグロースハックにおけるフレームワークです。

フレームワークを使うことで、客観的で合理的なグロースハックを行うことが可能になります。

グロースハックの手法:AARRRモデルとは?

AARRRモデルは、「Acquisition」「Activation」「Retention」「Referral」「Revenue」という5つのフェーズで構成されます。

AARRRモデルのイメージ

①Acquisition(ユーザー獲得)

Acquisitionとは「ユーザー獲得」フェーズです。

例えば、新しいWebサービスを立ち上げたばかりのとき、多くの人はその存在を知りません。

自分たちのWebサービスを広く知らしめ、実際に訪問してもらうことがAcquisitionのフェーズです。

②Activation(利用)

Activationとは「利用」フェーズです。

Webサービスを展開するサイトを訪問してもらったら次は実際に利用してもらうことが大切です。ユーザーに「会員登録」してもらえるとActivateはさらに進みます。

③Retention(継続)

Retentionとは「継続」フェーズです。

Activateしてもらったユーザーに継続して、できるだけ頻繁に、長く利用してもらうことを目指します。

④Referral(紹介)

Referralとは「紹介」フェーズです。

ユーザーに対して、友人や知人にWebサービスを紹介してもらうことを目指します。

⑤Revenue(収益化)

Revenueとは「収益化」フェーズです。

文字通り、ユーザーにできるだけ多くの収益につながる行動を取ってもらうことを目指します。

以上のそれぞれのフェーズでA/Bテスト、KPIの設定、ユーザーインターフェースの比較、ユーザビリティの改善をはじめ、さまざまな方法を実行し検証します。

その上で、フェーズごとの数字を常にチェックし、サービスの改善に努めるのがグロースハックの一般的な手法です。

グロースハックを成功させるデータ分析のポイント

グロースハックを成功させるにはデータ分析が必要です。

この章では、グロースハックにおけるデータ分析のポイントとデータ分析ツールをご紹介します。

グロースハックにおけるデータ収集・分析のポイント

グロースハックにおけるデータ収集ポイントの第一は、どんなデータが欲しいのかを明確にすることです。

例えば、先ほど紹介したAARRRモデルのRetention(継続)のフェーズで、ユーザーのリピート率が低いという場合、ユーザーの年齢別リピート率、職業別リピート率などのデータをできるだけ収集します。

ユーザーの行動を分析するのに役立つのが「コホート分析」と「ファネル分析」です。いずれもFacebookのグロースハックに使われ、大きな成果を上げたことで知られています。

コホート分析とは?

コホート分析とは、ユーザーを一定の条件や属性によってグループに分け、時間の経過に伴って、グループごとにどんな行動の変化があるかを分析するものです。

ファネル分析とは?

ファネル分析とは、AARRRモデルでいうと、顧客獲得から収益までの流れの中でどこに問題があるかを分析するものです。

ファネル分析を行うことで、ユーザーがサイトを訪れてからコンバージョンに至るまでの間に、どこで離脱してしまうのか、サイトの問題点を可視化することが可能になります。

グロースハックでよく使う解析ツール

グロースハックを行う上で欠かせないデータ分析のツールは、Googleアナリティクスです。

Googleアナリティクスには、グロースハックで最も重要とされるA/Bテストの機能が標準で備わっているので、対象となるWebページにタグを埋め込むことでA/Bテストの実施と詳細な分析を行うことができます。

コホート分析が簡単に行えます。

Googleアナリティクスのイメージ

また、グロースハックでは、Mixpanelという解析ツールもよく使われます。

Googleアナリティクスが一般的なWebサイトのアクセス解析に使われるのに対し、Mixpanelはユーザーの詳細な行動を分析したいときに活用されます。

ファネル分析が簡単に行えます。

Mixpanelのイメージ

発展途上のグロースハック、可能性は無限大

2010年に始まった比較的新しい概念であるグロースハックですが、すでにWebマーケティングの世界では常識となっています。

これまでにFacebook、Twitter、Airbnbといった有力新興企業が活用し、成長に寄与してきました。

グロースハックを実践するグロースハッカーは、マーケターとエンジニアの両方の要素を兼ね備えていることが大切です。

Webサイトの改善にとどまらず、商品やサービス、さらにはそれを提供する企業の進化に対しても貢献が期待されています。

グロースハックの概念が浸透するに従い、日本でも活躍の場を広げることでしょう。