スタートは予算ゼロ!65万人を動かした“おにぎりアクション”成功の秘訣とは?【無料動画講座つき(11/20まで)】

おにぎりの写真をSNSに投稿するだけで、アフリカ・アジアの子どもたちに給食が届く社会貢献活動「おにぎりアクション」。2015年にスタートし、今年で5年目。2018年には65万人もの人たちが参加するほどの規模となり、賛同の輪が広がっています。

「おにぎりアクション」は、特定非営利活動法人TABLE FOR TWO International(以下TFT)が実施している取り組みで、2017年には優れたデジタルマーケティング活動として、「第9回日本マーケティング大賞・奨励賞」、「アジア・マーケティング3.0アワード・大賞」を受賞。社会貢献活動としてだけではなく、ソーシャル・マーケティングの視点からも注目されています。

今回は、「おにぎりアクション」が成功した秘訣について、マーケティングを専門とする早稲田大学ビジネススクール(大学院経営管理研究科)の川上智子教授と共にお話を伺います。ソーシャル・マーケティングを成功させるために押さえておきたいポイントや実例についても語ってくださいました。

始まりは1枚のおにぎりの写真。「これだ!」という直感から

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(TABLE FOR TWO International CMO 大宮千絵さん)

――「おにぎりアクション」とは、そもそもどんなキャンペーンなのでしょうか?

大宮:おにぎりの写真にハッシュタグ、「#OnigiriAction」を付けて投稿するだけで、社会貢献できる取り組みです。1投稿につき100円が協賛企業から寄付されて、TFTを通じてアフリカ・アジアの子どもたちに給食が5食届く仕組みになっています。

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投稿者は手軽に社会貢献活動ができ、アフリカ・アジアの子どもたちは給食が食べられるようになる。また、協賛企業は商品の認知やブランドイメージの向上にもつながります。おにぎりという身近な食べものを通じて、少しだけ世界を良くしていくことができるプロジェクトなんです。

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――「おにぎり」という身近な食べものを通して手軽に社会貢献活動ができるようになっているんですね。大宮さんが「おにぎりアクション」を始めるまでの経緯を教えてください。

大宮:TFT設立9年目の2015年に入社しました。現在はCMOとしてマーケティングをメインに広報や新規事業なども行っているのですが、その頃は、TFTとして新しい施策を期待されていた時期だったんです。

それで、新しい施策を考えているときに、イタリアで実施された和食イベントの活動報告の写真を見る機会があり、その中にみんなでおにぎりを運んでいる写真があって、「これだ!」と。そのおにぎりの写真だけ温度感が違うように感じて。実際の写真、ちょっと見てください。

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写真提供:Peace Kitchen

――確かに温かみを感じるいい写真ですね。

大宮:そこから、近しい人たちに「おにぎりがいいんじゃないか」と言ってみたところ反応が良く企業の方に話に行ってみよう、となりました。ひとまずいくつかの企業さんにプロジェクトの案をご相談しに伺ったところ、担当者の方が「いいですね」と言ってくれて。

ただ、接触頻度を増やさないと寄付にもならないし、認知にもならない。じゃあ、いかに自分たちの生活に近づけるか、ということをみんなで考えました。そこで、写真を投稿するというハードルを低いものにして、かつ全国で一斉におにぎりの写真を投稿する企画にしたら一体感が生まれるんじゃないかと。

――そうして「おにぎりアクション」が始まったんですね。ただ、1年目はSNSではなく、特設サイトから募集して、約5000枚のおにぎり写真が集まったんですよね。

大宮:そうなんです。とにかく、1年目は企画を成立させるだけで精一杯でした。世界中の日本人会の皆様にメールを送ったり、学校に協力をお願いしたり。とにかく、いろいろなところで「投稿してください!」とお願いしていました。

そして、2年目の企画を練るにあたって、初年度の参加者にもヒアリングをしたところ「SNSで参加できるようになったら、もっと良いのに」といった意見をいただいて。SNSで投稿を可能にしたところ、投稿が3日で1万枚以上にもなったんです。これがバズるということなのかと思いました(笑)。

シンプルなネーミングと知りたくなるようなハッシュタグで20倍に!

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(早稲田大学ビジネススクール教授・マーケティング国際研究所所長 川上智子教授)

――川上先生はマーケティングをご専門に研究されていらっしゃるんですよね。

川上:「マーケティング・ミックスの4つのP」の最初のPが「Product」なのですが、製品開発やイノベーションが専門で、新しい市場をマーケティングで作っていく流れを、社会人学生と留学生に教えています。また、将来のビジネスリーダーはどうあるべきか、例えば、経済性からの視点だけでなく、社会、環境人権などSDGs(持続可能な開発目標)を考えられるように、といった講義も行っているんです。

最近では、サステナブルマーケティングとブルーオーシャン戦略を中心に研究していて、10月9日に開催された「ワールドマーケティングサミット東京 2019」では、マーケティング界の世界的権威・フィリップ・コトラー教授やブランド論で有名なデビット・アーカー教授とも共演することができました。

――おにぎりアクションを知ったのはいつ頃ですか?

川上:2018年だから、最近なんです。私は株式会社オルタナ主催の、社会課題を起点としたビジネス創出の優秀事例を表彰する「グリーン・オーシャン大賞」の審査委員長を務めたのですが、そのときに「おにぎりアクション」が受賞されました。それがご縁で大宮さんとも知り合いました。

大宮:川上先生が審査委員長をされていて、同じ女性として「素敵だな」と感動して、ぜひお話ししたいと思ったんです。審査委員長の講評のときに、すごく楽しそうに話されていたのもとても印象的でした。

川上:それでお話しするようになって、その後、私から取材を申し込んで、「おにぎりアクション」に関するお話を聞かせていただいたんです。

――さまざまな賞を受賞するまでに注目されたのは、急成長した2年目のSNS展開がカギだったのではないかと思います。SNSで展開する際に工夫されたことを教えてください。

大宮:ネーミングです。特設サイトのみで参加を呼びかけていた1年目は、「おにぎりいただきますソーシャルアクション」という名前だったのですが、SNS展開する際、『おにぎりアクション』とシンプルに変えました。

ハッシュタグも「#おにぎりアクション」ではなく、パッと見てすぐにはわからないローマ字の表記の「#OnigiriAction」にしました。逆に知りたくなるようなハッシュタグにすることによって、「知っている人が知らない人に教える」といったSNS上での会話が自然発生的に生まれていったんです。

川上:素晴らしいですよね! 「おにぎりアクション」というキャンペーンが、勝手に動く仕組みになっている。協賛企業にも多様性があって、その中心におにぎりがある。おもしろい取り組みである上に、TFTと協賛企業がWin-Winの関係になっているんです。

さらに、参加者は、おにぎり写真を投稿するだけで社会貢献できるので、それぞれにメリットが生まれているんです。参加のハードルが低くて広がりがある。

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――その工夫が、初年度から比べて参加者数が20倍にもなった理由ですね。

大宮:参加してくださる方が増えたことはとても嬉しかったのですが、実は拡散されすぎて大変だったこともあったんです。予算は前年の特設サイトに投稿された5000枚をベースに考えていたので、数日で協賛金が尽きてしまって……。そこで、急きょ協賛企業に追加協賛をお願いしたり、クラウドファンディングを実施したりしました。

――予想以上の反響で、いろいろと奔走されたんですね。

大宮:「この動きを止めたくないです」と、さまざまな企業に「ご協力いただけないでしょうか」とお願いしました。だからこそ2017年に「日本マーケティング大賞」で奨励賞を受賞できたのかなと思います。協賛金が尽きた時点で止まってしまっていたら、受賞できなかったなと。

川上:新しくマーケットを作るのは大変で、くじけやすいですから。とにかく熱意が必要です。それがきちんと届いているかを検証するのが、KPIやKGIといった数字であって、届けるコンテンツを作り出す熱意が一番大切。最初は小さく始めて、2年目でさらに挑戦して。大体は計画通りにはいかないので、そのリカバリーを必死でやって、その次の年は、また違う方法を考える。この繰り返しこそがマーケティングなんです。

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アジア・マーケティング・アワード表彰式の様子

――今後はおにぎりアクションをどういった層に広げていきたいと考えていますか?

大宮:老若男女、多くの方が参加していただいている取り組みですが、やはりメインは主婦層だと思います。もっと多くの層に広げていくためにも、ビジネスパーソンの方たちにも「おにぎりアクション」の仕組みを知ってもらい、一緒に作っていく関係者を増やしていきたいです。

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(これまでのおにぎりアクションの投稿写真)

ソーシャル・マーケティングとは、 ストーリーを伝えること

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――そして、「おにぎりアクション」を実例として、ソーシャル・マーケティングについて学べるUdemy(ユーデミー)の動画講座が始まるそうですね。どういった内容なのでしょうか。

大宮:良い案があるのに予算がないという方でも、ファンを作って大きく広めていけるということを、川上先生のお話とともに、ノウハウとしてまとめた講座です。

ソーシャル・マーケティングとは何かという基本的なお話から、マーケターとしてのキャリアの中で浮かび上がってきた「メッセージング3原則」などの具体的なお話を交えて構成されています。「メッセージング3原則」は、「シンプル&何これ?」という驚きと、「wow!」という心を動かす感動、そして「ストーリー」です。どれがひとつが欠けてもダメで、その中でも非常に大切なのがストーリーです。きちんとしたストーリーがないと行動に移してもらえないし、自分ごと化してもらえない。「おにぎりアクション」では、ストーリーを通すということを大事にしてきました。

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川上:ストーリーは理論的にも大事だとわかってきているんです。ただの社会的貢献活動に消費者はお金を払わないんですよ。どういうときにお金を払うかというと、共感なんですよね。おにぎりアクションは、共感・ストーリーにフォーカスしてソーシャルな活動をしているんです。「SDGsって地球環境保護でしょ」というところで止まったり、悩んでいる人たちにとって、「おにぎりアクション」の成功例は、ひとつの答えになるんじゃないでしょうか。

大宮:また、川上先生のほかにも、日産セレナやJAL、ミツカン、福井県など協賛していただいている企業の担当者の方などをゲストに迎え、「ファン」を作る秘訣や、SNSと連動したリアルイベントで行った施策など、失敗談も交えた具体的な例を用いて詳しく解説しています。

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(Udemyは、米国法人Udemy,Inc.が運営する世界4,000万人が利用するオンライン学習プラットフォーム。最新のIT技術からビジネス、趣味まで幅広くオンラインで学ぶことができる。2015年からベネッセコーポレーションが日本における事業パートナーとして提携を開始している。)

――最後に、どんな方にこの講座を見てほしいですか?

大宮:予算がないけどたくさんの人に知ってもらいたい、という広報・マーケティング担当の方に見ていただけたらいいなと。マーケティングとかってお金がないとできないと思っている方も多いと思うんですけど、私たちも始めは、予算ゼロからのスタートでした。ストーリーやしっかり伝えたいことがあれば、やり方によってはきちんと伝わるし、賛同してくれる仲間もできるんです。「予算がない中で新規事業をやりたくて、広告もやりたい」という方には刺さるのではないかと思います。

川上:やっぱり経営者に見てもらいたいですね。「ソーシャルメディアって何?」と言わずに見ていただきたいです。「こういうのがSDGsだよ」ということが伝わるんじゃないかなと。現場のマーケターの方は苦労しているんですよ。良いアイデアがあってもなかなか通らない……というふうに。だから私は管理職の人たちに「おにぎりアクションに参加したいと部下が言ってきたら、あなたはどう答えますか?」と考えてもらっています。

大宮:若い世代が共感してくれても、社内では企画が通せないということはよくありますよね。そして今年も「おにぎりアクション2019」がスタートしています。おにぎりの写真を投稿するのは小さい一歩ですが、それが集まると大きなことができるんです。「アクション」というのは、「みんなで動いていこう」という意味合いでつけたので、参加してくださいというよりも、「一緒に作っていきましょう」と伝えたいですね。

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(おにぎりアクション2019特設サイトはこちら

実例をもとに学べるソーシャル・マーケティング講座

「おにぎりアクション2019」は、10月7日(月)から11月20日(水)まで開催。「#OnigiriAction」のハッシュタグを付けておにぎりの写真をSNSで投稿するだけで、手軽に社会貢献活動ができます。

「おにぎりアクション」がソーシャル・マーケティングとして大成功した理由について、今回のインタビューでも興味深いお話を聞くことができましたが、さらに深く学びたい方にはお二人が出演しているUdemyの講座の受講がおすすめです。

この講座は「おにぎりアクション」が開催されている11月20日まで期間限定で無料公開されています。(受講にはUdemyの無料会員登録が必要です。)