Dual AISASを活用して、ブランドの認知度とCVを効率良く上げる!

Dual AISASを活用して、ブランドの認知度とCVを効率良く上げる!

マーケティングを行う上で大切なことは、「ユーザーがどのような心理状態で購買や利用に至るのか」という流れを分析することです。分析をもとに仮説を立て、次の施策に活かすことが高いマーケティング効果を生み出します。
今回は、ゲーム会社でマーケティングを担当する筆者が、ユーザーの行動パターンをモデル化した「AISASモデル」と、新たに生み出された「Dual AISASモデル」についてご紹介します。
これを読めば、自社のマーケティングにDual AISASを活用できる知識が身につくでしょう。

AISASとは?

ユーザーの行動パターンモデルは、1つだけではありません。まずはAISASの基礎知識について、従来の「AIDMAモデル」と比較しながら説明します。

AISASの考え方

AISASとは、ネット上でのユーザーの行動をパターン化したモデルのことを指します。Attention(注意)、Interest(興味)、Search(検索)、Action(購買)、Share(共有)のこれらの頭文字を組み合わせたものが「AISAS」です。それぞれの段階について順を追って解説します。

  • 1)Attention(注意):商品やサービスを広告や口コミ、SNSなどで知る。
  • 2)Interest(興味):その商品やサービスに興味を持つ。
  • 3)Search(検索):インターネットで検索し、情報収集をする。
  • 4)Action(購買):商品購入、サービス利用をする。
  • 5)Share(共有):実際の感想を、SNSや口コミサイトなどでシェアする。

AIDMAとの違い

AISASが登場するはるか昔、1920年代に提唱された消費者の購買行動パターンであるAIDMAは、Attention(注意)、Interest(興味)までは一緒ですが、その後の流れが異なります。

  • 1)Attention(注意):商品やサービスを広告や口コミ、SNSなどで知る。
  • 2)Interest(興味):その商品やサービスに興味を持つ。
  • 3)Desire(欲求):その商品が欲しいと感じる。
  • 4)Motive(動機):販売実績や周りでの評価を知り、それが購買動機となる。
  • 5)Action(購買):商品購入、サービスを利用する。

AIDMAは現在に通じる購買行動パターンであり、マーケティングには欠かせない考え方の基本です。ネットの普及により、そこに「検索」と「共有」が追加されたものがAISASなのです。

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さらに進化したDual AISAS とは

ネットの影響を受けたAISASが誕生して10年がたち、更に新しいモデルが生まれています。その「Dual AISAS」というモデルについてご紹介します。

Dual AISASはなぜ生まれたか

なぜDual AISASという概念が生まれたのでしょうか?大きな要因は、インターネットと消費者の密接な関係です。AISASにもネット特有の「検索」や「共有」といったプロセスは組み込まれていますが、それだけではユーザーの行動予測や広告の効果測定が難しくなってきました。
例えば、広告によってリーチしたい層に対する認知度の向上やプロモーションの拡散はできたのに、肝心の商品購入に結びつかないといった、今までのAISASモデルでは説明がつかない事例が数多くあります。特に、ユーザーはSNSの共有から商品の存在を知ることが多くなったため、Attention(注意)のさらなる分析が必要とされています。

Dual AISASとは

そこで誕生したDual AISASは、従来型の「購買」が目的である「縦方向」のAISASモデルに、「広める」ことを目的とした「横向き」のAISASモデルが加わった消費行動モデルです。この横向きのAISASは、以下の要素で構成されています。

  • 1)Activate(起動):「広めたい」から「買いたい」への変化。
  • 2)Interest(興味):商品やサービスに興味を持つ。
  • 3)Share(共有):SNSで自分の気持ちなどを添えてシェアをする。
  • 4)Accept(受容):第三者が受け取る。
  • 5)Spread(拡散):拡散することで、また他者のネットワークに広がる。

dualaisas

興味・共有・需要・拡散という横向きの情報拡散モデルにいたユーザーの心理状態が、何らかのきっかけによって「広めたい」から「買いたい」へと変化し、購買を目的とした縦型のAISASモデルに流れ込むというのが、Dual AISASにおけるユーザーの流れです。

Dual AISASモデルの活用事例

実際に企業がどのようにDual AISASモデルを活用しているのか、その事例を紹介します。

「株式会社コメ兵」は、創業約70年の、総合型リユースストア。実店舗のみならず、Webからの買い取りサービスなど、リアルとWebを融合した施策に積極的に取り組んでいる企業です。そのコメ兵が1社提供で行っていたSNS連動TV番組『#モデる』がひとつの事例です。SNS連動番組の先駆けといえるでしょう。

関東における認知度アップと、ECサイトのアクセス数アップという2つの大きな課題を解決するために、Dual AISASモデルを活用したこのプロジェクトがスタートしました。
視聴者は、InstagramやTwitter、Facebookでお気に入りの全身コーディネートを#モデるのハッシュタグをつけて投稿。その中から選ばれた人の自宅に番組が訪れ、人気モデルが「着せ替えモデル」としてそのコーディネートを着たり、視聴者と人気モデルが一緒にファッションを楽しむという番組です。
実際に人気モデルに会うことができ、一緒に番組に出演できるというメリットが、視聴者と番組のエンゲージメントを深めています。

番組終了後には30秒のCMが流れますが、そこで使う素材は、視聴者から投稿された全身コーディネート写真です。ここでも一般の方とコメ兵が一緒にブランドを表現することで、エンゲージメントをさらに高めています。
一般的に、1社提供のタイムCMよりも、番組に関係なく放送されるスポットCMのほうがコストは下げられますが、ファッション好きが見る番組の後にCMを流すことで、より効率的にリーチしたい層に情報が届けられます。

また、番組連動企画であるプロジェクトサイト「Web #モデる」では、番組で選ばれなかった投稿者の中から、数名のコーディネートを選び、モデルのひと言を添えて紹介。

このように、複数の方法で企業と潜在顧客が接触することで、Dual AISASは機能しています。具体的には、写真のSNS投稿が「Activate」TV番組とCMが「Attention」であり、写真の投稿により横向きのA+ISAS (Activate+Interest、Share、Accept、Spread)の情報拡散を引き起こします。また、CMの素材として投稿写真を使うことで、視聴者とブランドのエンゲージメントが高まり、ここから縦向きのAISAS(サービスへの興味・検索・サービスの利用・SNSへのシェア)への流れが生まれます。

集客の流れをデザインする

情報過多の時代となり、ユーザーのAttention(関心)を引き寄せるために企業はあらゆる方法を模索しています。Dual AISASモデルを活用した『#モデる』の事例のように、ただユーザーの関心を集めるだけではなく、いかにそこから実利益に結びつく流れをデザインできるかが、これからのマーケターに必要な能力となっていくでしょう。