メタデータとは?データ管理に使えるメタデータの意味やメリットを解説!

メタデータとは?データ管理に使えるメタデータの意味やメリットを解説!

ファイルが増えれば増えるほど、その管理は煩雑になります。

そんな問題を解決するのが「メタデータ」です。個人のパソコンだけではなく公共のデータベースなど、メタデータが活用されているシーンは少なくありません。近年はデータサイエンスの分野でもメタデータの活用が目立っています。

この記事では、メタデータの概要や活用例、利用するメリットや課題などについて解説します。(2022年4月加筆修正)

メタデータとは?意味や具体例を解説!

メタデータとは、本体であるデータに関する付帯情報が記載されたデータです。「データのためのデータ」と説明されることもあります。 

コンピュータのファイルに関して使われることが多い言葉ですが、本来メタデータのコンセプトはファイルに限らず当てはまります。

例えば、ある一人の人間を対象とした場合、その本人が本体のデータだとすれば、性別や年齢、趣味や家族構成などが書かれた自己紹介カードはメタデータです。

コンピュータのファイルに関しては、多くの場合、自動的にメタデータが生成されます。どのような情報がメタデータとして記録されるかは、データの種類や作成方法、利用目的などによって異なります。

メタデータの種類!どんなものがある?

ファイルに付帯するメタデータには複数の種類があります。以下のような種類が代表的です。

  • 作成者、ユーザー名
  • 編集者
  • 作成日
  • 更新日
  • 保存場所
  • サイズ

メタデータはどこに入っている?

Wordファイル、Excelファイル、PDFファイルなど一般的なファイルには、作成者や更新日、サイズといったデータが「メタデータ」として付帯しています。

これらのメタデータを確認する際は、ファイルのアイコンを右クリックし、「プロパティ」を選択してください。 

メタデータのある場所

プロパティの「詳細」タブを選択すると、ファイルのメタデータが確認できます。

メタデータ確認

 

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メタデータでデータ管理をするメリットとは?

データ管理の領域では、さまざまなメリットからメタデータが活用されています。以下がメタデータの代表的なメリットです。

●データの品質が向上する

本体のデータに付帯情報が補填され、全体的なデータの品質が向上します。本体のデータとは別に表示されるため、確認の際に邪魔になることはありません。

●データの性質をさまざまな角度から分析できる

更新日、利用頻度といったメタデータからデータの重要性や性質を分析できます。膨大なデータの中から、「価値のあるデータ」を見つけ出すことも可能です。

●セキュリティが強化される

データの追跡、過去の所在把握のためにメタデータを活用することもできます。とりわけデータを確認・編集する人員が多い組織では、管理セキュリティの強化に寄与するでしょう。

●システムの開発・運用・保守に役立つ

メタデータによってデータの流れを管理でき、影響分析を正確に行えるようになります。メタデータの業務ルールや、データモデルなども管理しておけば、開発のライフサイクルの短縮も実現でき、開発から運用・保守まで幅広く活用が期待できます。

 

メタデータの活用事例

続いて、メタデータの具体的な活用事例をご紹介します。

データの検索

作成者、作成日時などメタデータを対象とした検索が可能です。大量にデータがある場合も任意のデータを容易に見つけ出せます。メタデータの活用法としては最も一般的です。

図書館での蔵書検索や、Web情報の検索にメタデータが活用されています。メタデータを対象にすれば、画像の検索も可能です。

異種・分散したデータの集約

特定条件のもと各所に分散したデータを集約できます。集約されたデータは、任意の場所に交換や統合しやすい形で格納されます。

環境省が整備を進めている「生物多様性センター」のクリアリングハウスはこの方法でメタデータを活用しているシステムの代表例です。

空間データの可視化

空間にメタデータを付与し、可視化するという取り組みが行われています。
近年は地図情報をデータで統合的に管理する地理情報システム(GIS)に注目が集まっており、災害時の状況把握などに役立てられています。

流通・配信データ

流通・配信するデータの制限や権利の確認にもメタデータが活用されており、例えばインターネットの閲覧を制限するフィルタリングでは、Webデータのメタデータが参照されます。さまざまなフォーマットをネットワーク上で一元管理するデジタルアセット管理(DAM)のシステムでも、各データにメタデータが登録されています。

 

AWSではインスタンスメタデータを管理できる

IaaSやSaaSを提供するAWS(Amazon Web Service)は、多くの企業でICTインフラとして利用されています。そんなAWSでは、仮想サーバーやストレージなどのインスタンスのメタデータを管理することが可能です。

  • インスタンスメタデータ:仮想サーバーなどのホスト名、イベント、セキュリティグループなどがまとめられたメタデータ
  • メタデータサービス:インスタンスメタデータを外部から参照するためのサービス

インスタンスメタデータとメタデータサービスを活用することで、例えば管理するサーバーのホスト名やIPアドレスの一覧表を作成したり、必要な時に必要な分だけのサーバーを作成したりすることがコマンド一つで行なえます。

このようなサーバー管理は非常に煩雑になりやすく、しっかりと管理しておかなければセキュリティ事故につながりかねません。システムの運用・管理においても、メタデータは非常に重要視されています。

 

メタデータの課題とは?

データの価値をさらに向上させるメタデータですが、現状はいくつかの課題が残されています。

取得に手間がかかるものがある

処理の過程で生成されるメタデータは自動で取得できますが、その一方で人間が取得しなければならないメタデータもあります。
ビジネスにおいて有用性が高いメタデータは、基本的に人間による定義づけや取得作業など手間がかかります。

今後は自動で取得できるデータの網羅率が向上していく見込みです。

データの種類が多い

メタデータとして記録できる情報は多岐にわたります。
いたずらに取り扱うメタデータを増やすと、全体像を把握できないことも少なくありません。
また、そもそも活用が難しいメタデータが増えてしまう可能性もあります。

この課題は、取り扱うメタデータに関してルールを設けることである程度回避できます。

 

【注意したいメタデータ】画像データに含まれるExif

上述したとおり、画像や写真、動画といったデータにもメタデータが付帯します。「Exif」と呼ばれるこうしたメタデータはファイルの管理に役立てられますが、ファイルを公にアップロードする際には注意が必要です。Exifには、撮影日時や位置情報などの個人情報も含まれます。

スマートフォンの普及により写真撮影や動画撮影が簡単になり、ブログやSNSなどファイルをシェアできる環境も増えてきています。一方で、こうした場所にファイルにExifが含まれるファイルをアップロードし、自ら個人情報を拡散してしまう例も少なくありません。

Windowsではファイルを右クリックし、「プロパティ」から「詳細」のタブを選択するとExifを確認できます。

Exifの確認
個人情報の記載

撮影者や撮影日時、位置情報など個人情報が記載されていることがわかります。

メタデータは、削除することも可能であるため、ファイルをそのままアップロードする際にはメタデータの削除も検討するとよいでしょう。

 

「データのためのデータ」であるメタデータは、デジタル社会においてデジタルデータをより活用しやすく、管理しやすくするために活用されます。私たちが意識していない部分でもメタデータが活用されているケースも多く、メタデータについて理解を深めるとよりデータを活用できるようになるでしょう。