R言語とは?統計解析をするならPythonとどちらがおすすめ?

R言語とは?統計解析をするならPythonとどちらがおすすめ?

『R言語』とは、統計解析やグラフィック分野に特化しているプログラミング言語です。現在、AI技術が非常に注目を集めていますが、R言語は人工知能の分野でも頻繁に使われるため、実際に興味を持っている方もいるのではないでしょうか。そこで、今回はR言語の概要やインストール方法、サンプルコードをご紹介します。

R言語とは?

R言語とは、前身となったS言語やSchemeという言語の影響を受けて開発された、統計解析のために作られた言語です。

近年、医療やビジネスで統計学が注目されていくにつれ、重要性が高まっています。

R言語は、世界規模の集合知に支えられたフリーソフトウェアで、ベクトル(リスト)処理という仕組みを持つことで、柔軟なデータ処理を実現しています。

また、データのグラフ化や図解化の機能が充実しており、環境の変化による影響が少ないため、統計実務での利用が広がっています。

 

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R言語が利用される職業や活用場面

R言語は、さまざまな職業で使われています。また、活用場面も非常に多いです。具体的な職業や活用場面について解説しますので、ぜひ参考にしてください。

R言語が活かせる職業

R言語が活かせる職業は、下記の5つです。

  • 機械学習エンジニア
  • データエンジニア
  • データサイエンティスト
  • データアナリスト
  • AIエンジニア

ここからは、それぞれの職業において、どのようにR言語が使用されているのか詳しく解説します。

プログラミングをしている人

◎機械学習エンジニア

機械学習エンジニアは、機械学習システムの実装や改修を担うSE(システムエンジニア)のことです。

機械学習は、膨大なデータからルールやパターンを発見して、分析する手法を意味します。

例えば、これを利用することで「ペットの表情から病気を予測するシステム」や、「カンニングの自動検知システム」などを構築することが可能です。

R言語には『dplyer』や『stringr』などの機械学習向けのパッケージが豊富に提供されています。そのため、機械学習システムを構築する際に、R言語が頻繁に採用されるので、機械学習エンジニアは、R言語が活かせる職業のひとつです。

◎データエンジニア

データエンジニアとは、データベース設計やシステムアーキテクチャスキルなどを活かし、ビジネスに活用できるデータを整理するための基礎基盤を構築したり、それを運用したりするSEです。主にデータの加工や分析基盤の設計・開発・運用などを行います。

近年においては、データエンジニアが機械学習システムの開発に携わる機会が増えています。統計分析が得意なR言語を使用する現場も多いため、活かせる職業のひとつになるでしょう。

◎データサイエンティスト

データサイエンティストとは、ビックデータなどから情報を分析し、企業にとって有益な情報を見つけ出すSEのことです。現在の日本では、システムを構築することからデータを活用する動きにシフトしているため、データサイエンティストが注目されるようになりました。

データサイエンティストは、統計解析やデータ分析が仕事になるため、それを得意とするR言語が頻繁に使用されます。

◎データアナリスト

データアナリストは、膨大な情報から収集されたデータを分析するエンジニアのことです。データ分析や課題解決の提案なども仕事内容に含まれます。

R言語は、データ解析に特化したプログラミング言語です。そのため、データアナリストの業務で、R言語やPythonを使う機会は多く、実際の現場でも使用されています。

データの収集

◎AIエンジニア

AIエンジニアは、人工知能システムの設計・開発・運用を担うシステムエンジニアです。AI分野に特化しており、一般的にプログラミング分野と、アナリティクス分野に分類されます。先端IT人材に含まれるため、需要が高く求人案件でもよく見かける職業です。

R言語は、AIとの相性がいいプログラミング言語になります。例えば、AIエンジニアに求められるプログラミング言語として、R言語が紹介されることも多いです。そのため、AIエンジニアを目指す方は覚えておいて損はないでしょう。

R言語の活用場面

R言語が頻繁に活用される場面は、下記の3つです。

  • 統計解析データ作成
  • ベクトル処理
  • グラフ制作

ここからは、それぞれの場面について詳しく解説します。

◎統計解析データ作成

R言語は、プログラムの再利用性に優れています。また、グラフのフォーマットを細かく設定することができるため、統計解析データの作成がしやすいです。そのため、R言語が活用されやすくなっています。

◎ベクトル処理

R言語には、数値データのみで構成されるベクトルに対してさまざまな関数が提供されています。例えば、sum関数を使用すれば、ベクトルの合計を算出することができたり、mean関数を利用すればベクトルの引数を求められたりするのです。

このように、ベクトルのための関数が豊富に用意されているため、R言語が活用されやすくなっています。

◎グラフ制作

R言語は、統計解析に特化した言語になります。そのため、グラフの描画に関するオプションが豊富に用意されているのです。

例えば、R言語でグラフを表示させるときには、barplot関数が有名で、barplot関数のbesideオプションを利用すれば、棒グラフを横に並べるように指定できます。また、R言語のplot関数を使えば、散布図と折れ線グラフを実現することも可能です。

このように、関数やオプションが豊富に用意されているので、グラフ作成の際にR言語がよく使われます。

 

R言語でできること

R言語は、さまざまな職業や場面で使われますが、R言語をどのように使用すれば、具体的にどんなことが実現できるのでしょうか。ここからは、R言語でできることについて詳しく解説します。

統計解析

R言語は、統計解析に最も適しているプログラミング言語です。その理由は、データの解析や、それをグラフで出力することに優れているためです。また、R言語は世界中の研究者によって開発された統計解析のパッケージを利用できることや、新しい研究で導入されている解析手法を手軽に使える点でもR言語が適している理由です。

機械学習

機械学習は、膨大なデータからルールやパターンを発見するための手法になるため、統計解析が重要な部分を占めます。統計解析はR言語がもっとも得意とする分野であり、機械学習はそれに深く関わるため、R言語と切り離すことができない存在といえるでしょう。

データの可視化

活用場面でも紹介しましたが、R言語はグラフ作成に適した特徴を持ちます。グラフが作成できる関数が数多く提供されており、データを分かりやすく示せるところが大きな魅力になります。

データの可視化

統計的推定・検定

推測統計とは、大きな集団から一部の数値を抜き取り、その性質を基に、全体の特徴を推測して、その結果が正しいかどうかを判断する統計を意味します。R言語には、相関係数を出力するcor関数などがあり、容易に検定することが可能です。

そのほかにも標本平均を示すことができるmean関数、不偏分散を表すvar関数などがあり、R言語を使用すれば、統計的推定や検定が行いやすくなります。

 

R言語とPythonの特徴を比較

Pythonは、R言語と同様に、統計解析を得意とするプログラミング言語です。そのため、違いについて気になる方も少なくありません。それぞれの言語を比較するためには、特徴を把握するのがおすすめです。

どちらも解説サイトや参考書が豊富にあるという点では共通していますが、それぞれの特徴を見ていきましょう。

まず、R言語の特徴を具体的にチェックしてきましょう。

  • オープンソースのため、手軽に入手することができる
    =手軽に利用し始めることができる
  • マルチプラットホームのため、環境の制限を気にしなくてすむ
  • 統計解析のために作られた言語のため、統計関係の利用には抜群の威力を発揮する
  • 描画(グラフ作成)機能に優れている
  • SASやSPSSなどのプログラミング言語にも対応している
  • 関数を自作することができる
    =使い勝手を自ら改善していくことができる

一方、Pythonの特徴には、下記のようなものが挙げられます。

  • 可動性が高いため、開発スピードを上げやすい
  • 汎用性に優れているため、少ない行数で記述することができる
  • ライブラリが豊富
    =幅広い機能の実現が容易
  • 人工知能や深層学習の分野で注目されている
  • 統合開発環境で動作確認が容易

Pythonについてさらに詳しく知りたい人は、「Pythonでできることは?機械学習から業務効率化まで初心者向けに解説」をご参照ください。

両者の目的はデータ分析であり、一見大きな違いがないように見えます。しかし、言語を使用しているユーザーが異なり、R言語は、研究者が多く利用しているのに対して、Pythonはプログラマやエンジニアが大半を占めます。また、Pythonは処理速度や汎用性の高さに強みを持つのに対して、R言語は可視化を得意とする言語です。

R言語はどんな人におすすめ?

R言語の学習を検討している人の中には、自分が習得すべき言語なのか迷われている方も少なくないでしょう。具体的にどのような人におすすめの言語なのか解説しますので、ぜひ参考にしてください。

分析が得意・好きである人物

R言語は、分析が得意な人や楽しさを感じる人におすすめです。

分析に対して強みを持つ言語であるため、習得することでさらに分析能力を高めたり、面白みを感じられたりします。また、分析が好きな人の中には、データサイエンティストなどを目指す方もいるため、覚えておくと将来的にR言語の知識が役立つ可能性あります。

Excelユーザー

ExcelユーザーがR言語を習得することで、セルの計算がより効率的に行えるようになります。また、変数単位で扱うため、関数の貼り付けミスなどが発生する心配がありません。さらに、Excelよりも高性能なグラフを作成できるなど、メリットがたくさんあるので、Excelを普段から利用する人が覚えれば、多くの魅力を感じられるでしょう。

AIに興味がある人物

人工知能の分野は、非常に注目を集めており、実際に興味がある人は多いのではないでしょうか。AIには、機械学習が内包されており、それと統計解析は非常に関連性が高いので、R言語の知識がAIにも活かせられる可能性があります。そのため、覚えておくと役立つ場面が出てくるので習得するのがおすすめです。

 

【R言語入門】インストールして動かしてみよう

R言語のインストール方法ですが、こちらからR言語をダウンロードしてください。

R言語のインストール画面

「Download and Install R」から、自分の利用OS(Windows、Mac、Linuxのいずれか)に合ったパッケージをダウンロードします。

ダウンロードが完了しましたら、インストーラの指示に従ってコマンドを入力し、インストールしてください。すぐに使えるようになります。

なお、R言語は頻繁にバージョンアップします。

インストールには最新のバージョンを使い、インストール後はこまめにアップデート情報を見るようにしましょう。

また、日本語でインストール手順の解説が読みたい場合は、ネット上で検索し、できるだけ日付の新しいサイトの記事を参考にするのもよいでしょう。

R言語のサンプルコード

R言語には、標準でサンプルコードが提供されています。代表的なサンプルコードを3つご紹介しますので、そこから仕様などをご確認ください。

◎AirPassengers

AirPassengersは、1946年〜1960年の国際線における旅行客数の1ヶ月ごとの合計です。

◎Bjsales

Bjsalesは先行指標付けの売上データを表示するサンプルコードです。150の観測が含まれています。

◎BOD

BODは生物化学的酸素要求量を表すサンプルコードです。

 

今回は、R言語の基本概要やインストール方法、サンプルデータについて解説しました。

R言語は、統計解析を得意としており、人工知能の分野でも広く使われています。また、グラフ作成に関するオプションが豊富でソースコードの再利用性にも優れている言語です。

AIに興味がある人やExcelユーザー、分析が得意な方が習得すれば、活用できる場面は多いので、この機会に学習を検討してみてはいかがでしょうか。