プロンプトエンジニアは、テキストや画像などを生成するAIに対して、高品質のコンテンツが生成されるように命令を出すエンジニアのことです。ChatGPTやMidjourneyなどのAIサービスが登場し、プロンプトエンジニアの需要は非常に高まっています。今回は、プロンプトエンジニアの概要や求められるスキルなどについて詳しく解説しますので、興味のある方はぜひ参考にしてください。
公開日:2023年5月9日
プロンプトエンジニアとは?
プロンプトエンジニアとは、テキストなどを生成するAIに対して人間がイメージしているコンテンツを適切に回答できるように命令を出すエンジニアのことです。AI調教師やAIウィスパーラーと表現されることもあります。
基本的に、ChatGPTなどに尋ねるときは誰でもスムーズに行えます。簡単な質問であれば、一文で『〇〇を教えてください。』と入力すれば十分です。しかし、高品質なコンテンツをAIから得られるかどうかはわかりません。想定していた答えとかけ離れたものが返ってきたり、話がずれていたりするケースは珍しくないのです。
プロンプトエンジニアリングは、AIから返ってくるコンテンツの質を上げるために行われ、それを担うのがプロンプトエンジニアになります。
近年、ChatGPTなどの生成型AIツールが急速に普及しており、それと同時にプロンプトエンジニアの需要は飛躍的に向上しています。主に、Webサイトやコンテンツ制作、翻訳などの分野で必要とされる職種であり、今後は市場の拡大が予想されている職業です。
プロンプトはAIの動作を支持するコマンドのこと
プロンプトとは、コンテンツ生成AIに指示を出す命令文のことです。具体的には、指示文の定義や出力形式の指定を行います。例えば、ChatGPTを使用する場合のプロンプトは、チャットボットに対して送るメッセージです。『プロンプトとは何ですか?』というテキストを使用するだけでなく、冒頭で定義したり、詳細な解説を伝えたりします。
AIから生成したい回答や目的によって命令文の形式は異なるのが一般的です。そのため、プロンプトエンジニアが最適な命令文の形式を探し、AIから適切な回答が得られるように努めます。
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プロンプトエンジニアとしてスムーズに業務をこなすためには、さまざまなスキルが求められます。具体的なスキルは、テクノロジースキル、文章力・言語能力の2つです。
テクノロジーのスキル
プロンプトエンジニアになるためには、自然言語処理をはじめとするテクノロジーに関するスキルが必要です。自然言語処理は、人間が普段から使用する自然言語をコンピューターが理解したり、処理したりすることを意味します。テキストデータを解析するための手法のことで、簡単にいえば、人間とコンピューターが対話するための技術です。
自然言語処理を使用することで、コンピューターはテキストから感情を読み取ることができます。また、テキストから重要な言葉を抽出したり、文章を自動翻訳したりすることが可能です。そのほかにもテキストの要約などさまざまなことができます。
そして、自然言語処理を学ぶことで、コンピューターとの対話がスムーズになったり、大量のテキストデータを処理できたりします。そのため、プロンプトエンジニアになるためには必須のスキルといえるでしょう。
しかし、プロンプトエンジニアはITエンジニアとは異なり開発経験が求められるわけではありません。プログラミング言語やフレームワークへの理解、ネットワークなどの知識が必要というわけではないため、そのような知見がない人でもプロンプトエンジニアを目指すことができます。
文章力・言語能力
プロンプトエンジニアになるためには、文章力や言語能力が必要です。
コンテンツ生成AIは非常に優れた能力を持ち、私たちの生活を豊かにしてくれます。しかし、AIから生成される文章の定量的な判断は容易ではありません。生成されたコンテンツの領域に対して十分な知見や文章力が求められます。そのため、AIが生成したコンテンツをうまく活かせるかどうかは、人間の言語能力に依存するのです。
また、プロンプトはシンプルな文章よりも再利用可能で簡潔な文章のほうが命令文として適しているといわれています。言語的な表現の豊かさが質の高いプロンプトを作れるため、ライターやコンテンツマーケターとして活躍していた方が転身すると今までの経験を活かすことが可能です。
また、プロンプトエンジニアには英語力が求められます。例えば、ChatGPTなどのAIに日本語でプロンプトを作成したとしても一回英語に翻訳されます。そのため、日本語で作成した場合、意図とは違うコンテンツが生成されるケースも珍しくありません。日本語よりも英語で指示したほうが適切な回答を得やすいため、プロンプトエンジニアには英語能力も求められます。
プロンプトエンジニアの需要は今後も高まる見込み
ChatGPTなどのAIサービスが近年人気を集めており、公的機関や民間などさまざまなところで導入が進められています。これにより、プロンプトエンジニアの需要も同時に高まる見込みです。
プロンプトエンジニアの需要の高まりは、業界の動向からわかります。ブルームバーグによるとAIの安全性と研究を行うAnthropic社は、プロンプトエンジニアを最高 33万5000ドルで募集していることを伝えています。Anthropic社はGoogleが支援を行う人工知能技術の開発・研究を実施している企業です。33万5000ドルを日本円に換算すると4,500万円程度となり、いかに市場価値が高いかを知ることができます。
また、ChatGPTを開発した米国のOpenAI社CEO、サム・アルトマン氏はプロンプトエンジニアの必要性を訴えており、プロンプトエンジニアが今後の社会で重要な役割を果たすことが予想できます。しかし、人工知能の分野はとても変化が激しいため、長期的な需要は不透明となっています。
プロンプトエンジニアリングを体験してみよう
最後に、プロンプトエンジニアリングを体験してみましょう。ChatGPTを使用して成果物を生成する手順を詳しく解説します。
ChatGPTにアクセス
はじめに、ChatGPTにアクセスします。以下の手順に従ってアカウントを作成してください。
1.下記のChatGPTの公式サイトにアクセスします。
https://chat.openai.com/
2.アカウントを作成したことがない人は、『Sign up』をクリックしてください。もし、アカウントを保有しているなら『Log in』からアクセスできます。
3.メールアドレスを入力し、『Continue』ボタンをクリックします。GoogleもしくはMicrosoftアカウントをお持ちの方は、画面下部からアカウント作成することも可能です。
4.次にパスワードを入力します。
5. メールを確認し、『Verify email address』をクリックしてください。
6.名前と誕生日を入力します。
7.電話番号を入力し、認証を行えばアカウントの作成が完了です。
プロンプト(指示コマンド)を送る
ChatGPTを使用して成果物を生成する手順を良い例、悪い例を交えながら解説します。
1.文章を1文で要約させる
はじめに、文章を一文で要約してもらうプロンプトの良い作成例を挙げます。実際のプロンプトは下記の通りです。
【プロンプト例】
### 指示 ###
以下の文章を1文でまとめてください:
文章:
Javaとは、オブジェクト指向プログラミングの一種で、日本では学習言語として使用されています。Webアプリケーション開発、モバイルアプリ開発などさまざまな分野で使用されている言語です。ポインターなどの概念がなく、初心者でも足を踏み入れやすい言語といえるでしょう。
【ChatGPTからの回答】
Javaはオブジェクト指向プログラミングの一種で、初心者でも足を踏み入れやすい言語であり、Webアプリケーション開発やモバイルアプリ開発など、多くの分野で使用されている。
2.プロンプトの良い例
また、下記のプロンプトはキーワードに対して説明をしてもらっている良い例です。
【プロンプト例】
# 命令書
あなたは、プロのシステムエンジニアです。Javaがどのようなプログラミング言語なのか説明してください。
# 制約条件
・400字以下で説明
・小学生でもわかりやすく
・箇条書きを一回入れる
# 入力文:
Javaについて説明してください。
【ChatGPTの回答例】
Javaは、コンピューターで動作するプログラムを開発するためのオブジェクト指向プログラミング言語です。以下のような特徴があります。
C++に似た構文を持ち、初心者でも比較的簡単に学ぶことができます。
オブジェクト指向の考え方に基づいており、プログラムを再利用しやすく、保守性に優れたプログラムを開発することができます。
プラットフォームに依存しないプログラムを開発することができるため、WindowsやMacなどの異なるOSでも同じプログラムを使うことができます。
Webアプリケーション開発やモバイルアプリ開発、組み込みシステムなど、幅広い分野で使用されています。
Javaは、世界中で広く使われるプログラミング言語の一つであり、初心者からプロまで幅広い人々に利用されています。
3.プロンプトの悪い例
次に、プロンプトの悪い例を示します。
【プロンプト例】
関数を生成してください。
【ChatGPTの回答例】
例: 2つの数値を引数として受け取り、それらを足した結果を返す関数を作成する。
python
Copy code
def add_numbers(a, b):
result = a + b
return result
この関数を使う場合は、以下のように呼び出すことができます。
python
Copy code
x = add_numbers(3, 5)
print(x) # 8が表示される
プロンプト作成者は、C#での関数生成を想定していたにも関わらず、『関数を生成してください』という曖昧な表現を使用したため、ChatGPTからはPythonの関数が生成されました。このように、言葉足らずで曖昧な表現を使用しプロンプトを作成すると、想定していた成果物とは異なるものが生成されることがあります。
今回は、プロンプトエンジニアの概要や求められるスキル、今後の需要などについて解説しました。プロンプトエンジニアは、ITエンジニアのようにプログラミングスキルやネットワークに関する知識は求められないケースもありますが、自然言語処理に精通する必要があります。そのため、プロンプトエンジニアになりたいという方は、この機会に自然言語処理の知識を習得してみてはいかがでしょうか。
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