この記事では、プロダクトマネージャーという職種について、どのような仕事なのかを解説します。そもそもプロダクトとは何なのか、というところから、どのようなスキルが求められるのか、プロダクトマネージャーとプロダクトオーナーの違いは、といったトピックを取り上げます。
プロダクトマネージャーとはどんな役職?
プロダクトマネージャーとは、「市場の代弁者」であり、「プロダクトのライフサイクル全体を管理する、品質管理責任者」のことを指します。プロダクトマネージャーには、市場のニーズを分析し、それにマッチする製品やサービスのコンセプトを策定し、具体化のための企画や開発工程を主導する役割があります。また、価格設定や販売戦略も含めて、プロダクトの価値を最大化することをミッションとします。書籍やWeb上の記事などでは、Product Managerを略して、PDMと表記されることもあります。
プロダクトマネージャーが主管する、プロダクトマネジメントという領域については、“Product Management Triangle” という図がよく知られています。プロダクトマネージャーの仕事は、経験と知識を活用し、このトライアングルのバランスを取りながら、市場・顧客にプロダクトを届けることだと言えます。
なお、プロダクトマネージャーという役割は、あくまでプロダクトに対する責任者という意味であり、企業の職級、役職上のマネージャーではありません。プロダクトに紐づく職種としての名称です。
そもそもプロダクトとは?
プロダクトマネージャーは「プロダクトのライフサイクル全体を管理する、品質管理責任者」と定義しましたが、そもそもプロダクトとは何でしょうか? 広い意味では、企業が提供する製品、サービスすべてがプロダクトです。
例えば、自動車や食品、消費財といったモノはもちろん、ビジネスソフトウェアやスマートフォンのソーシャルゲームなどもプロダクトです。
近年、プロダクトとサービスの違いは曖昧になっています。例えば、冷蔵庫やオーブンレンジなどの家電はプロダクトですが、それらにレシピのおすすめ (レコメンド) 機能などのサービスが実装されるケースが増えています。逆に、「スマートホーム」というサービスを実現するために、AIスピーカーというプロダクトが提供されるケースもあります。
このように、プロダクトとサービスを厳密に分けることにあまり意味はありません。また、最近では「プロダクトのサービス化」ということが叫ばれるようになり、両者を組み合わせて「顧客体験 (CX)」「ユーザー体験 (UX)」という概念で論じることも増えてきました。
参考: 経済産業省「令和元年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業 我が国におけるサービスデザインの効果的な導⼊及び実践の在り⽅に関する調査研究報告書」
プロダクトオーナーとの違い
プロダクトマネージャーと似た言葉として、プロダクトオーナー (Product Owner; PDO) があります。簡潔に言えば、前述のようにプロダクトマネージャーは市場の代弁者ですが、プロダクトオーナーは開発チームの代弁者・責任者を指しています。プロダクトマネージャーが提起するコンセプトやアイディアを、どのようなリソースとスケジュールで実現するかを決定し、実行していくことがミッションです。
プロジェクトマネジメントにおいては、プロジェクトオーナーが意思決定権者で、プロジェクトマネージャーはその配下で現場を管理する立場ですが、プロダクトマネジメントにおいては、まったく立場が異なることに注意してください。
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それでは、プロダクトマネージャーの具体的なミッションを見てみましょう。ここでは、プロダクトのライフサイクルに対応する、4つのフェーズにおける仕事内容を紹介します。
①プロダクトの企画
モノにせよソフトウェアにせよ、新しいプロダクトを開発するには、市場のニーズを調査し、ユーザーを理解することと、それを踏まえたコンセプトを策定することが必要です。その上で、開発するプロダクトのビジョン、コンセプト、タスクと優先順位、マイルストーンを整理した、プロダクトロードマップと呼ばれるドキュメントを作成します。プロダクトロードマップには、主に以下の3つの機能があります。
- 開発チームに向けた、具体的なスケジュールや課題管理表としての機能
- ビジネスチームに向けた、新機能のリリースと連動するプロモーションの予定などが含まれた、マーケティングカレンダーとしての機能
- 経営層に向けた、期ごとのKPIと達成のための計画が示された、意思決定の材料としての機能
②プロダクトの開発
ロードマップを策定したら、それに沿って具体的な開発プロジェクトを進めます。このフェーズは、プロダクトオーナーが主導的に進めます。プロダクトマネージャーは、製品の目的や機能、訴求すべき実用性などをまとめた製品要件ドキュメントと呼ばれる文書を作成します。
③プロダクトのグロース
プロダクトが完成し、市場にリリースされたら、想定したターゲットに適切に認知されるよう、マーケティングを展開します。ここでは、ユーザーの動向をリアルタイムに、そして定量的に把握することが重要です。実際のマーケティング活動はビジネスチームが主導しますが、プロダクトマネージャーは、全体のコンセプトがブレないように統括します。
④プロダクトの撤退・終了
プロダクトマネージャーの仕事は、プロダクトを生み出し、成長させることだけではありません。成長のピークを越えた、あるいは期待した成果が得られなかったプロダクトの「引き際」を見定め、最適なタイミングで撤退・終了することも重要です。プロダクトをリリースして以降得られた、ユーザーの評価や実際の売上、投資対効果などを見極め、ビジネスチームや経営層と議論して、継続か撤退か、という判断を下します。
プロダクトマネージャーに必要なスキルとは?
ここまで、プロダクトマネージャーの位置づけと仕事内容を紹介してきました。実際に、プロダクトマネージャーとして活躍するためには、どのようなスキルが必要なのでしょうか。一般的には以下のスキルが求められます。
- 市場のニーズを捉え、的確なコンセプト・企画に落とし込むことのできる観察力、洞察力
- コンセプトを具体的なプロダクトとしてデザインできる発想力、プロトタイプとして実現できる開発スキル
- プロダクトオーナーや各チームと連携し、プロダクトの価値を高めることに意識を統一できるコミュニケーション力、マネジメント力
これらのスキル、能力をすべて高い次元で備えることは困難ですが、プロダクトマネージャーの業務を遂行するためには、自分の強みを生かし、不足した部分を補う必要があります。
Udemyでは、さまざまな学習リソースを用意しており、プロダクトマネージャーに必要なスキルを学べる研修が見つかります。必要に応じてUdemyを活用してスキルを高めていきましょう。
この記事では、プロダクトマネージャーという職種について、どのような仕事なのか、ということを紹介しました。市場のニーズを捉え、コンセプトやプロトタイプとして具現化し、役割の異なるチームを、プロダクトの価値を最大化するという方向に向けて主導していくことのできる、プロダクトマネージャーという仕事は魅力的で、今後ますます必要性の高まる人材であると言えるでしょう。
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