Linuxの資格の1つである「LPIC」を企業はどうとらえているのでしょうか。
「LPIC」の資格取得支援を行う2社に、社内におけるLPICの位置づけや活用法、LPIC取得によるメリットや今後チャレンジしようと考えている方へのメッセージを伺いました。
※今回の取材は、すべてオンラインで行い、使用している写真は後日提供いただいたものです。
Linux系の資格「LPIC」とは?
LPICは、Linux Professional Institute Certificationの略で、LPI認定資格とも呼ばれます。世界中で実施されているLinux技術者認定試験で、Linuxプロフェッショナル認定資格とも呼ばれています。現在は、カナダに本部を持つ「Linux Professional institute (LPI)」の日本支部が運営している資格です。
LPICは世界180か国以上で展開されており、入門者向けのEssentialsに加えて、レベル1からレベル3までの3つのグレードに分かれて実施されています。
LPICのレベルについて、詳しくは以下のページで紹介しています。
・Linux初心者におすすめ:Linux Essentials
・上級者におすすめ: LPIC-1, LPIC-2 ,LPIC-3
これからエンジニアを目指す人の中には、アプリケーション・OS・ハードウェアの何から学べばいいのかわからない人もいらっしゃるでしょう。その際におすすめなのが、アプリケーションやハードウェアを制御する「OS」部分。すべての中心になりますので、Linux系OSの知識を最初に勉強することで、これからIT業界を目指す方やSEとしてもう一歩前に進みたい方に役立つでしょう。
そんなLinux系の知識を身につけられる「LPIC」について、積極的に取得を推奨している2社にお話をお伺いしました。
今回、インタビューにご協力いただいたのは、2006年に創業し、システム開発・業務系WEBアプリケーション開発をメインに行う株式会社エーエルジェイ様(以下、回答はALJで表記)とシステム開発やインフラ構築・運用保守を行っている株式会社テイクス様(以下、回答はテイクスで表記)です。
未経験者の登竜門として活用
―早速ですが、皆様の会社では、LPICの資格をどのように位置づけているのでしょうか。
ALJ:当社が掲げるビジョンは「人口減少・少子高齢化問題を見据えた独自のビジネスモデル創出」です。その中で、多様性・世界化というキーワードは欠かせません。これはつまり、色々なジャンルの人が必要ということを意味しています。これを実現するためには、未経験者の方や他業種の方々を採用し、育てていかなければなりません。
未経験者の方を評価する指標としてわかりやすいのがLPICのような資格です。当社では入社後、1か月以内に取得を目指すように推奨しています。
テイクス:当社では、LPICを新卒や異業種から転職してくる若手の登竜門として位置づけています。LinuxというOSを学ぶことで、ITに必要な知識であるネットワークやセキュリティまで幅広く学べます。ラーニングシステム部では社内研修として資格合格をゴールとしたオリジナルの研修を行っています。
少人数制のグループ研修ですので、個々の習熟度に合わせてサポートするため、ほとんどの受講者は短期間でLPICの習得をしています。
資格の有無は重要な判断材料に
―採用面や社内の評価制度などではLPICをどのように活用しているのでしょうか。
ALJ:LPICに限らず、資格の取得状況は、自分で調べたり、勤勉さが見えたり、前向きな姿勢と受け取れたりするという面があり、個人を理解するためにわかりやすいひとつの指標になると考えています。また、ミャンマーやインドネシアのような当社の海外拠点で働く外国人の中にも未経験者がいます。LPICは英語でも受験できますし、国際的に実施されている資格のため、同じ水準の品質を提供していくためにも、資格の有無が判断基準になることもあります。
評価制度の中にもLPICのレベル1から3までが組み込まれていますし、グループ会社のITスクールでフォローアップ・研修などを準備し、自分に合った勉強スタイルで資格取得を目指してもらっています。試用期間中に2回受検できるなど、会社としても、社員それぞれが勉強の仕方を選べるように準備・フォローアップしています。
テイクス:Linuxは、サーバ向けとして需要が高いOSです。特に若手社員のインフラエンジニアは、技術の底上げになり、アプリケーション開発エンジニアにも当然OSの習得は必要ですので、評価がされやすいと思います。そのため、社内ではグループ研修の他eラーニング研修や資格取得補助制度を導入しています。
採用面で言うと新卒・第二新卒などの若い方については実務経験がなくてもLPICの資格を持っていることで、ITエンジニアの基礎習得ができている証明や、向上心があると評価されたりすると思います。
―実際に、Linuxの知識があると、実務面ではどのように役立ちますか?
テイクス:弊社のエンジニアは、大規模なシステムを担当することが多く、当然それにかかわる企業や人も多く技術とともにコミュニケーションスキルが重要と考えています。
その中でLPICのスキルがあれば、新人であってもベテランエンジニアと技術要素のコミュニケーションがスムーズになります。
新人社員のLPICスキルは資格有無に関わらず、先輩社員がしっかりフォローをしてくれますが、LPICのスキルがあることにより、仕事の立ち上がりはより早く、スムーズです。
また、営業職の場合もお客様とのコミュニケーションにLinuxの知識を役立てるため、LPICの研修を受講するなど勉強をしています。
ALJ:開発系の案件に携わる中で、お客さまの要望をかなえる方法は、1つではありません。大切なのは、選択肢をいくつ用意できるかということだと思います。そのために、LPICなどの資格の勉強を通じて身につけた知識や経験が重要だと考えています。
どんなシステムを提供しているのかという知識を持ち、イメージできるという状態に加え、LPICの資格を持っていることで相手に安心感を与えることができ、ここではじめてスタートラインに立てるのではないでしょうか。実務がスタートしたら、ぜひ、お客さまのために資格を活かしてほしいですね。
未経験でもチャレンジしてほしい資格
―最後に、これからIT業界にチャレンジしてみようと考えている方、LPICの資格取得を目指す方へアドバイスをお願いします。
ALJ:自己学習の経験を活かして、スキルチェンジはどんどんしていっていいと思います。Linuxは手始めに学んでほしい知識ですが、IT業界には新しい知識が日々出てきますし、常に知識のアップデートが求められています。Essentialsやレベル1は基礎的な内容を多く含んでいますので、IT業界未経験の方でも、ぜひ、挑戦していただきたいですし、学んでいく中で将来のキャリアを明確にしていっていただければと思います。
また、これからIT業界にチャレンジしようと考えている方は、まずはシステム概要図をイメージしてほしいと思います。自分が学んでいるのは、開発工程のどの部分なのか、次に必要な知識は何か、今学んでいるのは何に使われているのかなど、イメージしながら勉強していくことでどんどん成長できると思います。
テイクス:ITを難しいと考えてしまう人が多いと思います。しかしIT業務は、多種多様で文系・理系や経験を問わず、エンジニアの人材需要は高まっています。ITは、モノづくりでもあり、一生活かせる技術が習得できます。未経験やスキルチェンジでの挑戦は、大変かと思いますが、社内研修制度やUdemyのようにいつでも、どこでも勉強できる環境がそろっていますので、本人のやる気次第で実現できます。
興味をもったときが始めるタイミングです、ぜひチャレンジしてください。
―LPICは、未経験者の足掛かりとして、非常に重要な資格であることがわかりました。株式会社エーエルジェイ様、株式会社テイクス様、取材にご協力いただき、ありがとうございました。
Udemyで学べるLPI資格関連講座
UdemyのLPI資格対策講座
オンライン動画学習プラットフォームのUdemyには、LPICを取得するための講座があります。これから資格取得を目指す方はもちろん、スキルチェンジやスキルアップを目指す方は、ぜひ受講をご検討ください。
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【終了しました】LPI日本支部では、学びを応援するUdemyキャンペーン実施中
Linux Professional Institute (LPI) 日本支部では、Linux EssentialsとLPIC-1の受験生をサポートするために、2020年10月21日から秋の“学び応援キャンペーン”を実施。Udemyの2講座を対象に、各50名の方に無料クーポンをプレゼントしています。限定数に達し次第、配布終了ということなので、LPICの資格取得に向けて学びたいと思っている方はぜひこの機会にご検討ください。
【1221追記】該当2講座について、無料クーポンの配布を終了いたしました
■詳しくはLinux Professional Institute (LPI) 日本支部公式SNSで情報をチェックしてください(外部サイトに遷移します)
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