アートに興味がない方こそ、大きな視点転換や思考の変化が起きる―ベストセラー著者と実践!自宅ではじめる「アート思考」の授業

発売1年で16万部超という異例のヒット作となった『「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考』の著者末永幸歩さんと、現代アートの聖地とも呼ばれ、海外からも注目を集める「ベネッセアートサイト直島」がタイアップし、Udemyにおいて新規講座を開講!

動画講座「【ベストセラー著者と実践!】大人こそ受けたい『アート思考』の授業  ─瀬戸内海に浮かぶアートの島・直島で3つの力を磨く─」の魅力に加え、今回のコラボレーションが実現した背景や、書籍を併用した楽しみ方など、講師をつとめたお二人にたっぷり語っていただきました。

末永幸歩(すえなが・ゆきほ)さんプロフィール

末永先生

美術教師/アーティスト
武蔵野美術大学造形学部卒、東京学芸大学大学院教育学研究科(美術教育)修了。浦和大学こども学部講師、東京学芸大学個人研究員。

中学・高校で展開し「美術がこんなに楽しかったなんて!」「物事を考えるための基本がわかる」と話題の授業を体験できる『13歳からのアート思考』はビジネスパーソンの間でも話題となり、16万部を超えるベストセラーに。
教育機関での出張授業、大人向け講演・セミナーなども行っている。

藤原綾乃(ふじわら・あやの)さんプロフィール

藤原さん

公益財団法人 福武財団/アート部門
ベネッセアートサイト直島にてエデュケーションを担当。学生向け/社会人向けの学びのコンテンツ開発に従事。

作品鑑賞を通じて創造力や共感力、対話力などを身に着けるだけでなく、社会課題に取り組めるプログラムを目指し実践している。

 

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『13歳のアート思考』とベネッセアートサイト直島の出逢い

―『13歳のアート思考』はビジネスパーソンを中心に話題を集めましたが、末永さんご自身は美術教師という経歴です。はじめに、書籍を通して一番伝えたかったことを教えていただけますか?

13歳からのアート思考

末永:本の中では、植物に喩えて、私の想いを紹介しています。本の中で伝えたかったのは、モノを生み出すときに、人からの求めによって何かを生み出すのではなく、自分自身の「興味のタネ」を出発地点にして探求していくことで、自分でも最初は想像できなかった「表現の花」が咲くということです。

もともとは中学生向けに行っていた授業の内容を、1冊の本にまとめて世に出したところ、予想以上に反響をいただきました。今では、ビジネスパーソンの方にとどまらず、一周回って教育関係の方に特に読んでいただいていると感じています。

―藤原さん、ベネッセアートサイト直島について、簡単にご紹介いただけますか?

藤原:ベネッセアートサイト直島」は瀬戸内海の直島、豊島、犬島を舞台に株式会社ベネッセホールディングス、公益財団法人 福武財団が展開しているアート活動の総称ですが、「よく生きる」というベネッセの理念を体現する場所として30年以上活動を続けています。

直島の風景
写真:渡邉修

瀬戸内の自然とそこに住む人たちの営みなどのリアリティのある場所で、来島者が「自分自身の“よく生きる”とは何か」「何を大切にしてどのように生きていくか」を1人ひとりが主体的に考えていく場所を目指してきました。

近年、教育現場で「主体的な学び」「違いを認め合う」「感性を磨く」といったスキルが求められ始めている中で、「自ら、自分や社会の課題をとらえ、考えていく」という主体的な学びの場として活用される機会は、以前より多くなってきていると感じています。

―末永さんとベネッセアートサイト直島とのコラボレーションのきっかけは何だったのでしょうか?

藤原: ベネッセアートサイト直島は、これまで現地でのプログラムをメインに展開していましたが、そこにつながるきっかけになるような企画や、実際に島に来られなくても、直島で目指している体験をできないかと模索していたところ、冒頭で紹介があった書籍に出逢い、多方面で活躍している末永さんにお声がけさせていただいたという経緯です。

―末永さん、打診を受けたときのお気持ちは覚えていますか?

末永先生が訪れた直島

末永:すごく嬉しかったです。というのも、約10年前に一人旅で直島に行ったことがあり、数日間かけてゆっくり周り、その間、個人的にいろいろと考えたこともあって、思い出深い場所だったからです。

また、アート鑑賞の面では、視覚だけでなく五感を使って鑑賞することも大切だと思っています。そうすることで、物事の違う側面が見えてくるからです。直島では五感を使った鑑賞を実現できると感じていたこともあり、アート思考を育てるという面でも、直島は素敵な場所だと思っていたので、一緒にお仕事できることを非常に楽しみにしていました。

 

アートに興味がない方こそ、大きな視点転換や思考の変化が起きる

―今回制作したUdemyの講座は、どんな方に受講していただきたいと考えていますか?

末永:元々アートが好きな人やアートの知識が豊富な人というより、アートとは離れたところにいるようなビジネスパーソンや、アートに対して苦手意識を持っているような方をイメージしています。今回の講座をつくるきっかけになったのが、『13歳からのアート思考』を読んだという方から寄せられたあるご感想なんです。それは、「本を読んで初めて現代アートを楽しいと思えた。しかし、読後美術館に行ったときには、やはりこれまでのような、知識に頼った受け身の鑑賞しかできない自分がいた」というものでした。

ワークショップの様子

そのため、アートやアート思考に興味を持った方への次のステップとして、「実際に美術館へ行ったときにどうすればいいのか」を提案できればと考えました。もちろん、本を読んでいない人にも、0からアートの楽しみ方を感じていただけるようになっています。

藤原:ベネッセアートサイト直島も、アートを鑑賞していただくことがゴールではなく、鑑賞を通して、よりよいコミュニティのあり方や、生き方を考えるきっかけにしていただくことを目的としています。そういう点でも、Udemyの講座を通じて、作品鑑賞へのハードルを下げ、日常生活や仕事における視点の転換を感じていただけるといいなと思っています。

実際、直島で研修を運営していても、普段アートに触れていない人のほうが、大きな思考変化が起きたりします。そのため、幅広くいろいろな方に受講いただいて、考え方の変化を感じてほしいと考えています。

末永:私自身、「子どもはみんなアーティスト」というピカソの言葉が好きなのですが、小さい子どもの方がアート思考を実践できていると思っています。Udemyの講座制作にあたっても、ワークショップにさまざまな年齢・職業の方にご参加いただきました。年齢や職業に関係なく意見を出し合っていただいたことで、気づき合う、学び合うという場になったのではないでしょうか。

末永先生の対談の様子

藤原:ベネッセアートサイト直島も、年代や職業に関係なく、幅広い方が訪れます。作品を鑑賞するにあたり、これまでの経験や価値観が投影されることからも、参加する方が多様なバックグラウンドを持つ方が、自分にない視点を得られるなと思っています。

また、ベネッセアートサイト直島には、恒久展示の作品も多くあります。その分、自然光の表情や気候などの周囲の環境、自分自身の変化によって、見るたびに考え方が変わるものだと思っています。このように、さまざまな要因で変化が起きるので、Udemyの講座も繰り返しいろいろなタイミングで見返してほしいです。

 

本、動画、現地での実践…どこからでも、組み合わせても楽しめる形を

―書籍、Udemyの動画講座、ベネッセアートサイト直島の3つの体験の場について、どのように考えていますか?

末永:本を読むこと、動画を見ること、現地で実践すること、それぞれに良さがあり、どこから入ってもいいと思います。それぞれ、軸になる部分も異なるのではと考えています。

本では、取り上げた作品の背景について深く解説しています。それに対し、今回の動画では、作品の背景にはあえて触れず、あまり知識をインプットしない状態で作品と向き合い鑑賞していく「作品とのやりとり」がメインになります。作品と向き合うと、鑑賞者自身の内面が見えてくるのも面白いところです。

末永先生の対談の様子

藤原:キャストの皆さんのリアルな声も入っているので、ほかの人の意見に触れてみるということも貴重な体験になるのではないでしょうか。

末永:そうですね。講座を作る中で意識したのが、講座内のワークショップをただのドキュメンタリーとして紹介するのではなく、Udemy受講生に体験してもらうためのものとして構成することでした。

―追体験ができるというのはUdemyの講座では珍しい取り組みですね。

藤原:ベネッセアートサイト直島には100点以上の作品がある中で、Udemyの講座では3作品に絞って取り上げています。動画で興味を持っていただいた方が、改めて直島に来てほかの作品に触れて考えていただくのも面白いと思います。一方で、作品の鑑賞を通じて得られた思考プロセスは、日常生活のあらゆる場面で役に立つと思いますので、作品を鑑賞するときだけでなく、日常の中で実践してみてほしいです。

なお、ベネッセアートサイト直島には、いろんなテーマに関心を持って訪れる団体・企業の方がいらっしゃいます。ニーズに合わせてさまざまなコンテンツを組み合わせながら研修プログラムをご提案していますので、ぜひ活用していただきたいと思います。

 

キーワードは「体験型」。不透明な時代にこそ身につけたい力とは?

―Udemy講座の見どころやどんなところにこだわって制作を進めたのか、お聞かせください。

末永: メインの受講生としては一般的なビジネスパーソンを想定していましたので、アートの専門用語を使わないようにして、入り口は広いけれども、学んでいくほどに内容は深くなっていくよう、アートの本質を感じられるようにこだわりました。中学校での授業では、アートの知識も興味もない生徒たちにもどうやって面白さを伝えるのかを常に意識してきたので、それを大人向けの講座でも活かしていきたいと考えていました。

末永先生の対談の様子

藤原:できるだけタイプの異なる作品を取り上げるように意識しました。多くの方が「作品」という言葉から連想する絵画、彫刻だけでなく、空間や自然と共にある作品を選んでいますので、アートの概念自体も変わるかもしれません。

末永:直島にある作品は、最初にもお伝えした通り、特に五感を意識して鑑賞する作品ばかりなので、それを動画で体験していただくこと自体がとても難しい取り組みでした。おそらく平面的な絵画を中心とした美術館のほうが、講座としては扱いやすかったと思います。けれど、あえてそこにトライして、動画だけれども視覚以外の感覚を意識してみるとか、空間や場を意識してみるということに取り組みました。 場所や空間も含めて作品の一部なのだということが伝えられていたらいいなと思います。

―講座内でワークショップを積極的に取り入れた理由はありますか?

末永:そもそもアート思考やアート鑑賞は知識で語れるものではないと考えています。そのため、体験型というのをキーワードとしました。一方向でレクチャーを聞いてスキルを習得するというものではなく、受講者が考えたり、書いたりすることによって学びを自分のものにしていく体験をつくっています。

ワークシート

逆に言うと、講座を流し聞きしてもなにも得られないと思います。ワークをやってみてこそ面白さを実感していただけますので、ぜひワークシートをダウンロードして、一緒に直島に行ったつもりで体験してもらえればと思います。

藤原:普段ワークショップをしていて感じるのは、「考え方を変えれば、未知なる事態や困難に対する姿勢が変わる」ということです。先ほど末永さんもおっしゃっていましたが、直島の作品と向き合うことで、具体的なスキルの習得というよりはマインドの変化が起こることを期待しています。

今の時代は、先が見えず不安なことも日々起こりますが、ものの見方ひとつで考え方は変わると思います。考え方が変われば、アクションが変わりますし、描いていくイメージも変わっていくのではないでしょうか。実際に研修に参加された方からも、未来のことを明るく考えられるようになったという声を聞きます。

今回も講座を見て終わりではなく、ぜひその先の未来、社会の未来を創造していくヒントを見つけていただければと思っています。

―最後に講座を通して伝えたかったこと、受講生の方に感じてほしいことをお聞かせください。

藤原:今回、オンラインのプログラム制作は新しい挑戦だったのですが、意外と伝えられることがあると感じました。映像で区切ったことで、そこにあるものを集中して見ることができ、現地にいるのと違う体験ができるという、ひとつの気づきというか可能性を見出せました。

ワークシート

今後は、作品を味わうだけでなく、作品を鑑賞することを通じた学びや経験を、直島からどんどん発信していきたいですね。今はなかなか外出も難しく、考えが内向きになってしまう時期だと思いますので、少し開放的に、息抜きになるような感じで気軽に取り組んでもいただき、ぱっと自分の前の道が開ける“きっかけ”にしてもらえるといいなと思います。

末永: アート思考とは、前提を疑い、自分なりの答えをつくることなんですよね。
これはアート鑑賞に限った話ではなく、例えば、「レストランで食事する」という行為ひとつとっても、誰かが付けた点数や評価を通してではなくて、「本当に目の前にある食事を自分の舌で味わえているのだろうか」というようなことです。

アート鑑賞の様子

「価値があるらしい」「評価が高い」といった、人から与えられた情報をもとに物事を見たような気になって素通りしてしまうのではなく、まっさらな状態から自分の目で見て、自分の答えを作っていくということを意識できると良いですよね。

「主観を信じる」「視点を変える」「疑問を抱く」という行為を通じて、自分なりの答えをつくることは、すぐに仕事に結びつくものではないかもしれません。しかし、たとえ人から与えられる仕事であっても、そこにほんの数%でも自分なりの答えを織り交ぜていくことで、仕事が自分ごとになっていけば、その結果、求められている以上のものを生み出すことができるんじゃないかと思います。

今回の講座は、実際の美術館の入館料くらいの価格で受講していただけますので、ぜひ自宅で気軽に楽しんでいただき、現状を違う角度から見たり、考え方が変わるきっかけにしていただければと思います。

―素敵なメッセージですね。本日は楽しいお話をありがとうございました。

 

世界が認めるアートの聖地・直島を舞台にした「アート思考」の授業へようこそ

【ベストセラー著者と実践!】大人こそ受けたい『アート思考』の授業  ─瀬戸内海に浮かぶアートの島・直島で3つの力を磨く─

先行きの見えないVUCA時代に必要なのは、アート思考の3つの力「主観を信じること」「視点を変えること」「疑問を抱くこと」。美術教師であり『13歳からのアート思考』著者の末永氏とともに「正解探し」ではなく、自分なりに考える思考法を体験します!

講座の内容をより自分のものにしていただくために、受講者向けにベネッセアートサイト直島(現地)での対話型鑑賞ワークショップ付きプランもご用意しています

Udemyとは?

udemy

Udemyは世界で4,000万人が学ぶ世界最大級のオンライン動画学習プラットフォーム。コース数は全世界で15.5万にも及び、企業導入だけではなく、個人の学習者にも使用されています。(2021年3月末時点)

Udemyのコンセプトは「improve lives through learning(学びを通して人生をより豊かに)」。世界中の人々が、変化する時代に対応していくためのスキルを、手頃な価格で利用できるように、人生のあらゆる段階における学習パートナーでありつづけたい、と思っています。