AWSを導入したいものの、
・AWSの料金がいくらかかるかわからない…。
・AWSの料金を抑える方法が知りたい…。
という方も多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、
・AWSの課金方式や料金の計算に役立つツール
・AWSの料金を節減する方法
について解説します。
AWSの利用が初めての方でも、この記事を読めばAWSの料金体系が理解でき、導入にかかるコストの目安がわかります。
INDEX
AWSとは?
AWS(Amazon Web Service)とは、Amazonによって提供されるクラウドコンピューティングサービスです。データを保存するためのストレージやデータベース、サーバー機能、ネットワーキング、人工知能による分析や計算処理といった各種ITリソースがオンラインで利用できます。
AWSを導入すると、パソコン1台とインターネットの接続環境だけで、必要に応じてITリソースを活用することが可能です。AWSはAmazonの主力サービスで、2021年には営業利益の55%がAWSによってもたらされました。
AWSでできることや代表的なサービスについて詳しくは、「AWS(Amazon Web Services)とは?利用するメリットや資格を徹底解説」をご覧ください。
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Udemyで講座を探す >AWSの料金体系は「従量課金制」
AWSの料金体系は、サービスを利用した量に応じて料金が加算される従量課金制です。AWSのサービスには、秒単位の利用時間に応じて料金が決まるものもあります。そのため、休日や夜間などに利用を一時停止するといった工夫で、コストを削減することが可能です。
従量課金制であるAWSは、実際に必要な分だけの導入費用でサービスの利用を開始できます。ニーズに応じてサービスの利用自体を管理し、リソースの過剰やスペック不足といったリスクを抑えられることがAWSの料金体系のメリットです。
AWSにある200種類以上のサービス毎に料金は異なる
AWSの料金は、サーバーやストレージ、データ転送などどのような機能を利用するかによって異なります。サービスによって、使う機能の組み合わせや利用量は様々です。
例えば、Webアプリの開発などに使用するAmazon EC2というサービスの場合、次の4項目で利用料金が決まります。
・サーバーの台数
・ストレージの容量
・データの転送量
・インスタンスの種類
インスタンスとは、AWSで提供される仮想サーバーのスペックを表すものです。一般的に、高機能なインスタンスほど利用料金は高くなります。
インスタンスの種類は 「汎用」「コンピューティング最適化」「メモリ最適化」「高速コンピューティング」「ストレージ最適化」 と5つの目的に合わせて分かれており、それぞれvCPU(下層CPU)やメモリの違うインスタンスが複数用意されております。詳しくはAWS公式サイト「 インスタンスタイプ – Amazon EC2 | AWS 」をご覧ください。
AWSの課金3要素は「サーバー」「ストレージ」「データ転送」
AWSの料金はサーバー、ストレージ、データ転送の3要素に分けて計算することが可能です。ここでは、各要素の料金の目安を紹介します。
サーバーの料金
AWSのサーバーを利用する場合の料金は、1時間あたり約3円が目安です。例えば、12か月間の無料利用枠を除いた1か月あたりのサーバー料金は、次のように計算されます。
1時間当たりの料金×月額使用時間×インスタンス数=1カ月の料金
例えば、t3.smallインスタンスの場合、以下のようにシミュレーションできます。
1時間あたりの料金 | 0.0208USドル |
月間使用時間 | 80時間 |
インスタンスの数 | 1台 |
1か月の料金 | 0.0208USドル×80時間×1台 = 1.664USドル |
1USドルあたり155.80円(2024年5月9日時点)で計算すると、1か月あたりのサーバー料金は約260円です。
ストレージの料金
AWSのストレージ料金は、データ容量に応じて1GB単位で計算されます。料金の目安は1GBあたり約3円~12円です。
1か月あたりのストレージ料金は、次のように計算されます。
1GB当たりの料金×データ容量=1カ月の料金
例えば、汎用SSD:gp3の場合、以下のようにシミュレーションできます。
1GBあたりの料金 | 0.08USドル |
データ容量 | 8GB |
1か月の料金 | 10.08USドル×1か月×8GB = 0.64USドル |
1か月あたりのストレージ料金は約100円です。(2024年5月9日時点)
データ転送の料金
AWSのデータ転送にかかる料金は、1GBあたり約3円が目安となっています。1か月にかかる料金は次のように計算されます。
1GB当たりのデータ転送料金×データ転送容量=1カ月の料金
例えば、データサイズが2MBのWebサイト1ページに1か月10万PVのアクセスがあった場合、以下のようにシミュレーションできます。
1GBあたりのデータ転送料金 (東京エリアの場合) |
0.02USドル |
データサイズ | 2MB |
1か月のアクセス数 | 10万PV |
1か月のデータ転送容量 | 2MB×10万PV = 200GB |
無料データ転送容量 | 毎月100GB |
料金が発生する データ転送容量 |
200GB – 100GB = 100GB |
1か月の料金 | 0.02USドル×100GB = 2USドル |
1か月あたりのデータ転送料金は約312円となります。(2024年5月9日時点)
AWSの利用ケース毎の料金事例
AWSで利用するサービスの種類は、用途によって様々です。ここでは、具体的な利用ケースに応じてかかるAWSの導入費用の目安を紹介します。
動的Webサイトの構築
ECサイトや会員制サイトなど、動的Webサイトを構築する際の費用の目安は月額約760USドル、日本円では約11万8,400円です。(2024年5月9日時点)
動的Webサイトの構築で利用するAWSのサービスには、次のようなものがあります。
サービスの種類 | 用途 |
Elastic Load Balancing | アクセス負荷の分散 |
AWS Certificate Manager | SSL/TLS証明書の管理 |
Amazon EC2、Amazon EBS | 動的Webサイトを構築するサーバーやストレージ |
Amazon RDS | 商品情報や会員情報などを管理するデータベース |
NAT Gateway | ネットワークアドレスの変換によるセキュリティ対策 |
Windowsベースのファイルサーバーの構築
大容量データのバックアップや、社内のデータ共有のためのファイルサーバーをAWSで構築する場合、2TBの容量では月額約420USドル~925USドルがかかります。日本円では約6万6,000円~14万5,000円が目安です。(2024年5月9日時点)
Windowsベースのファイルサーバー構築で利用するAWSのサービスとして、次のようなものが挙げられます。
サービスの種類 | 用途 |
Amazon FSx for Windows File Serve | ファイルを保存するためのストレージ |
AWS Directory Service for Microsoft Active Directory | ユーザーやリソースの情報を一元管理するアクティブディレクトリ |
AWS Site-to-Site VPN | オンプレミスネットワークとの安全な接続 |
社内業務アプリ環境の整備
Windowsアプリケーションなど、社内業務アプリをAWSに移行する場合の費用は、月額約2,008USドルが目安です。日本円では約31万3,000円となります。(2024年5月9日時点)
AWSのデータベース管理システムへの移行、アプリの開発などの環境整備で利用する主なAWSのサービスは次の通りです。
サービスの種類 | 用途 |
Amazon EC2、Amazon EBS | アプリを構築するサーバーやストレージ |
Amazon RDS for SQL Serve | SQL Serverのデータベース管理システム |
Elastic Load Balancing | アクセス負荷の分散 |
AWS VPN | オンプレミスネットワークとの安全な接続 |
「仮想デスクトップ(VDI)」でテレワーク環境を整備
仮想デスクトップとは、テレワークで働く社員がオフィスでも自宅でも同じデスクトップ環境を利用できるようにするための仕組みです。仮想マシンを利用することで、端末を問わず同じ情報にアクセスできます。
AWSで仮想デスクトップを構築する際の費用の目安は月額約321USドル、日本円では約5万円です。(2024年5月9日時点)
仮想デスクトップの構築で利用するAWSのサービスには、次のようなものがあります。
サービスの種類 | 用途 |
Amazon WorkSpaces | 仮想デスクトップの構築 |
AWS Directory Service–AD Connector | 仮想デスクトップの認証 |
AWS VPN | オンプレミスネットワークとの安全な接続 |
AWSの料金を計算ツールで調べてみよう
AWSの利用にかかる料金の見積もりは、計算ツールを使って調べることが可能です。ここでは、主な計算ツールの特長と使い方を紹介します。
「AWS Pricing Calculator」
AWS Pricing Calculatorは、AWSが公式に提供している無料の料金計算ツールです。公式サイトならではの信頼性の高さや、AWSの全サービスの見積もりに対応している点が長所として挙げられます。
AWS Pricing Calculatorの使い方は次の通りです。
①AWS Pricing Calculatorにアクセスする
②右上のメニューボタンから言語の設定を日本語に切り替える
③「見積もりの作成」をクリック
④料金を見積りたいAWSのサービスを選択する
⑤ロケーションタイプやリージョン、インスタンスの台数、種類などサービスの詳細を入力する
⑥価格モデルを選択する
⑦利用したいストレージ量やデータ転送量を入力する ⑧表示された見積金額(USドル表示)を確認する
「ざっくりAWS」
ざっくりAWSは、シンプルな操作画面が特徴の無料で使える料金計算ツールです。見積もりが日本円で算出されることや、操作画面の表記が初めから日本語であることなどから、公式のAWS Pricing Calculatorよりも簡単に利用できます。
ざっくりAWSの公式サイトの操作手順はサイト内に日本語で書かれているため、アクセスするだけで簡単に扱うことが可能です。
AWSの料金を抑えるには?
AWSの料金は、料金プランの選び方や運用方法の工夫などで抑えられます。AWSのコストを節減する方法は次の通りです。
長期利用の予約制度を活用する
AWSには、1年間や3年間といった長期利用を予約することで料金が割引される「リザーブドインスタンス(RI)」というサービスがあります。例えば、Amazon EC2ではリザーブドインスタンスにより最大72%の割引で利用することが可能です。
リザーブドインスタンスには、支払方法や購入期間を柔軟に選べるというメリットもあります。支払方法は次の3種類です。
・利用料金の全額を初月に支払う「全額前払い」
・利用料金の一部を初月に支払い、残額を毎月支払う「一部前払い」
・利用料金を期間で等分して毎月支払う「前払いなし」
購入期間は1年間または3年間を選べます。ただし、途中で解約ができず一度支払った費用は返金されません。また、購入時にスペックがある程度決まってしまうため、運用の柔軟性に欠ける点も注意が必要です。
サービスの中で不要なものは停止する
AWSを継続的に利用し、システムの開発や拡張を行っていると、不要なリソースが増えてしまうことがあります。AWSの各種機能を提供する仮想サーバーであるインスタンスの数や、ストレージ容量が必要以上に増えることは、月額費用が上がってしまう原因になります。
AWSの利用状況を定期的に見直し、不要なサービスを停止ことで、AWSの料金を最適化できます。
「AWS請求代行サービス」という料金割引サービスを利用する
AWS請求代行サービスとは、AWSの月々の利用料支払いを、サービス会社がまとめて代行するサービスです。主なAWS請求代行サービスとして、「C-Chorus」や「アシスト」などが挙げられます。
請求代行サービスで利用料金が安くなる理由は、多くの顧客のAWS利用料をサービス会社がまとめて払うことで、ボリュームディスカウントが適用されるためです。
実際にAWSで環境を構築しよう!
AWSの料金体系は、サービスを利用した分量に応じて決まる従量課金制です。サーバーやストレージ、データ転送など利用量に応じて料金が加算されます。料金計算ツールを使うことで、AWSの利用にかかるコストを見積もることが可能です。
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講座を見てみる評価:★★★★★
コメント:B/Gデプロイ、スケーリング、サービス間通信などECSの重要概念をハンズオンを通して学ぶことができた。大変わかりやすい内容でした。
評価:★★★★★
コメント:講座の講義やハンズオンを通してクラスターやサービス、タスク定義の概念や使い方を知ることができ、非常に知識が深まったように思います(特にサービス間の名前解決の部分などちょうど業務で引っかかっていた部分も解説されており、大変参考になりました)。
AWSの料金の仕組みやコストを節減する方法を理解した上で、AWSを活用しましょう!
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