PythonでWebスクレイピングする方法をライブラリ別に解説

Pythonを使ったWebスクレイピングに取り組みたいものの、

・コードの書き方が分からない…。
・スクレイピングに役立つライブラリが知りたい…。

という方も多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、

・Pythonのライブラリを使用したWebスクレイピングの方法
・PythonでWebスクレイピングを行う際の注意点

について、サンプルコードを交えながら解説します。

Webスクレイピングが初めての方でも、この記事を読めばPythonでデータやタイトル、見出しなどを取得する方法がわかります。

Webスクレイピングとは、WebサイトからWebページのHTMLデータを取得し、見出しや写真といった特定のデータを抽出するコンピューターソフトウェア技術のことです。Webスクレイピングによって得られた情報は、不要な部分の削除といった加工が自動的に行われます。そのため、人の手でデータを収集する際にかかる時間を大幅に削減できます。

このWebスクレイピングを行うプログラムのことを「スクレイパ」と言います。なお、Webスクレイピングの作業を始める前に、対象のサイトを「クローリング」する必要があります。クローリングとは、WebサイトからHTMLなどの情報を取得する技術で、クローリングを行うプログラムのことを「クローラー」といいます。

Webスクレイピングは、「スクレイパ」と「クローラー」によって構成されています。

PythonでできるWebスクレイピングとは?

スクレイピングの基本的な流れ

Webスクレイピングを行う時の基本的な手順は以下の通りです。

1.クローリングをして対象のWebページの内部情報を取得する

2.取得したWebページを解析し、スクレイピングをして特定のデータを検索・抽出する

3.スクレイピングして抽出したデータを整形し保存(もしくは表示する)

上記の一連の作業を行うために、Webスクレイピングのライブラリフレームワークを使用することが多いです。

 

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Webスクレイピングを行う際の注意点

スクレイピングで特定のデータを抽出する際、自分の管理元にないWebサイトの情報を抽出すると、違法行為になる可能性があります。

違法行為をしてしまうことを未然に防ぐために、注意点がいくつかあります。以下の点に留意して、行いましょう。

Webサイトの利用規約・著作権を事前に確認する

スクレイピングを行うWebサイトの利用規約、著作権を事前に確認しましょう。

Webサイトの中にはページ内の情報の抜き出しを禁止しているものもあります。そのため、抽出した情報を使用する時、著作権法に違反していないか確認しましょう。

robots.txtの指示を守っているのか確認する

robots.txtの指示を守っているかどうかも、Webスクレイピングを行う際に注意するべきポイントです。

robots.txtは検索エンジンのクローラー(ロボット)からWebページへのアクセスを制限するためのファイルです。robots.txtにはアクセスしても良いページ、してはいけないページなどの記述があるので、該当のページのスクレイピングが許可されているか確認しましょう。

アクセスの間隔を空けて負荷を抑える

Webスクレイピングの目的でサーバーにアクセスをする時は、最低1秒以上間隔をあけて、Webサーバーに負荷をかけないようにしてください。

Webサーバーに負荷がかかると、他の閲覧者がサイトを見られなくなったりサーバーが落ちてしまったりします。トラブルの原因とならないよう、Webサーバーへの負荷は極力避けましょう。

スクレイピングに使うプログラムに連絡先を明記する

クローリングをするためのプログラム、クローラーを開発する時は、コード内に連絡先を明示しておくのがおすすめです。

明示しておくことで、問題が起きた時サーバー管理者とスムーズに連絡を取ることができます。連絡先は、クローラーのUser-agentヘッダーにURLやメールアドレスを書きましょう。

 

Webスクレイピングに利用できるライブラリ

PythonにはWebスクレイピングに適したライブラリが複数用意されています。よく利用されるライブラリは、「Requests」、「Beautiful Soup」、「Selenium」の3つです。

ライブラリによって、出来ることや特徴が異なります。

ライブラリ Webページ取得 データ抽出 特徴
Requests × Webページを取得する。 シンプルで人が直感的に分かりやすいプログラムを記述できる。
Beautiful Soup × 取得したWebページの情報(HTML)をパースする。
Selenium Webページ取得と、データ抽出の両方が利用できる。 JavaScriptが使用されたサイトやログインにも使用できる。 動作が遅いのがデメリット。

以下では、それぞれのライブラリについて詳しく解説します。

 

データを取得するためのスクレイピング【Requests】

Requestsは、Webサイトからデータを取得する機能を持ったライブラリです。ここでは、Webスクレイピングを行うために、Requestsを用いてHTMLデータを取得する処理を、ソースコードも交えて解説していきます。

ライブラリを利用するには、まずインストールが必要です。
Python3系バージョンのRequestsをインストールする時は、以下のコマンドを実行しましょう。

Requestsのメソッドを解説

ライブラリの機能を実行するために、メソッドを利用します。

Requestsで主に利用するメソッドは次の通りです。

メソッド 処理内容
get() サーバーから情報を取得する
post() サーバーへ情報を登録する
put() サーバーの情報を更新する
delete() サーバーの情報を削除する

 

それぞれのメソッドの使い方を詳しく見ていきましょう。

get()

記述方法は

です。

引数のURLは必須で、<オプション>には任意で値を設定します。

引数 説明
URL 読み込み対象のURL

 

続いて、<オプション>で利用される引数をいくつか紹介します。

引数 説明
headers 辞書を設定することで、ヘッダーとして送信する内容を書き換える
timeout リクエストのタイムアウトを指定する
files バイナリータイプのデータを送信する

 

・post()

記述方法は

です。

URLに対して、送信データを送ることができます。

送信データにはファイルを指定したり、JSONと呼ばれる形式で記述されたデータ列を指定したりすることができます。

・put()

記述方法は

です。

postと同様にリクエストできます。

・delete()

記述方法は

です。
postと同様にリクエストし、指定のデータを削除できます。

Webページのデータを取得しよう

それでは実際に、Webページのデータを取得してみましょう。

上記を実行すると、response変数に、指定したURLのWebページ情報が取得できます。

Webページ情報が取得できたら、print()を利用して特定の情報を見ることができます。例えば、ヘッダー情報を取得したい時は

を、ボディ内の情報を取得したいなら

を実行することで、情報を見ることができます。

 

タイトルや見出しを取得するためのスクレイピング【BeautifulSoup】

BeautifulSoupは、取得したHTMLデータを解析できるライブラリです。BeautifulSoup自体には、サーバーと情報をやり取りする機能はありません。そのため、まずはRequestsでHTMLデータを取得した上で、BeautifulSoupを使ってページのタイトルや見出しなどの情報を抽出します。

Python3系バージョンの Beautiful Soupをインストールする時は、以下のコマンドを実行しましょう。

BeautifulSoupのメソッドを解説

BeautifulSoupでHTML要素を取得するには、「find系」(find(), find_all())と「select系」(select_one(), select())のメソッドを使用します。

find系も、select系もHTMLの内容を検索し、条件に合う要素を返すという事は同じですが、条件の指定方法が異なります。

find系は、引数にHTMLの属性と属性値を指定します。一方、select系はCSSセレクタと呼ばれる、「何をどの値にするか」を設定した要素(セレクタ)を指定します。どちらを使うかは好みで良いでしょう。

また、メソッドに_allや_oneが付くことで、全ての要素を返すのか、1つだけの要素を返すのかが異なります。

処理速度を気にする場合は、全ての要素だと遅くなるため、1つだけの要素を返すメソッドを使うのがおすすめです。

これらを表で整理すると下記のようになります。

タイプ 全ての要素をリストで返す 1つの要素だけ返す 検索条件
find系 find_all() find() 属性、属性値
select系 select() select_one CSSセレクタ

 

WebページのタイトルやURLを取得しよう

それでは実際に、RequestsでWebページを取得し、BeautifulSoupでタイトルやURLを取得してみましょう。
先に、ソースコードと実行結果です。

上記コードを実行すると、

のように出力されます。
ソースコードについて解説していきます。

ここで、BeautifulSoupを使用するためにモジュールを読み込みます。

Requestsを使用し、「https://example.com」のWebページの情報を取得します。

その後、BeautifulSoupの関数を呼び出し、Webページのコンテンツの内容を分析しています。

第2引数で設定されている”html.parser”は分析を行う時に使用するパーサー(解析器)を指定しています。html.parserはPythonの標準ライブラリに入っており、ライブラリの追加が不要です。

この時点で、soupには、Webページのコンテンツの全てが入っています。

で、selectメソッドを使用し、条件に合うデータを出力しています。今回は、Webページの、「<h1>」と「<p>」を指定しています。

Chromeブラウザであれば、「F12」を押下することで、下記のようにWebページの情報を参照できますので、取得したいデータ情報を簡単に得ることができます。(左側がWebページで、右側がWebページのHTML構造)

Webページの情報

 

Javaで作られたコンテンツを取得するためのスクレイピング【Selenium】

Seleniumとは、Webアプリケーションのテストを自動化するための複数の機能が備わったフレームワークです。その中の1つである「Selenium WebDriver」を使うと、プログラミング言語を通じてブラウザを自動的に操作できます。

また、SeleniumではJavaScriptで動的に生成されるコンテンツも扱うことが可能です。そのため、静的なHTMLだけでなく、動的なWebページをスクレイピングしたい場合に適しています。

Seleniumを用いたWebスクレイピングを行いたい方は、「Selenium WebDriverとは?インストール方法から使い方まで解説」を参考にしてください。

 

Webスクレイピングを活用して情報解析に役立てよう

今回の記事では、Pythonを使ってWebスクレイピングする方法を紹介しました。

RequestsとBeautifulSoupのライブラリを使用することで、簡単な記述でWebページから情報を取得し、データを解析・抽出することができます。また、Javaなどで作られた動的なページをスクレイピングしたい場合は、Seleniumが便利です。

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