Web開発に役立つAPI連携とは?利用するメリットや実装手順を紹介

Web開発に役立つAPI連携とは?利用するメリットや実装手順を紹介

「API」とは、ソフトウェアの一部機能やデータを公開し、外部から利用できるようにしているインターフェイスのことです。そして、APIを連携すれば、外部サービスの機能を簡単に実装できるため、開発効率の向上などが期待できます。今回は、API連携とはなにか、API連携のメリット・デメリット、活用事例や実装手順について詳しく解説します。

API連携とは?APIについて理解を深めよう!

「API連携」とは、公開されているAPIを自社サービスなどに組み込み、ソフトウェアの一部機能を共有することです。これにより、機能をゼロベースで開発する必要がなくなり、API連携を行うだけで外部ソフトウェアのサービスを利用することができます。
新規でWebサービスを構築する際などは、API連携で大きく開発効率を上げることができます。ほかにも、APIを連携させることでさまざまなメリットがあるため、多くのWeb開発で活用されています。

API連携について詳しく解説する前に、「そもそもAPIとは何か」という基本情報についてお伝えします。

そもそもAPIとは?

「API」とは、Application Programming Interfaceの略称で、外部サービスの機能を共有させることができるインターフェイスのことです。わかりやすくいえば、外部システムの一部機能を自社サービスに共有し、使えるようにするための窓口のことになります。つまり、サービス同士が共有できるように仲介してくれるのがAPIです。連携することで、他社の一部サービスを自身のソフトウェアへ容易に実装することができます。

APIを使用するためには、使用したいソフトウェアが、APIを公開していなければなりません。APIが公開されていれば、シークレットキーやAPIキーを取得・設置するだけで、連携が可能となります。そして、自社サービスにほかのソフトウェアの機能を簡単に実装することができるのです。

さまざまなソフトウェアが世の中に浸透した現代においては、1から全て制作するのではなく、既存サービスを活用して、さらに便利なサービスを生み出すことが主流になりました。そのため、ソフトウェア開発において、APIの活用は自然な流れといえます。現在、存在するWebサービスには、すでにAPIを使用しているものも多いです。

APIを示す画像

Web APIの特徴は?

Web APIとは、ほかのソフトウェアの機能をHTTP、もしくはHTTPSベースで実装するインターフェイスのことです。Web上に公開されており、もっとも有名なAPIともいえます。

SNSなどのWebアプリケーションで使用されているものは、多くがWeb APIに分類されます。通常のAPIは開発元のプログラミング言語に合わせて実装する必要がありますが、Web APIの場合、異なるプログラミング言語でも実装できることが多いです。そのため、汎用性が高く、さまざまなアプリケーションで実装することが可能です。

 

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API連携は利用すべき?メリットとデメリット

次に、API連携を利用することで得られるメリットとデメリットについて解説します。

API連携のメリット

具体的なメリットは下記の4つです。

  • 開発コストを削減できる
  • アプリケーションの品質が向上する
  • セキュリティを強化できる
  • 宣伝効果や他社との連携強化が期待できる

それぞれのメリットを詳しくご紹介します。

◎開発コストを削減できる

1つ目のメリットはコストの削減です。API連携することで、外部の機能を簡単に使用することができます。これにより、1から開発する必要がなくなるため、必然的に工数が少なくなります。工数が減少すると時間が短縮され、その分エンジニアの人員を減らせたり、労働時間を少なくできたりします。人件費を削減できるため、結果的にコストを抑えることができるでしょう。

また、多くのAPIは無料で公開されており、開発者登録をするだけで使用できます。連携にかかる費用も少ないため、開発者にとってメリットが大きいといえるでしょう。

◎アプリケーションの品質が向上する

2つ目はアプリケーション品質の向上です。さまざまな機能を低コストで実装できるため、充実したアプリケーションを実現することができます。十分な機能をそろえた状態でシステムを公開できるため、顧客満足度の向上も期待できるでしょう。

◎セキュリティを強化できる

3つ目のメリットは、セキュリティを強化できることです。大手企業で開発されたアプリケーションは、優秀なエンジニアが手掛けています。さらに、たくさんの人材を使ったり、コストをかけたりしているため、一般的にセキュリティが高いです。そのAPIと連携して自社サービスに実装すれば、セキュリティ強度の向上を期待できます。

特に、会員登録などのシステムにおいては、APIを使用すると便利でしょう。ログイン時の不正アクセスを防止することができたり、ユーザーは既存アカウントで登録できたりするからです。そのため、セキュリティを高められるだけでなく、ユーザービリティの向上も期待できるでしょう。

複雑なシステムを示す画像

◎宣伝効果や他社との連携強化が期待できる

4つ目のメリットは、宣伝効果や、他社との連携が期待できることです。APIを連携することで、自社サービスの露出が増えるため、宣伝効果を得ることができるでしょう。また、他社との連携でビジネスチャンスが生まれることもあるため、機能を提供する側にもメリットがあるといえます。

API連携のデメリット

API連携の代表的なデメリットは下記の通りです。

  • サービス停止による不具合
  • サーバーダウンによる障害

それぞれのデメリットについて解説します。

◎サービス停止に伴う不具合の発生

1つ目のデメリットは、他社のサービス停止に伴う不具合が発生する危険性があるという点です。APIが機能するためには、他社のアプリケーションが継続して運営されている必要があります。もしサービスが停止すると、当然APIも使用できなくなるため、自社アプリケーション内で不具合が発生してしまう可能性があります。
そのため、提供元を頼りすぎるのはできるだけ避けて、万が一のサービス停止にも対応できるように準備しておかなければなりません。

◎トラブルによる不具合の発生

2つ目はトラブルによる不具合の発生です。もし、提供元のサーバーがダウンすると、アプリケーションが非公開の状態になるため、連携ができなくなります。そのため、自社サーバーが稼働している場合でも一部の機能が使用できなくなったり、ログインができなくなったりなど、障害が発生するリスクがあるのです。また、サーバーの移行やメンテナンスによっても、一定の影響を受けることがあります。

 

身近にあるAPI連携の活用事例

私達の身近には、すでにAPI連携を行った数多くのサービスが提供されています。活用事例を知ることで、さらに理解を深められますので、ぜひ参考にしてください。

普段使用しているSNSのAPIが活用されている

身近な事例のひとつがSNSです。下記のSNSにおいては、APIが公開されています。

  • Twitter
  • Instagram
  • Facebook
  • LINE

アプリケーション開発で、もっとも連携する機会が多いのがログイン機能です。ログイン機能と連携することで、すでに上記のようなSNSに登録している人は、新規ユーザーでも氏名やメールアドレスなどを細かく入力することなく、自社サービスへの登録が可能です。簡単な認証で済ませられるので、新規登録のハードルを下げることができます。

そのほかにも、SNSのトレンドランキングを表示させることができたり、ツイート機能を自社サービスで実装できたりします。一般的に利用されている、気に入ったWeb記事をシェアボタンから拡散する機能も、APIの活用例のひとつです。

SNSを示す画像

Google Maps Platformの活用

Google Maps Platformは、Googleマップが提供しているAPIのことです。例えば、お店のホームページのアクセス情報欄に、Googleマップが表示されていることがあります。これもGoogle Maps Platformを使って実現しているのです。

単に地図を表示させるだけでなく、位置情報の検索や、ルート確認も可能です。そのため、現在地の取得やナビアプリなどでも頻繁に使われています。また、ユーザーの位置情報をマーケティングに活用している企業も多くなっています。

電子決済のAPI活用

3つ目の活用事例は、電子決済のAPIです。APIを提供している電子決済サービスは下記になります。

  • Amazon Pay
  • 楽天ペイ
  • LINE Pay

電子決済のAPIを連携することで、クレジットカード情報などを1から入力する必要がなくなります。そのため、ECサイトなどで実装すると利便性が向上するでしょう。また、セキュリティの強化なども期待することができるため、ユーザーが安心して利用できるというメリットもあります。

 

API連携の実装手順

APIの実装手順は、それぞれのアプリケーションで異なりますが、共通している部分も多いです。大まかな手順を具体的に解説します。

手順①:提供元にユーザー登録

はじめに、自社のアプリケーション情報を入力して、提供元の会社にユーザー登録します。必要な情報は提供元によって異なりますが、以下のような情報のことが多いです。

  • アプリケーションの名称と概要
  • 住まいの国
  • ニックネーム
  • 利用目的
  • 一部機能の利用の有無

など

手順②:APIキーとシークレットキーを取得

次に、APIキーとシークレットキーを取得します。メソッドの引数などにこの値をセットすることで、APIの使用が可能です。

APIキーとシークレットキーは半角の英数字がランダムに設定されています。セキュリティにかかわるとても重要な情報なため、取得後も厳重に管理しなければなりません。

手順③:仕様書に沿って実装する

APIキーとシークレットキーを取得することができたら、仕様書に沿って実装します。実装方法は、それぞれの提供元によって異なりますので、ホームページなどをご確認ください。

インスタンス化すると、APIの各種機能にアクセスすることができます。例えば、PHPでTwitter認証をインスタンス化する場合、下記のようにコーディングします。

インスタンス化の方法はそれぞれで異なるため、仕様書を確認の上行ってください。

Webの向上を示す画像

 

今回は、API連携の基本概要とメリット・デメリット、実装手順について解説しました。API連携を行うことで、開発効率のアップやコスト削減など、さまざまなメリットを獲得することができます。

また、現在すでに公開されている多くのWebアプリケーションにおいては、APIが頻繁に使用されているため、使い方を覚えておくと便利です。ぜひ、この機会にTwitterやInstagramなど、使いたいAPIを決めて、簡易プログラムに実装してみてはいかがでしょうか。