カーネル(Kernel)とは?種類や機能をわかりやすく解説!

現代のOS開発に欠かせないものとなった「カーネル」ですが、

・カーネルが果たす役割が分からない… 。
・カーネルの種類や違いが分からない… 。

と悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこでこの記事では

・カーネルが担当するOSの基本機能
・カーネルの種類とそれぞれの特性

について解説します。カーネルの深い理解を得ることで、システムの安定性や効率性を高める洞察を得られます。

監修
Udemy講師 |

専門領域:ソフトウェアエンジニア

しま (大嶋勇樹)

IT企業からフリーランスエンジニアを経て会社を設立。現在はエンジニアのスキルアップをテーマに、勉強会の開催や教材作成の活動を実施。オンラインコースUdemyではベストセラー講座多数。AWSやDocker/Kubernetes、サーバレス技術などを扱う「野生」のクラウドネイティブ人材。勉強会コミュニティStudyCo運営。

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カーネル(Kernel)とは:OSの基本機能を担うソフトウェア

「カーネル(kernel)」は、コンピューターシステムの中心とも言える、極めて重要なソフトウェアの一部です。

オペレーティングシステム(OS)の核心部分を担当し、様々な基本機能を果たします。

その具体的な役割とは、ハードウェアとソフトウェアの間のインタフェースを提供し、プログラムの実行やリソースの管理、そしてデバイスの制御といった重要なタスクを実行することです。

カーネルが担当する主な機能は以下となります。

  • プログラムの実行
  • リリースの管理
  • デバイスの制御

このように、カーネルはOSの操作性と安定性を実現する上で、欠かせない存在となっています。

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カーネルの機能と動作原理

コンピュータシステム内で、カーネルが担う具体的な機能は幅広いです。それらのうちでも、特に重要な役割を担う4つの機能について、以下で詳しく解説します。

プロセス管理

カーネルの重要な機能の一つとして、プロセス管理が挙げられます。具体的には、プロセスの作成、実行、終了といった一連の流れを制御します。これにより、システム全体の動作が円滑に行われるようになります。また、プロセス間のリソースの取り合いを防ぐ役割も持ち、システムの安定性を維持します。

メモリ管理

カーネルはシステムのメモリを統括し、プロセスごとに適切なメモリ領域を割り当て、また必要なくなったメモリ領域を解放します。これにより、各プロセスは必要なメモリを効率的に使用することができ、全体としてシステムのパフォーマンスを最大化する役割を果たします。

デバイスドライバの提供

デバイスドライバは、ハードウェアデバイスとのやり取りを担当するソフトウェアで、カーネルを通じてハードウェア制御コマンドの発行などを行います。これにより、各種のハードウェアデバイス(プリンターやマウス、キーボードなど)とソフトウェアの間で情報が適切に伝達され、システム全体がスムーズに動作します。

ファイルシステムの管理

最後に挙げるカーネルの主要な機能は、ファイルシステムの管理です。カーネルは、ファイルの作成や削除、読み込みや書き込みといった操作を処理します。これらの操作を通じて、データの永続性と整合性が確保されます。

具体的には、カーネルがファイルシステムを管理することにより、ユーザーやアプリケーションがデータを安全かつ効率的に保存・取得できるようになります。

カーネルの重要性と利点

カーネルはOSの心臓部ともいえる存在で、その機能と性能はコンピュータシステム全体の性能を大きく左右します。以下に、カーネルが持つ3つの主要な利点とその詳細を紹介します。

システムの安定性と信頼性

カーネルは、メモリやファイルの管理などを行っています。これらの管理能力により、プログラムが安定的に動作し、データが確実に保存・取得できる環境が実現可能です。このため、カーネルはコンピュータシステムの安定性と信頼性を確保するために、重要な役割を果たしています。

リソースの効率的な利用

次に、カーネルはシステムのリソース(メモリやCPU時間など)を、効率的に管理します。具体的には、どのプロセスにどれだけのリソースを割り当てるか、どの順番でプロセスを実行するかを決定します。これにより、システム全体のパフォーマンスを最大化し、ユーザーやアプリケーションがリソースを最大限に活用できるようになります。

拡張性とカスタマイズ性

最後に、カーネルはその構造や機能を柔軟に変更・拡張できる、という利点があります。新しいハードウェアデバイスの追加やシステムの要件変更などが発生した際も、カーネルの機能を拡張・修正することで対応可能です。これにより、システムが進化・拡大する際にも、その要件に応じた最適なパフォーマンスを維持できます。

カーネルの種類

カーネルには大きく分けて、モノリシックカーネル、マイクロカーネル、そしてその中間的な形態であるハイブリッドカーネルの3つの主要なタイプが存在します。それぞれのカーネルの特徴と機能について、見ていきましょう。

モノリシックカーネル

モノリシックカーネルは、最も基本的な形式のカーネルで、カーネルのすべての機能が単一の大きなファイル、すなわちモノリス(一枚岩)にまとめられています。これにより、すべての機能が同じアドレス空間で実行され、効率的な処理が可能になります。

しかし、その一方で、機能の追加や変更が比較的難しく、システム全体の安定性を保つのが難しいという欠点もあるので注意しましょう。

マイクロカーネル

マイクロカーネルは、カーネルの基本的な機能だけをカーネル空間に配置し、その他の機能(デバイスドライバ、ファイルシステムなど)は、ユーザーモードのプロセスとして外部で管理するという設計が特徴です。これにより、カーネルの機能を最小限に抑えることでシステムの安定性を高め、また、機能の追加や変更も容易になります。

しかし、ユーザーモードとカーネル空間の間での情報のやり取りが頻繁に必要になるため、処理効率が低下するという欠点があります。

ハイブリッドカーネル

ハイブリッドカーネルは、マイクロカーネルの処理効率の悪さを改善するために考えられたものです。一部のサーバーをカーネル空間で実行させることで、マイクロカーネルよりも処理速度を上げつつ、モノリシックカーネルのようにシステム全体の安定性を損なうことなく機能の追加や変更が容易に行えます。

Windows NTやmacOSなどの多くの現代的なオペレーティングシステムは、このハイブリッドカーネルを採用しています。

カーネルの代表例

コンピュータシステムの中心に位置するカーネルは、各オペレーティングシステムによってその形状や機能が大きく異なります。ここでは、世界中で広く使用されているオペレーティングシステムのカーネル、すなわちLinuxカーネル、macOSカーネル、そしてWindows NTカーネルを取り上げ、それぞれの特徴や機能について解説します。

Linuxカーネル

Linuxカーネルは、オープンソースのモノリシックカーネルであり、リーナス・トーバルズによって開発されました。そのオープンソースの性質から、LinuxカーネルはPCからサーバー、スマートフォン、さらには組み込みシステムなど、幅広いプラットフォームで活用されています。

モノリシックカーネルであることから効率的に動作し、同時に多くの開発者によって機能の追加や改善が行われています。

macOSカーネル

macOSカーネルは、Appleが開発したmacOSオペレーティングシステムの中核をなすもので、 効率性を重視した 「Machカーネル」と 拡張性に優れた 「FreeBSDカーネル」を組み合わせたハイブリッドカーネルである「XNUカーネル」を使用しています。このハイブリッド設計により、効率性と拡張性を両立が可能になります。

macOSはAppleのMacコンピューターで使用されているほか、iOS、iPadOS、tvOSなどの他のAppleプラットフォームでも一部が共有されています。

WindowsNTカーネル

Windows NTカーネルは、マイクロソフトが開発したWindowsオペレーティングシステムの中核となるカーネルです。セキュリティ、マルチタスク、ネットワーキングなどの機能を提供し、Windows XPからWindows 10、さらにはWindows Serverまで、さまざまなWindowsバージョンで使用されています。

ユーザーとアプリケーションとのインターフェースを担当するユーザーモードと、ハードウェアやシステムリソースへのアクセスを管理するカーネルモードが存在し、それらが協調してシステム全体の安定性とセキュリティを確保しています。

まとめ

カーネルは、コンピュータのオペレーティングシステムの中核をなす、重要なソフトウェアです。プロセス管理、メモリ管理、デバイスドライバの提供、そしてファイルシステムの管理といった一連の機能を通じて、コンピュータシステムの安定性と信頼性を確保し、リソースの効率的な利用を実現します。

カーネルは見えない存在ですが、わたしたちのデジタルライフを可能にする基礎的な部分を担っています。カーネルを理解することは、情報社会への理解を深めるために重要だといえるでしょう。

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作成者: しま (大嶋勇樹)(ソフトウェアエンジニア)

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コメント:普段、なんとなく使っていたLinuxコマンドなどの意味や、構造を丁寧に説明してくれて良かったです。

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コメント:idiotな私でもスラスラと理解できました!詳しいところに踏み込みすぎず,全体感を捉えるのにパーフェクトな講座だと思います!システムコールを使用したプログラミング講座などもあったらぜひ受講したいと感じました!ありがとうございました!

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