統計検定の難易度と合格率を解説!データサイエンティストに求められるスキルレベルは?

統計検定の難易度と合格率を解説!データサイエンティストに求められるスキルレベルは?

マーケティングにおける市場調査や製品開発などの現場で、データサイエンティストの需要が高まっています。データサイエンティストには様々なスキルが求められ、今後、関連する資格も続々と登場する予定です。現在実施されている統計検定は、データサイエンティストに求められるスキルの一つである、統計学に関する資格です。

この記事では、統計検定の概要と難易度、さらにおすすめの勉強方法について、わかりやすく解説します。

難易度の前に知っておきたい統計検定の概要

統計検定とは一般財団法人統計質保証推進協会が実施している2011年に発足した検定です。統計に関する知識や活用力を評価する検定試験であり、2020年現在では、4級、3級、2級、準1級、1級、統計調査士、専門統計調査士、データサイエンス基礎の8区分の資格が公開されています。

データサイエンス基礎は2020年5月より試験が配信される予定であり、2021年2月にデータサイエンス発展の試験が開始し、2021年9月にデータサイエンス応用の試験が開始する予定です(2020年2月現在)。

統計検定の試験は毎年6月の第三日曜日と11月の第四日曜日の年2回実施されます。

6月に実施される試験区分は、準1級、2級、3級、4級の4区分、11月に実施される区分は、1級、2級、3級、4級、統計調査士、専門統計調査士の6区分です。

2級、3級、統計調査士、データサイエンス基礎の試験は、受検日と会場が選択できるCBT(Computer Based Testing)方式です。これは試験会場でパソコンを使って解答する方式で、全国主要都市を含む約230か所から受検会場を選択して受検できます。

また、1級は記述式で、4級はマークシート形式です。

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データ分析や機械学習を実際に遂行するにあたって確率や統計学は必要な知識です。統計検定の合格に向けて勉強することで、統計学のスキルを身につけられます。

理系の学問と思われている統計学ですが、文系の人でも基礎から学ぶことで統計検定に合格できます。詳しくは「統計学入門!文系でもわかる基本知識とおすすめの勉強法」をご覧ください。

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データサイエンティストを目指すなら、統計検定を受けるべき?

データサイエンティストを目指すなら、統計検定を受検することは選択肢の1つとなるでしょう。特に未経験からデータサイエンティストを目指す場合、統計検定の合格者であることは企業側への大きなアピールとなります。

データサイエンティストに求められるスキルは「ビジネス力」「データサイエンス力」「データエンジニアリング力」の3つです。

統計検定の学習で身につけられるのは、この中の「データサイエンス力」に含まれる力です。

特に統計検定の準1級や今後実施される予定の、データサイエンス基礎、データサイエンス発展、データサイエンス応用の各区分に合格することで、企業が求めるデータサイエンティストとして必要なスキルを満たせる可能性があります。

最近注目を集めているAIエンジニアにおいても、統計学は必要な知識とされています。

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データサイエンティストには統計学以外にもデータ分析など様々なスキル・資格が求められます。例えばIPA(情報処理推進機構)が実施している基本情報技術者試験や応用情報技術者試験は、ITに関する幅広い知識が要求される試験であり、データサイエンティストを目指す人におすすめです。

データサイエンティストにおすすめの資格や求められるスキルについて、詳しくはデータサイエンティストにおすすめの資格とは?将来、必要なスキルを知ろう「【データサイエンス入門】必要なスキルや資格は?」をご覧ください。

統計検定の試験内容や難易度は?

統計検定の試験内容や難易度について、区分別に紹介します。

統計検定4級

中学程度のデータや表・グラフ、確率に関する基本的な知識と具体的な文脈の中での活用力が求められます。4または5肢選択問題(マークシート)形式で約30問が出題されます。試験時間は60分で、100点中70点以上で合格です。

統計検定3級

高校程度のデータ分析の重要な概念や、身近な問題に活かす力が求められます。4または5肢選択問題(マークシート)形式で約30問が出題されます。試験時間は60分で、100点中70点以上で合格です。

統計検定2級

大学基礎課程(1・2年次学部共通)程度の統計学の力が求められます。現状について問題を発見し、その解決のために収集したデータをもとに、仮説の構築と検証を行える統計力と、新知見獲得の契機を見出すという統計的問題解決力について出題されます。4または5肢選択問題(マークシート)形式で約35問が出題されます。試験時間は90分で、100点中70点以上で合格です。

統計検定準1級

2級までの基礎知識をもとに、実社会の様々な問題に対して適切な統計学の諸手法を応用できる能力が問われます。4または5肢選択問題(マークシート)形式で20問から30問程度出題され、それに加えて部分記述問題が5問から10問程度、論述問題を3問中1問選択し解答する必要があります。試験時間は120分です。

統計検定1級

実社会における様々な分野におけるデータ解析のニーズに応えるための基本的な能力の習得如何が問われ、大学専門課程(3・4年次)で習得すべきことについて、専門分野ごとに検定が行われます。「統計数理」と「統計応用」の2つの試験から構成されます。試験時間は各90分で、一方ずつの合格も可能ですが、1級合格には両方の合格が必要です。試験合格の有効期間は10年間ですので、10年以内に両方に合格する必要があります。

統計数理と統計応用ともに5問出題され受検時に3問選択して解答します。統計応用は人文科学、社会科学、理工学、医薬生物学の4つの分野があり、申込時に1分野を選択します。

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統計調査士

3級合格程度の基礎知識に加えて、社会人に求められる公的統計の理解とその活用力の修得が評価される試験です。4または5肢選択問題(マークシート)形式で30問出題されます。試験時間は60分で、100点中70点以上で合格です。

専門統計調査士

2級合格程度の専門知識に加えて、社会・経済で広く利用される統計や各種の調査データの作成過程、および利用上の留意点などに関する総合的な知識水準が評価される試験です。4または5肢選択問題(マークシート)形式で約40問出題されます。試験時間は90分で、正解率7割程度以上で合格です。

データサイエンス基礎

データサイエンスとその応用分野を専門とする大学教員と専門実務家が活用力を重視した問題を開発し、生徒・学生・一般を問わず、AI・デジタル社会の共通スキル「データサイエンス基礎」力を評価し、認証するための検定試験です。

コンピュータ上で表計算ソフトExcelを使って処理した結果を基に、多肢選択や数値・文字入力で問題に答えるCBT(Computer Based Testing)形式で出題されます。

大問が7から10題出題されます。1つの大問は3つの小問からなり、合計小問20から30問程度が出題されます。試験時間は60分もしくは90分です。100点中70点以上で合格となる予定です。

データサイエンス発展・応用

データサイエンス発展は数理、計算、統計、倫理に関する大学教養レベルの内容が出題されます。データサイエンス応用では計算、統計、モデリング、領域知識に関する大学専門レベルの内容が出題されます。

どちらもCBT形式で解答します。データサイエンス発展は問題数30問程度、試験時間は60分、100点中70点以上で合格、データサイエンス応用は問題数40問程度、試験時間は90分、100点中60点以上で合格ですが、データサイエンス発展・応用はまだ未実施であり情報が確実ではありません。

統計検定は紹介したように細かく分類されていますが、理系出身のエンジニアでも上位の区分に合格するためには、試験対策の勉強が必要でしょう。またそれぞれの区分の合格水準は、試験の難易度を考慮して調整されることがあります。

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統計検定の受検者数や合格率を公開!

参考までに、2019年6月16日、11月24日に実施された統計検定の申込者数、受検者数、合格者数、合格率をまとめてみました。受検を検討している方は、各区分の勉強の励みにしていただければと思います。

2019年6月16日試験

検定種別 申込者数 受検者数 合格者数 合格率
準1級 1,314 853 179 21.0%
2級 2,710 1,938 883 45.6%
3級 1,977 1,688 1,165 69.0%
4級 409 343 250 72.9%

2019年11月24日試験

検定種別 申込者数 受検者数 合格者数 合格率
1級「統計数理」 1,285 878 202 23.0%
1級「統計応用」 1,221 793 125 15.8%
2級 3,264 2,369 988 41.7%
3級 2,221 1,907 1,178 61.8%
4級 491 422 237 56.2%
統計調査士 536 450 240 53.3%
専門統計調査士 501 433 144 33.3%

【難易度別】統計検定のおすすめ勉強方法

最後に、統計検定の難易度別のおすすめの勉強方法を紹介します。

4級と3級については試験内容に準拠した日本統計学公式認定の3級・4級公式問題集をしっかりやれば合格可能です。詳しくは「日本統計学会公式認定 統計検定 3級・4級 公式問題集[2016~2018年]」をご覧ください。

2級以上の合格には、公式問題集に加えて参考書を使った学習も必要です。問題集については「日本統計学会公式認定 統計検定 2級 公式問題集[2016~2018年]」や「日本統計学会公式認定 統計検定 1級・準1級 公式問題集[2016~2017年]」をご覧ください。

公式の参考書としては「改訂版 日本統計学会公式認定 統計検定2級対応 統計学基礎」や「日本統計学会公式認定 統計検定1級対応」をご覧ください。

またオンライン学習で統計学について学ぶのも良いでしょう。特にデータサイエンス関連は随時内容がアップデートされるため、時間が経過すると内容が古くなる問題集より、オンライン学習サイトで勉強がおすすめです。

最新の内容で学習することで、資格試験対策としてだけでなく、将来データサイエンティストになることを見据えた学習が可能です。

統計検定はデータサイエンティストを目指す人が、統計学のスキルを身につけられる資格です。試験範囲に応じて細かく区分が分けられており、自分のレベルにあった試験を受検することで、統計学の学習を効率的に進められます。

統計検定に合格して、データサイエンティストとしてのキャリアを切り開きましょう。