AIエージェントを日々の業務に活用したいと考えているエンジニアの間で、最近注目を集めているものが「Cline(クライン)」です。しかし、
・Clineがどんな機能を持っているのかわからない
・他のAI開発ツールとの違いがわからない
と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、
・Clineの基本的な特徴
・Clineでできること
・CursorやGitHub Copilotなど他のツールとの比較
・Clineの導入方法や実践的な使い方
についてわかりやすく解説します。
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AIエージェント型拡張機能「Cline(クライン)」とは
ClineはVisual Studio Code(VSCode)やCursorなどの開発環境で利用できる、AIエージェント型の拡張機能です。

出典:Cline – AI Coding, Open Source and Uncompromised
「コードを作成して」「テストを実行して」といった簡単な指示だけで、Clineが自動的にコーディングからシステム操作まで代行し、開発作業を効率化できます。
AIエージェントとは、目標を設定するとその達成のために、必要なデータの収集やタスクの実行などを自動的に行ってくれるソフトウェアプログラムです。
Clineは、複雑な開発作業をステップごとに自律的に遂行できる機能を備えており、ファイル操作やコマンド実行、Webブラウザの操作まで多岐にわたる開発タスクを支援します。
Visual Studio CodeやAIエージェントについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
▶Visual Studio Codeの便利な使い方とは?インストール・拡張機能についても解説!
▶AIエージェントとは?生成AIとの違いや機能、仕組みを解説
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Udemyで講座を探す >Clineの機能やできること
Clineは多様な開発タスクを自動化し、開発効率を大きく向上させる機能を提供しています。ここでは、Clineの主要な機能について簡潔に紹介します。
コードの生成や補完、修正
Clineは、簡単な指示でも内容を理解・整理してコードを生成することが可能です。また、コード補完機能では入力途中のコードを解析し、プロジェクト全体のコンテキストを理解した上で、その後に記述するコードを的確に提案してくれます。さらに、既存のコードを渡せば、エラーの検出や改善案の提案まで行えます。

ターミナル操作
Clineは、コマンド操作をはじめとしたターミナル操作の自動化をサポートしています。アプリケーションのインストールやテストの実行など、多様な開発タスクを自動的に処理できます。特徴的なのは、実行するコマンドが事前に表示され、ユーザーの承諾がないと実行されない安全な設計であることです。

ブラウザ操作
Clineは、動作確認やUIテストを含む包括的なブラウザ操作をサポートしています。Webページ上でのマウス操作やキーボード入力など、UI上の操作を自動化する機能を持ち、インタラクティブなデバッグやエンドツーエンドテストの実行が可能です。

多様なAIモデルとAPI対応
Clineの大きな特徴として、多様なAIモデルとAPIへの対応が挙げられます。開発者は自身の目的や予算に応じて、最適なモデルを選択することができます。具体的には、OpenAI、Google Gemini、Anthropic、AWS Bedrock、DeepSeekなどの主要プロバイダーが利用可能です。

ヒューマン・イン・ザ・ループ設定
ClineにはHuman-in-the-Loop(人間の承認を必要とする設計)が採用されており、AIの自律性をコントロールすることが可能です。ファイルの変更や作成、ターミナルコマンドの実行において、必ず人間の承諾を得てから実行される仕組みになっています。AIによる予期せぬ操作やアクシデントを効果的に防ぐことができ、安全で信頼性の高い開発環境を提供します。
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ClineとCursorやGitHub Copilotとの違い
ClineはAIエージェント型拡張機能として、コードの生成や修正だけでなくターミナル操作やブラウザ操作の自動化など、幅広い開発タスクに対応できる自律性が大きな特徴です。
対して、Cursor(カーソル)はAnysphere社がVSCodeベースで開発したAI搭載コードエディタです。基本的にはチャット形式でコードを生成していきますが、Agent機能を用いれば自律的なタスクの実行もできます。

続いて、GitHub Copilot(ギットハブ コパイロット)は、VSCodeやCursorなど主要なエディタ・IDEで利用できるコーディングアシスタントツールです。コードの自動生成やエラー修正提案など、AIによるサポート機能が中心となっています。
Cline/Cursor/GitHub Copilotの違いを簡単にまとめると次の通りです。
ツール | Cline | Cursor | GitHub Copilot |
---|---|---|---|
種類 | 拡張機能 (AIエージェント) |
コードエディタ (AI搭載) |
拡張機能 (コーディングアシスタント) |
自律的タスク実行 | ◯ | ◯ | ✕ |
ターミナル・ブラウザ操作 | ◯ | ◯ | ✕ |
ヒューマン・イン・ザ・ループ | ◯ | ✕ | ◯ |
推奨言語 | 複数 (各種API対応) |
複数 | Python、JS、TSなど |
CursorやGitHub Copilotについてより詳しく知りたい方は、こちらの記事も併せてご覧ください。
▶AIコードエディタCursorとは?機能・使い方やVSCodeとの違いを解説
▶GitHub Copilotの使い方を基本から応用まで解説!料金プランや注意点も
Clineの料金・おすすめAIモデル
Cline自体の利用には、料金はかかりません。しかし、実際の動作にはAIモデルのAPIを使用する必要があり、その利用料金が発生します。低コストのAIモデルとしては、DeepSeekが人気の選択肢として知られています。しかし、データの暗号化不備などのセキュリティ上の問題が指摘されているため、業務利用ではおすすめしません。
Clineでは、Anthropic社のClaudeが推奨されていることからも、AIモデルはClaude Sonnet 4やClaude Opus 4.1がおすすめです。

その他には、Claude 3.5 SonnetやGeminiが高品質なコード生成に定評があります。また、Clineの「プロンプトキャッシング」機能を使うことで、過去に実行したプロンプトと実行結果を一時保存し、同様の処理で再活用することが可能です。この機能によって、同じリクエストを繰り返す際のコストを削減できます。
Clineの種類
Clineにはいくつか種類があり、それぞれ特徴や対象ユーザーが異なります。主要なバリエーションを表にまとめました。
種類 | 概要・特徴 | 主なユーザー層 |
---|---|---|
Cline (旧Claude Dev) |
VSCodeなどのIDEで動作する自律型エージェント | 全般 |
Roo Cline | Clineのフォーク版。独自機能が多く、開発スピードも早い。安定性は本家Clineに劣る場合がある | 新機能重視、実験的ユーザー |
Bao Cline | Clineのフォーク版。より自動化を推進するツールであり、中級者・上級者向け | 高度な自動化志向のユーザー |
Cool Cline | Cline、Roo Cline、Bao Clineの機能を組み合わせた統合型のフォーク版。中国圏を中心に展開されている | 統合性や便利さを重視するユーザー、海外ユーザー |
Clineはもともと「Claude Dev」という名前で呼ばれていたバージョンであり、そこから派生(フォーク)したことで、用途・機能・安定性・開発スタイルに違いがでています。まずはClineから導入し、利用していくなかでフォーク版の活用も検討するとよいでしょう。
【導入編】Clineの始め方
ここからは、実際にClineをインストールして利用する流れを解説します。Clineのインストール方法から、初期設定までの流れと併せて、Clineにサインアップして無料のAPIクレジットを獲得する流れまで見ていきましょう。
Clineのインストール方法(VSCode)
今回は、VSCodeにClineをインストールしていきます。
VSCodeを立ち上げて、拡張機能から「Cline」を検索し、インストールします。

「発行元の“Cline”を信頼しますか?」と表示されたら、「発行元を信頼してインストール」ボタンをクリックしてください。Clineのインストールはこれで完了です。

初期設定(APIの選択とAPI Keyの入力)
Clineのインストール後、左ペインにClineの初期画面が表示されます。今回は、事前にAnthropic社のAPIキーを準備していたため、「Use your own API key」ボタンをクリックして進めていきます。

API Providerで「Anthropic」を選択し、別途用意したAPI Keyを貼り付けて「Let’s go!」ボタンをクリックします。

最低限の初期設定もこれだけです。API Providerはいつでも変更できます。
利用する際は、お使いの生成AIサービスを選択しましょう。
Clineにサインアップすると0.5$分のクレジットが使える
初期設定画面で「Get Started for Free」を選択すると、Clineのサインアップ画面に遷移します。後でClineにサインアップする場合は、API ProviderをClineに変更して「Sign up with Cline」ボタンをクリックしてください。

WebブラウザでClineのページが表示されるため、GoogleアカウントやGitHubアカウントでサインアップしましょう。

アカウントを選択後、認証リクエストの画面が表示されるため「Authorize」ボタンをクリックします。

利用規約やプライバシーポリシーを確認後にチェックを入れ「Register」ボタンをクリックしてください。

Clineへのサインアップが完了し、0.5ドル分のAPIクレジットが獲得できました。必要に応じて管理画面からクレジットを追加することが可能です。

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講座を見てみる【実践編】Clineの使い方
実践編として、実際にClineでゼロからアプリケーションを作ってみましょう。主な流れは、Planモードで実行計画を作成したあとに、Actモードで実行に移す、というものになります。
Planモードで実行計画を作成する
最初にClineの画面を開き、画面右下の「Plan」を選択します。その後、プロンプトをClineに与えましょう。今回は「Webブラウザで動作するTodoリストアプリを作ってください。」というプロンプトを与えます。

プロンプトから自動的に必要な機能や技術、ファイル構成などを計画してくれます。計画の内容を確認し、適宜修正指示を与えましょう。今回はそのまま次に移ります。

Actモードでアプリを作成する
計画に問題がなければ、画面右下の「Act」ボタンをクリックしてActモードに切り替えます。

先程の計画にしたがって、必要なコードの生成やファイルの生成などが進みます。今回の例では、HTMLファイルの作成、CSSファイルの作成、JavaScriptファイルの作成と続いています。ファイルを生成する際には、実際のコードの内容を確認して修正することも可能です。
問題がなければ「Save」ボタンをクリックして次のステップに移っていきます。

必要なコードの生成、ファイルの作成が完了するとテストフェーズに移ります。これも事前に計画されたものです。「Approve」ボタンをクリックすると、Cline内でWebブラウザによるテストが実行されます。

自動的にWebブラウザを使ったテストが実行されていく様子を確認できます。

すべてが完了すると、実行結果が表示されます。

最後に「Run Command」ボタンをクリックすることで、プロンプトからアプリを実行するためのコマンドを実行します。ファイルの作成のときもそうでしたが、コマンドの実行でもヒューマン・イン・ザ・ループ機能が動作していることが確認できます。


ブラウザが立ち上がり、生成されたTodoリストアプリが表示されました。

Clineを使用した感想と注意点
今回は例としてTodoリストアプリを作成してみましたが、ほとんど具体的な指示をしていないにも関わらず、基本機能からUI設計まで自動的に行われ、簡単に作成できた点は素晴らしいと感じました。
特にプログラミングの初学者や、新規領域の開発に取り組む際には、プロトタイプ版を即座に作れるため活用の幅が広そうです。プログラミングに慣れている方や大規模な開発に携わる方でも、Clineを利用して大まかにコードを生成し、その後適宜修正していくという流れで進めれば、開発効率を大きく向上させられるのではないでしょうか。
ただし、ClineはAPIを利用した分だけ料金が発生します。今回のTodoリストアプリでは約0.7ドルかかりました。安くはありますが、日常的に利用することを考えると割高です。Clineを利用する中でプロンプト実行時に料金は確認できますが、定期的に予算を超過していないか、使いすぎていないかをチェックすることが重要になります。
また、LLM(大規模言語モデル)は「ハルシネーション」と呼ばれる幻覚現象が存在します。Clineのアウトプットが常に正しいとは限らないため、活用の際はこの点も留意すべきです。その他にも、Lambda環境などの外部依存のコードではデプロイ後に問題が発生する可能性があり、自力での解決が必要になる点や、コード上に存在しないコンテキストを伝えることが難しい点などの課題も存在します。
あくまでもClineは優秀なサポート役であり、万能のツールではないということを理解したうえで活用することが重要です。
LLM(大規模言語モデル)やLambdaについて詳しくは以下の記事をご覧ください。
▶大規模言語モデル(LLM)とは?仕組み・活用例・課題を解説!
▶AWS Lambdaとは?対応言語やメリット・デメリットを徹底解説!
Clineを使用してアプリを効率的に開発しよう!
Clineは、AIエージェント型拡張機能としてコード生成やターミナル操作などの多様な開発タスクを自動化できる点が大きな魅力です。Clineを活用することで、日々の開発効率を大きく高めることが期待できます。本記事で解説したClineの導入から使い方、機能のポイントをぜひ実際の現場で試して、効率的な開発を実現しましょう。
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評価:★★★★★
コメント:Cline, Cursor, Vecel V0の3つのツールを学べました。
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