VB.NETとは?習得するメリットや環境構築方法・構文例を解説

VB.NETに興味があるものの、

・多言語との違いが分からない…。
・VB.NETの基本的な使い方が知りたい…。

という方も多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、

・VB.NETの特徴や使用するメリット
・VB.NETの環境構築や基本構文、関数

についてご紹介します。

プログラミング初心者の方でも、この記事を読めば、VB.NETの特徴について理解できます。

VB.NETとは?

VB.NET(ブイビードットネット)は、マイクロソフト社が開発したプログラミング言語「Visual Basic.NET」の略称です。

VB.NETは、マイクロソフト社が提供する無料のアプリ開発プラットフォーム「.NET環境」で利用できます。なお、.NET環境ではC#やJscript.NET、F#などのプログラミング言語も利用可能です。

プログラミングのイメージ

コードが比較的理解しやすく、様々な機能を持った標準ライブラリも用意されているため、初心者のアプリケーション開発に向いていることがVB.NETの特徴です。

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VB.NETと他言語との違いは?

VB.NETと名前が似ている他のプログラング言語として、「VB」「VBA」「VBScript」などがあります。それぞれの特徴とVB.NETとの違いは次の通りです。

ここからは、それぞれの言語について解説します。

VB:VB.NETの前身

VBは「Visual Basic」の略称で、マイクロソフト社によって1990年代から開発されてきました。

VBのサポートは2008年に終了し、後続のプログラミング言語としてVB.NETが開発されています。しかし、VBとVB.NETには互換性がなく、VBを.NET環境で利用することはできません。

また、VBは構造化プログラミングを採用していることに対して、VB.NETはオブジェクト指向のプログラミング言語となっています。

VBA・VBScript:VBをベースにした言語

VBAとVBScriptは、共にVBをベースに開発された言語です。

VBAは、「Visual Basic for Applications」の略称で、ExcelやWordといったMicrosoft Office製品上で動作する簡易的なプログラミング言語を指します。VBAを使用すると、Office製品上で行う様々な操作の自動化が可能です。

VBScriptは、「Visual Basic Scripting Edition」の略称で、PCの操作を自動化できるスクリプト言語です。VBScriptは2023年10月にWindowsクライアントの非推奨機能となっており、将来的に廃止が予定されています。

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VB.NETの特徴や使用するメリット

VB.NETには、初心者でも扱いやすい特徴や機能があります。VB.NETの特徴や使用するメリットは次の通りです。

一つずつ見ていきましょう。

自然言語に近く可読性が高いため学習しやすい

自然言語とは、英語や日本語といった人間が日常的に使う言葉のことです。

VB.NETのコードには、言語の順番や使用するデータの宣言方法などが自然言語に近いという特徴があります。そのため、直感的で理解しやすく、初心者の方でも簡単に学習できます。

オブジェクト指向・手続き型の両者に対応できる

VB.NETは、オブジェクト指向言語に分類されるものの、手続き型言語のようにコードを記述することもできます。

VB.NETでオブジェクト型プログラミング、と手続き型プログラミングの両方を習得すれば、作成するシステムやアプリケーションに合わせて臨機応変な対応が可能です。

オブジェクト指向については、「【Python】オブジェクト指向プログラミングの基礎と実装方法を解説」を参考にしてみてください。

ダックタイピングが使用できる

ダックタイピングとは、プログラムで扱うデータの種類である「型」を決めるため仕組みです。VB.NETではダックタイピングが使用できるため、コードを柔軟に記述できます。

具体的には、データ型や内部構造ではなく、プログラムの持つメソッドやプロパティに基づいて型を判断することがダックタイピングの特徴です。また、VB.NETでは動的型付けと静的型付けという2種類の方法で、変数の型を指定できます。

これらの特徴により、1つのインタフェースを用意するだけで様々な型の引数を処理するコードが書けるため、効率的な開発が可能です。

無料で使用できる

VB.NETは、マイクロソフト社が提供する統合開発環境「Visual Studio」で利用できます。Visual Studioの料金プランは、無料版の「Community」、有料版の「Professional」「Enterprise」の3種類です。

無料版と有料版の違いとして、商用利用の可否や企業向け機能の有無などが挙げられます。プログラミングに関する基本機能はほとんど同様のため、個人利用や学生の場合は無料のプランでも十分な開発が可能です。

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VB.NETを習得するとどのような開発ができる?

VB.NETは、様々なプログラムの開発に利用できます。VB.NETで開発できるシステムやアプリケーションの例は次の通りです。

Windowsのデスクトップアプリ開発

VB.NETでは、Windows上で動作するデスクトップアプリケーションを作成できます。

システムに使用するアイコンや各種ボタン、テキストボックスなどが用意されているため、視覚的に操作できる「GUI(Graphical User Interface)」を開発しやすいことがVB.NETの強みです。

Office製品のシステム・アプリ開発

ExcelやWord、OutlookといったOffice製品に機能を追加することもできます。例えば、Outlookであれば、メールを自動で振り分ける機能などの追加が可能です。

Officeアプリ用のアドインである「VSTOアドイン」や、異なるソフトウェア間での通信処理を可能にする「COMアドイン」などをVB.NETで作成すると、Office製品の機能を拡張できます。

UWPアプリ開発

UWPとは、「Universal Windows Platform」の略で、UWPアプリはPCやスマートフォン、タブレットなどWindowsが搭載されたデバイスで動作するアプリのことです。VB.NETでは、仕様が異なるデバイスでも同様に動作するUWPアプリを開発できます。

VB.NETはGUI開発に向いていることや、.NET環境との互換性の高さから、UWPアプリの開発環境として活用されています。

Webアプリケーション開発

VB.NETと、動的なWebページを作るためのフレームワークである「ASP.NET」を組み合わせると、Webアプリケーションの開発も可能です。

新規の開発案件は減っているものの、既存のシステムの保守や改修などを行うために一定の需要があります。

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VB.NETの需要や将来性

VB.NETの需要は、新規開発では減少傾向にあるものの、既存システムの保守・改修やVB6からの移行案件を中心に一定の需要が続くと考えられます。特に、金融業界や官公庁など、安定稼働を重視する業界では引き続き利用されており、保守・改修の案件が継続しています。

また、プログラミング言語の人気指標であるTIOBE Indexでは2024年11月時点で9位に位置し、一定の市場規模を維持していることが分かります。

一方で、新規開発ではJavaScriptやC#といったオープンソースで利用できる汎用性の高い言語が主流となり、VB.NETのシェアは縮小傾向にあります。

そのため、VB.NETのみを習得するのはリスクがあり、C#などの他言語と併せて学ぶことで将来の選択肢を広げるのが望ましいでしょう。

 

VB.NETの環境構築

VB.NETで開発を行う際は、最初に開発環境の構築が必要です。ここでは、Visual Studio Communityの環境構築について解説します。

Visual Studio Communityをダウンロード

まずは、Visual Studio Communityの公式サイトにアクセスし、「ダウンロード」をクリックします。

公式サイトからダウンロード

ダウンロードしたインストーラーを起動し、画面の案内に従ってインストールを進めましょう。

案内に沿ってインストールを進める

インストールが完了すると、Visual Studio Communityが起動します。

新規プロジェクトを作成

画面上部のメニューから「ファイル>新規作成>プロジェクト」を選択しましょう。「新しいプロジェクトの作成」の画面でプログラム言語を「Visual Basic」に設定し、「コンソールアプリ」を選択します。

新規プロジェクトを作成

画面の表示に従ってプロジェクト名や保存場所、フレームワークなどを入力すると、新規プロジェクトが作成されます。

保存場所やフレームワークなどを入力

 

VB.NETの基本構文

VB.NETで開発を行う際の基礎知識として、変数や定数、データ型などの意味を理解しておく必要があります。VB.NETの主な基本構文は次の通りです。

ここからは、基本構文について一つずつ解説します。

変数・定数

変数とは、プログラムで扱うデータを保存するためのものです。VB.NETでは「Dim」というキーワードを用いて、次のように変数を宣言できます。

‘ 整数型の変数「number」を宣言し、初期値を10に設定
Dim number As Integer = 10
‘ 文字列型の変数「name」を宣言し、初期値を「Sato」に設定
Dim name As String = “Sato”

 

定数は値が決まっている変数のようなもので、「Const」を用いて宣言します。

‘ 整数型の定数「MaxNumber」を宣言し、初期値を100に設定
Const MaxNumber As Integer = 100

 

データ型

データ型とは、変数や定数で保持するデータの種類を定義するものです。VB.NETでは次のようなデータ型が使えます。

  • 数値型(Integer、Double)
  • 論理型(Boolean)
  • 文字列型(String)
  • 日付型(Date)など

例えば、条件の真偽を表す「論理型」で変数を宣言する例は次の通りです。

‘ 論理型の変数「isAvailable」を宣言し、初期値をTrue(真)に設定
Dim isAvailable As Boolean = True

 

演算子

演算子とは、数値の計算や文字列の操作などを行うためのものです。VB.NETでは次のような演算子が利用できます。

  • 四則演算(+、-、*、/)
  • 比較演算(=、<、>など)
  • 論理演算(And, Or, Not)
  • 文字列連結(&)など

演算子の使用例は次の通りです。

‘ 数値型の変数「sum」を宣言し、初期値を1+2の結果として設定
Dim sum As Integer = 1 + 2
‘ 論理型の変数「isLarger」を宣言し、初期値を5が3より大きいかの真偽として設定
Dim isEqual As Boolean = (5 > 3)

 

制御構文

制御構文とは、プログラムを実行する順番や条件を指定するためのものです。VB.NETの制御構文は、英語の文法に似ているという特徴があります。主な基本構文は次の通りです。

  • 条件分岐構文(If Then、Select Case)
  • 繰り返し構文(For Next、While End While、Do Loop)など

例えば、1から5までの数字を順番に表示するコード例は次の通りです。

For n As Integer = 1 To 5
    Console.WriteLine(n)
Next n

 

VB.NETの関数

関数とは、いくつかの処理を1つにまとめて扱うための機能です。例えば、与えられた整数の値を2倍にした結果を表示する関数は、次のように作成します。

‘ 「DoubleValue」という関数を宣言し、引数として整数型の値「number」を受け取り、戻り値として2倍にした計算結果を返すように指定
Function DoubleValue(ByVal number As Integer) As Integer
    Return number * 2
End Function

‘ 「result」という変数を宣言し、「DoubleValue」の引数に5を指定した結果を格納して表示
Dim result As Integer = DoubleValue(5)
Console.WriteLine(result)

 

上記のコードをVisual Studioで実行すると、コンソールに計算結果の「10」が表示されます。

関数の実行結果

ここからは、汎用性の高い以下の関数の使い方を解説します。

引数

引数とは、関数で処理したいデータを渡すためのものです。VB.NETでは、「ByVal」や「ByRef」などのキーワードを使って、関数の引数を指定できます。

例えば、前述の「与えられた数値を2倍にする関数」のコード例では、次の部分で整数型の引数「number」を指定しています。

ByVal number As Integer

 

戻り値

戻り値とは、関数で処理した結果を出力するためのものです。VB.NETでは、「Return」というキーワードを使って関数の戻り値を指定します。

例えば、前述の関数のコード例では、次の部分で戻り値を指定します。

Return number * 2

 

ラムダ式

ラムダ式とは、より簡単な書き方で関数を定義できる機能です。シンプルな記述で関数を作成できるため、コードを簡略化したい場合に役立ちます。

ラムダ式の基本的な書き方は次の通りです。

Func(Of 引数のデータ型1, 引数のデータ型2, ・・・, 戻り値のデータ型)

 

「Of」以降に複数のデータ型を記載すると、最後の1つが戻り値のデータ型、それ以外が引数のデータ型として扱われます。

例えば、前述の与えられた値を2倍にして返すコードは、ラムダ式を用いて次のように書けます。

‘ 「doubleValue」というラムダ式を宣言し、与えられた整数を2倍にするように指定
Dim doubleValue As Func(Of Integer, Integer) = Function(x) x * 2

‘ 「5」を2倍にした結果を表示
Dim result As Integer = doubleValue(5)
Console.WriteLine(result)

 

コード内の「Func(Of Integer, Integer) = Function(x) x * 2」という部分が、ラムダ式の書き方です。1つの整数型のデータを受け取り、2倍にした上で戻り値として返すという指定を行っています。

コードを実行すると、最初のコードと同じ結果が得られます。

ラムダ式の実行結果

 

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評価:★★★★★
コメント:VB.NETによるシステム開発手法について幅広く網羅して解説されていて自分の中での断片的な知識を体系化出来た。

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