今話題のDAppとは?基礎知識から具体例まで徹底解説!

今話題のDAppとは?基礎知識から具体例まで徹底解説!

近年、NFTやDeFiなどに注目が集まっていますが、それらを実現するものが「DApp」です。インターネットと同等の革命を起こすとされているブロックチェーンの仕組みを利用したものであり、DAppについて詳しく知りたいという方も多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、DAppの概要や今注目されている理由、活用事例を紹介します。

DAppとは?

DApp(Decentralized Application)とは、ブロックチェーンを基盤として構築される「分散型アプリ」のことです。従来のアプリは管理者が存在しており、中央集権型でデータの管理が行われています。よって、ユーザーデータなどはアプリを運営する企業などへ集められますが、DAppではそれがありません。
※ブロックチェーンの詳細はこちら(https://udemy.benesse.co.jp/development/blockchain/block-chain.html)

DAppでは、管理者によってデータが一元管理されるのではなく、参加するユーザーのデバイス全体でデータを管理できます。参加者(ノード)のすべてが同じデータのコピーを保存しており、改ざんなども容易に行えない仕組みになっています。

DAppにもSNSやゲーム、生産性向上ツールなどのさまざまな種類がありますが、いずれもブロックチェーンの仕組みを利用して自律的に動作しています。そのため、DAppの開発者がユーザーデータを収集し、売買するという危険もほとんどありません。多くのDAppはDeFi(分散型金融)サービスにアクセスするためのツールとして開発されており、暗号資産を購入することで誰でも利用できます。

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DAppが今注目されている理由

DAppが注目されている大きな理由の一つとして、「セキュリティ面の向上」が挙げられます。DAppでは管理者が存在しないため、ユーザーは特定の管理者に資産や情報を預けるというリスクが少なくなります。例えば、近年ではサイバー攻撃によって情報が漏洩する事故も多く報告されていますが、これは中央集権型で情報(ユーザーデータ)を保管しているために発生するものです。

また、GAFA(Google/Apple/Facebook/Amazon)と呼ばれる巨大企業による市場の独占が進んだことで、個人のプライバシー保護は重要視されるようになりました。DAppであれば特定の企業に情報が集中しにくくなるため、個人情報を不当に利用されるリスクも少なくなります。

そのほかにも、ブロックチェーンの仕組みを利用していることからすべての取引は記録され、分散して管理されるため、データの偽造や改ざんも防ぐことが可能です。データの偽造・改ざんを防げるようになったことで、画像や動画などのデジタルコンテンツを守ることができるようになり、デジタルコンテンツに資産価値を付与することもできるようになりました。この仕組みを利用したものがNFTです。NFTについては、後ほど具体例として解説します。

DAppを開発する企業側が、セキュリティや可用性を高めるための対策にかかっていたコストを削減できる点も、注目されている理由の1つとして挙げられるでしょう。

DAppが使用されている具体例

現在、DAppは主に金融業界や保険、ゲームなどで活用されています。そのなかでも、特に代表的な「NFT」「DeFi」について見ていきましょう。

NFTアート、NFTゲーム

NFTとは、ブロックチェーンを利用して代替不可能であることを証明する技術です。Non-Fungible Tokenの略称であり、「代替不可能なトークン」を意味します。NFTを利用することで、デジタルデータに唯一無二の価値を付与できます。

例えば、従来のデジタルデータは誰でも簡単に複製して改変することが可能です。著名な画家がデジタルデータで絵画を描いたとしても、そのデータが本物であるかどうかを判別することは容易ではありません。しかし、NFTを利用することでデジタルアートであっても誰が作成したのか(所有者)が明確になるため、希少性を担保できます。実際に2021年3月には、デジタルアートの「Everydays: The First 5000 Days」という作品が約75億円で落札されました。

また、デジタルアートだけでなく、ゲーム内のキャラクターやアイテムの売買に利用されるケースもあります。これらのデジタルデータも唯一無二のものとして希少性を担保できるようになったことで、自身が育てたキャラクターや、ゲーム内で希少性の高いアイテムを非代替性トークンとして売買できるようになったのです。

これらはNFTゲームとして、NFTの代表的な活用例の一つとなっています。

DeFi(分散型金融)

DeFiはDecentralized Financeの略称であり、「分散型金融」を意味する言葉です。中央集権型ではない金融仲介アプリケーションと捉えることもできます。これまでの金融取引では、銀行や証券会社などを介して取引をしていました。しかし、DeFiではユーザー同士で金融サービスを利用できます。

先にお話ししたとおり、DAppではブロックチェーンを利用しているためデータの偽造・改ざんが難しくDeFiでも同様のことがいえます。銀行・証券会社などの信用できる第三者の仲介者を介さずとも、安心して取引が実現できるということです。仲介者を介さないため手数料などのコストを削減でき、取引の台帳はすべてのユーザーで共有されるため、透明性が高い点も特徴です。

DeFiはクラウドファンディング・デリバティブ取引・保険など、さまざまな金融サービスで活用が進んでいます。

DAppの根幹をなす「スマートコントラクト」とは?

スマートコントラクトとは、ブロックチェーン上で契約を自動的に実行する仕組み・概念です。ブロックチェーン上で記録された取引について、その発行などをトリガーにして、プログラムとして自動的に実行します。

わかりやすくいうと、自動販売機をイメージするとよいでしょう。商品の価格を予め設定しておき、購入者は商品を選択したあとに決済という取引を行います。すると、自動的に契約が執行され、商品の所有権は購入者に移ります。このような契約の自動化をブロックチェーン上で実現するものがスマートコントラクトです。

先程のNFTの例ならば、NFTアートの作成者が作品を売買した後に、購入者が転売すると売上の数%を作成者に還元する、というような仕組みも実現できます。スマートコントラクトはイーサリアムなどの多くの仮想通貨で実装されており、DAppの根幹をなす存在であるといっても過言ではありません。

また、スマートコントラクトをIoT技術などと組み合わせ、さまざまな自動処理を実現することも期待されています。例えば、IoT機器で自動車の状況を監視し、事故などが発生した際に自動車保険で支払要件が満たされたとして保険金の支払いを執行する、などの活用方法が考えられます。

そのほかにも、国際貿易や選挙における投票などへの活用も期待されており、さまざまな分野での利用が広がっていくでしょう。

DAppは今後どう発展していくか?

現状、DAppユーザーはそこまで多くないといえます。しかし、NFTアート・NFTゲームによってその存在感は増しており、DeFiの浸透によって拡大するとみられます。

実際に、世界最大規模の独立型仮想通貨データアグリゲーターであるCoinGeckoによれば、 2021年時点のNFT市場規模は230億ドルを上回った※1と報告されました。 また、日本総研によると2021年のDeFi市場規模は約1,000億ドル ※2と報告されており、どちらも市場規模は非常に大きくなっています。

※1参照:Year Report 2021( CoinGecko ) p37「2021年 NFTマーケットプレイストップ10 合計取引高」を参照。
※2参照:DeFi(分散型金融)の拡大と指摘される金融リスク(日本総研)

昨今、ユーザーは透明性の高さを求めており、利益と安心のために時間を費やす傾向にあります。DAppはユーザーが求める透明性の高さを実現できることから、今後も拡大することが予想できるでしょう。

2019年にはブロックチェーン対応のスマートフォンも登場しており、このようなスマートフォンにはあらかじめDAppを利用するための機能が搭載されています。今後ブロックチェーン対応のスマートフォンが普及することで、DAppユーザーの数も増加すると予測されています。

DAppは分散型アプリを意味する言葉であり、ブロックチェーンの仕組みを利用しています。従来の中央集権型のアプリではなく、参加するユーザーのデバイス全体でデータを管理する仕組みです。

NFTアート・NFTゲーム、DeFiなどに活用されており、新たな価値の創出やセキュリティ面の高さが評価され、今後さらに発展すると予測されます。ブロックチェーンはインターネットに次ぐ革命をもたらす存在とされており、その技術を利用したDAppも私達の生活に革命をもたらす存在といえるでしょう。 みなさんも、この機会にDAppに触れてみてはいかがでしょうか