ブロックチェーンの仕組みを分かりやすく解説!活用例も紹介

ここ数年でビットコインの存在が知られるようになり、ビットコインに対して多くの方は投資の対象として魅力的なものと感じているようです。
しかしビットコインの本質は、「中核を担う技術」であり、社会に大きな影響を与えるものとして注目されています。

ビットコインの中核の技術として生み出されたのがブロックチェーンです。ブロックチェーンは、ただのデジタルデータであるビットコインに、通貨と同等の価値を持たすことができる革新的な技術です。

この革新的な技術に多くの技術者たちが熱狂しているものの、専門的な用語や英語でのリソースが多いため、仮想通貨に興味を持った初心者でも容易に理解できる記事はまだまだ少ないです。

そこでこの記事では、ブロックチェーンの仕組みや活用事例などを初心者でもわかりやすく理解できるように解説していきます。

できる限り難しい言葉は使わず専門用語には解説を入れていますので、仮想通貨に興味を持ったばかりの方でも理解できるようになりますよ!

ブロックチェーンとは何かとその仕組みを解説!

ブロックチェーンを簡単にいうと、お金のやり取り(取引履歴)を記録したデータベースのことです。

ブロックチェーンに記録されるデータは、そのブロックチェーンの運用が始まってから、すべてのやり取りが記録されており、誰でもその取引履歴をさかのぼって閲覧することができます。ブロックチェーンはいわゆる簿記などで記録するための台帳の役割を持っています。

ブロックチェーンに記録される取引データのことをトランザクションと呼び、トランザクションは一つにまとめられます。このトランザクションをまとめたものをブロックといいます。

トランザクションとブロックのイメージ

ブロックは直列に並べられており、新しくつながれるブロックが正しければチェーンに繋がれる仕組みとなっています。これがブロックチェーンと呼ばれるゆえんです。

ブロックチェーンのイメージ

ちなみに、ビットコインのブロックチェーンには現在54万以上のブロックが連なっています。

ブロックチェーンにはネットワークに参加していれば誰でも利用できるようになっており、ソフトウェアをインストールするだけで世界中のどこからでも利用することが可能です。

 

ブロックチェーンの特徴的な仕組みは?

では、ブロックチェーンの仕組みや特徴を5つに絞り、解説していきます。

ブロックチェーンの特徴的な仕組み①
中央管理者が存在しない

ブロックチェーン革新的な点は、ネットワークに参加している世界中のコンピューターが分散して管理を行っているところです。

ブロックチェーンのルールや方向性を決めるための権限が、ネットワークに参加しているすべてのコンピューターに与えられており、「中央管理者」といった特定の組織に管理されていないことを意味しています。

ブロックチェーンが注目されるのは、世界で初めての非中央集権型システムという点です。

ブロックチェーンの特徴的な仕組み②
ブロックはハッシュ関数を用いて暗号化する

ハッシュ関数とは、自分が入力した文字列に対して全く違う文字列が出力される暗号技術のことです。ハッシュ関数は日常的に利用されており、パスワードや個人情報などをハッシュ化することで情報の漏洩を防ぐことができます。

ブロックチェーンを構成するブロックは、このハッシュ関数を用いて暗号化しているという特徴があります。

ブロックチェーンの特徴的な仕組み③
即時性が求められる分野には向いていない

ブロックチェーンに記録される取引は、承認するのに一定の時間がかかる仕組みとなっているので、一定の時間が経つまでは決済が完了していないことになっています。

しかし、それでは実店舗などで仮想通貨決済を利用しづらくなってしまうので、実際は決済していないけれども、決済を完了したとみなすシステムが活用されています。これを「ゼロタイムシステム」と呼びます。

ブロックチェーンの特徴的な仕組み④
記録された取引履歴を誰でも閲覧できる

ブロックチェーンの運用が始まってから、そのブロックチェーン上で行われた取引はすべて記録されています。さらに、その取引履歴は誰でも閲覧することが可能なので、少しでも不正や改ざんが行われればすぐに見つかってしまいます。

ブロックチェーンの特徴的な仕組み⑤
既存のブロックチェーンを活用して新たな仮想通貨を作れる

既存のブロックチェーンを活用することで、そのブロックチェーンのメリットを享受しながらも新たな仮想通貨を作ることもできます。

たとえばビットコインであれば、ビットコインブロックチェーンはネットワークの参加者が多くセキュリティが高く保たれているので、ビットコインブロックチェーン上で作られた仮想通貨は安全性の高い通貨を作ることができます。

ファクトム(FCT)やカウンターパーティ(XCP)といった仮想通貨は、ビットコイン2.0と呼ばれ、ビットコインブロックチェーン上に構築されています。

 

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ブロックチェーンを使うメリット

続いて、ブロックチェーンを使う3つのメリットを紹介します。いずれもブロックチェーンの特徴を活かしたメリットと言えるでしょう。

ブロックチェーンの特徴イメージ

仲介業者が不要

ブロックチェーン上で行われる取引は、仲介業者を必要とせず当事者の間で直接的に行われます。そのため、仲介業を生業とした不動産業や決済サービス業などは徐々に淘汰されていくことが考えられます。

コストの削減

仲介業者が不要になることは、そこに必要だったコストも不要になるということです。

また海外送金を行う場合に必要であった入念な確認作業や、それに伴う人件費も削減することができます。そのため、ブロックチェーンによって低コストかつ円滑な取引が可能になります。

不正や改ざんが行われず透明性が高い

ブロックチェーンの不正や改ざんは、そのネットワークの参加者たちがお互いを監視しあう仕組みによって防いでいます。分散型によるメリットは、参加者たちが全く同じデータを持ち合わせていることや取引履歴は誰でも閲覧できることから、少しでも間違ったところがあるとすぐに発見されてしまいます。

また記録されるデータが改ざんされづらいことから、そのデータは正確であり透明性が高いことが証明できます。

 

ブロックチェーンの仕組みを理解するために必要な技術を紹介!

ここでは、ブロックチェーンの仕組みを理解するために必要な、ブロックチェーンに活用されている以下の技術について解説します。

・P2Pネットワーク
・ブロックの構造とハッシュ値とナンス
・コンセンサスアルゴリズム

P2Pネットワーク

P2Pネットワークとは、ネットワークに参加しているユーザーたちを、直接的に繋ぐネットワークのことです。ブロックチェーンに中央管理者が存在しないのはP2Pネットワークによって成立しています。

従来のシステムであるクライアント・サーバー型との比較を下記の表にまとめました。

P2Pネットワークイメージ

特徴としては、管理者が分散している点と、単一障害点がないということでしょう。

P2Pネットワーク クライアント・サーバー型
管理者 参加者がそれぞれ管理 メインサーバーが一括管理
単一障害点 なし あり


P2Pネットワークでは、世界中に点在しているネットワークの参加者たちが、全く同じ内容のデータをそれぞれで管理しています。

一方クライアント・サーバー型では、メインサーバーが一括して管理を行っており、メインサーバーとクライアントがやり取りを行います。

 

単一障害点とは、単一箇所が稼働しなければ、システム全体に異常をきたしてしまう箇所のことです。

P2Pネットワークでは、参加者がそれぞれ全く同じデータを保有しているため、1つのサーバーでサーバーの停止が起こったとしてもシステムは稼働し続けることができます。

一方クライアント・サーバー型では、メインサーバーが一括管理を行っていることで、メインサーバー自体が異常をきたしてしまうと、システム全体が停止し、利用できなくなります。

 

ブロックの構造とハッシュ値とナンス

ネットワークの参加者たちは正確な取引履歴をブロックチェーンに記録するために、新しいブロックを作成します。新しいブロックには、取引データ・前のブロックのハッシュ値・ナンスが含まれた構造となっています。

<ハッシュ値>

ハッシュ値とは、あるデータをハッシュ化することによって全く違う文字列に変換された値のことです。新しいブロックには、前のブロックをハッシュ化した値を入れます。

ハッシュ値は、少しでも違う文字列をハッシュ化することで全く違う値になる特性を持っており、たとえばビットコインの暗号化アルゴリズムであるSHA256ハッシュジェネレータを使うと、

あいうえお FDB481EA956FDB654AFCC327CFF9B626966B2ABDABC3F3E6DBCB1667A888ED9A
あいうええ 6466204F5FDF2677C2FFF79038F94C1BFA98CE0E255D82C6EAC69839616388BE

あいうえおという文字列をハッシュ化した値と、あいうええという文字列をハッシュ化した値では、全く違う値になることがわかります。

ブロックチェーンではこの特性を利用することで、取引履歴の不正や改ざんを容易に発見することができます。

<ナンス>

ナンスとは、ブロックを生成するときに必要な数値であり、新しくブロックを作成するためのカギでもあります。

ナンスは始めからブロックに格納されているわけではなく、一定のルールに基づいた値になるまで計算してナンスを導き出さなければいけません。

条件に当てはまるナンスを見つけるためには、何億回、何兆回もの計算を行うことでやっと導き出すことができます。

ナンスを導き出すためには、以下のように行います。

・「前のブロックのハッシュ値」と「取引データ」を合わせてハッシュ化します。
・出力されたハッシュ値とナンスが、ルールの条件に合う値となるまで計算し続けます。
・条件に合うナンスを一番早く見つけた参加者が新しいブロックを作成します。

ナンスを導き出し、新しいブロックを作成した参加者は報酬を受け取ることができます。

 

コンセンサスアルゴリズム

コンセンサスアルゴリズムとは、ブロックチェーンに正しい取引履歴であるかどうかを確認する承認作業を誰に任せるかを決める方式のことです。この承認作業のことをマイニングといい、マイニングとはいわゆる解となるナンスを見つけ出す作業のことをいいます。
→マイニングのやり方については、こちらの記事で詳しく解説しています。

承認作業を誰にするか

コンセンサスアルゴリズムにはいくつかの方式があります。たとえばビットコインで採用されているコンセンサスアルゴリズムにPoW(Proof of Work・プルーフオブワーク)があります。

PoWとは、膨大な計算を行い誰が一番早くナンスを探し当てることができるかを競う方式のことです。計算能力が高い参加者ほど有利となっており、計算能力の高さはスペックの高いコンピューターに比例します。

PoWで取引履歴を改ざんするためには、そのネットワーク全体の51%以上の計算能力を保有する必要があります。実際に改ざんをするためには、そのブロックチェーンが参加している51%以上のコンピューターを支配する必要があります。

またブロックチェーンの報酬システムが、不正や改ざんに歯止めをかけています。不正や改ざんを行うためには膨大なコストがかかります。現時点で一番セキュリティレベルの高いビットコインブロックチェーンに対して、1時間攻撃を行うには約80万ドルの資金が必要です。

よって、ブロックチェーンの不正や改ざんを行ってビットコインを奪うよりも、おとなしくマイニングを行って報酬を受け取るほうが、効率が良いというインセンティブが働いているのです。ブロックチェーンが実質改ざん不可能といわれているのは、こういった理由が挙げられます。

 

PoWに対して、PoS(Proof of Stake・プルーフオブステーク)は、通貨の保有量と保有期間をかけ合わせて、大きな数値の参加者ほど高い確率で承認作業ができる方式です。PoSを採用している通貨にネオ(NEO)やカルダノ(ADA)があります。

また、通貨の保有量や保有期間だけでなく、送金頻度や送金量を重要度スコアとして数値化し、重要度スコアが大きいほど承認作業ができるPoI(Proof of Important・プルーフオブインポータント)があります。PoIを採用しているのはネム(XEM)だけです。

 

仮想通貨だけじゃない、ブロックチェーンの活用例

ビットコインの中核の技術であるブロックチェーンが、社会的にどのように活用されるのかを解説します。まずは社会に活用されるブロックチェーンの5つの特性を紹介します。

ブロックチェーンの活用イメージ

トレーサビリティ

繰り返しになりますが、ブロックチェーンに記録されたデータは誰でも閲覧することができます。また、運用が始まってからすべての取引履歴が記録されていることから、優れた追跡機能を提供することができます。

ブロックチェーンに記録されたデータは透明性が高いので商品の品質も高く保つことが可能になります。

情報共有

ブロックチェーン上ではネットワークに参加しているコンピューターすべてに、同じ内容のデータが共有されています。P2Pネットワークによってメインサーバーは不要となり分散システムを構築することができます。

ゼロダウンタイム

従来のシステムは、そのメインサーバーが攻撃され異常が起きると、システムを停止しなければいけませんでした。しかしブロックチェーンでは単一障害点がなく、一か所コンピューターが停止したとしてもシステムは稼働し続けます。

たとえば、ゲームアプリを開発する会社が何らかの問題で倒産したとしても、そのゲームの開発に携わりたい人がいる限り開発は続けることができるのです。

データの不正や改ざんの困難性

ブロックチェーンで不正や改ざんを行うためには、そのネットワークで過半数以上の権力を支配する必要があります。また、ネットワークの参加者たちはお互いを監視することで、容易に改ざんを発見できます。

ブロックチェーンで大きな権力を持つためには膨大なコストと過半数以上の参加者からの支持票が必要なのです。

低コスト

ブロックチェーンではトラストレス(信頼不要)の取引が可能となり、それに伴うコストを削減することができます。これまで安全性や確実性を担保にしてきたものが、ブロックチェーンによって一切不要となり、より円滑で安全性の高い取引を行うことができます。

 

ブロックチェーン応用サービス例

最後に、ブロックチェーンの上記の特徴を活かし、ブロックチェーンが実際に活用されるであろう業界を解説していきます。

 

応用例①物流システム分野

物流システムでは、生産者から消費者まで商品を届けるまでに複雑な工程が多く存在し、仲介業者も介在することでさらに複雑さが増しコストも増加しています。

これらをブロックチェーンで応用することで、仲介業者をなくし消費者とメーカーとを直接つなげることができるようになります。

また消費者は、メーカーから送られる商品データにいつでもアクセスできるので、メーカーは透明性の高いデータを提供でき、消費者は信頼性の高いデータをトレース(追跡)することができます。

 

応用例②医療分野

エストニアでは実際に、個人の医療データの管理にブロックチェーンが活用されています。

カルテなどの医療記録をブロックチェーンに記録することで、医師たちはスマホでいつでも患者記録を共有することができ、患者に対して早急に正確な治療を施すことが可能になっています。

 

応用例③音楽分野

音楽業界ではここ数年でストリーミングサービスが台頭し、CDからダウンロードに変移することでアーティストの収益構造はより複雑化しています。よってアーティストが適切な使用料を受け取れていないことが問題になっています。

ブロックチェーンを音楽分野で応用した場合、アーティストの楽曲を使用するたびにブロックチェーンに記録していくことで、楽曲の使用者を追跡でき適切な使用料を徴収することができます。さらに楽曲の使用ルールも明確にすることができ、著作権保護にも役立たせることができます。

 

 

革新的な技術といわれるブロックチェーンを理解するためには、仕組みはもちろんのこと、どのように社会で活用されていくのかを考えることでより深い領域を知ることができます。

初心者の方は難しく考えなくてもいいのですが、この記事に書いてあることを少しでも理解することで仮想通貨投資以外にも興味がわいてくるのではないでしょうか?