Web3.0とはインターネットの新たな形を表す概念で、分散型ウェブとも呼ばれます。エンジニアなどWebに携わる職種で活躍したい場合、Web3.0について正しく理解しておくことが重要です。
この記事ではWeb3.0が生まれた背景やメリット・デメリット、Web3.0を活用したビジネスの具体例を紹介します。
Web3.0とは?わかりやすく解説
Web3.0 という概念は、2014年にイギリスのコンピューターサイエンティストであるギャビン・ウッド氏によって提唱されました。その特徴として挙げられる2つのキーワードが「脱中央集権型」と「ブロックチェーン」です。現在のインターネットは、いわゆる「GAFA」(Google、Apple、Facebook、Amazon)をはじめとする、大手デジタルプラットフォームを提供する企業の影響力が強い状況です。
それらのサービスを利用するにあたり、ユーザーは個人情報の提供を求められます。そして、その個人情報は、プラットフォーム事業主のサービスに利用されることがあり、個人漏洩などのリスクもはらんでいます。
このようなリスクを回避するためにも、複数のユーザー間でシステムの信頼性を維持するブロックチェーンを活用するというのがWeb3.0の特徴となります。
ここからは、Web3.0が生まれた背景として、Web1.0やWeb2.0と呼ばれる従来のインターネットについて解説します。
Web1.0の特徴
Web1.0とは、1990年代半ばから2000年代半ば頃のインターネットを表す言葉です。インターネットの初期段階である、Web1.0が扱えるデータ量や通信速度は現在と比べて低く、また画像や動画などのコンテンツも多くない時代であったため、テキストが主流でした。
Web1.0では、企業だけではなく個人もWebサイトで情報を発信できるようになりました。しかし、SNSのようなインターネット上での双方向のやりとりはまだなく、コミュニケーション手段はメールが中心でした。
Web2.0の特徴
Web2.0は、2000年代半ば以降のインターネットを表します。2000年代半ばに、オライリーメディアの創立者であるティム・オライリー氏によってWeb2.0の概念が提唱されました。
Webサイト運営者からの一方的な情報発信だけでなく、双方向でやりとりが行われる点がWeb2.0の特徴です。
コメントを投稿できるブログやSNS、レビューを含むECサイトなどの出現が、Web2.0の主な特徴として挙げられます。利用者間や企業間に何らかの相互関係が生じるWebサイトの体系がWeb2.0です。
また、Web2.0では、Ajaxなどの技術を用いた斬新でリッチな動的Webサイトが作られるようになりました。
Web2.0における2つの問題点
Web2.0では魅力的なWebサイトやサービスが多く登場したものの、問題も発生しています。主な問題点は次の2つです。
・プライバシー侵害の問題
Web2.0では、SNSやECサイトの運営企業に個人情報が集中することによるプライバシー侵害が問題視されています。ユーザーの住所や年齢、インターネット上での行動履歴などが特定企業に知られてしまうことがWeb2.0の問題点です。
・セキュリティの問題
Web2.0では、一部の企業による中央主権型で情報が扱われています。そのため、企業が管理するサーバーがハッキングされた場合、個人情報流出やデータ改ざんのリスクがあり危険な状態でした。
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Web3.0が注目される背景として、現在のインターネット上で、個人情報流出などの問題が実際に起こっていることが挙げられます。
2013年には、エドワード・スノーデン氏により、アメリカ政府がWeb上の情報を秘密裏に収集しようとしていることが告発されました。その告発を受け、Web3.0の提唱者ギャビン・ウッド氏のブログでは「ポスト・スノーデン時代のWeb」としてWeb3.0が説明されています。
Web3.0では、テクノロジーを活用してデータ所有権を分散管理することで、情報を民主的に取り扱うことが可能です。これにより中央集権型 のWeb2.0で起きているプライバシーやセキュリティの問題が解決できます。
また、Web3.0を 実現するためには、暗号資産やメタバース上での取引などにも用いられるブロックチェーンの普及が必須です。特定のプラットフォームに頼らずデータの信頼性を担保できるブロックチェーンの仕組みにより、Web3.0が実装可能となります。
Web3.0における2つの問題点
次世代のインターネットであるWeb3.0には、メリットだけでなくデメリットもあるため注意が必要です。Web3.0のリスクとして、次の2つの問題点が挙げられます。
・法的な整備がまだ行われていないこと
Web3.0は、提唱されて間もない概念のため、ルールや法律がまだ整備されていません。法整備が進み、Web3.0が普及するまでにはまだまだ時間が必要です。
・利用上のトラブルはすべて自己責任となること
データの所有権を、各ユーザーが個人で管理するWeb3.0では、ハッキングされるなどのトラブルはすべて自己責任となります。データ管理の責任を企業に問うことができるWeb2.0と異なり、個人が負う責任が重くなります。
Web3.0を活用した代表的な事例
EUのGDPR( General Data Protection Regulation:一般データ保護規則 )など世界的に個人情報保護への制度が強化され、最近では、Web3.0を活用する企業やサービスが増え始めています。ここでは、Web3.0の技術を活用している代表的なサービスを紹介します。
Web3ブラウザ「Brave」
Braveは、Web3.0時代のアプリとして注目を集めている新しいブラウザです。JavaScriptの生みの親であるブレンダン・アイク氏とプログラマーのブライアン・ボンディ氏によって開発されました。
Brave トップ画面
Braveは、Google ChromeやSafariなどに代わるブラウザとして期待されています。従来のブラウザと比べて、個人情報の保護機能が強化されている点がBraveの特徴です。Braveを利用することで、ブラウザからの情報漏洩で、第三者にプライバシーを侵害されるリスクを抑えられます。
また、Braveでは不要な広告をブロックすることが可能です。ポップアップ広告やバナー広告を非表示にして、インターネット上のコンテンツを快適に閲覧できます。
ブロックチェーンゲーム「My Crypto Heroes」
My Crypto Heroesは、double jump.tokyo株式会社によって開発されたゲームです。ブロックチェーンプラットフォームのイーサリアムをベースに開発された、世界最大級のオンラインRPGとなっています。
My Crypto Heroes トップ画面
ゲーム内で入手した各種アセットは、NFTマーケットで売買できることがMy Crypto Heroesの特徴です。希少価値の高いアセットをゲーム外で販売することで、暗号通貨が得られます。
ゲームデータは、ブロックチェーンで管理されているため、My Crypto Heroesのサービスが終了した場合もアセットを保有し続けることが可能です。
NFTマーケットプレイス「OpenSea」
OpenSeaは、様々なNFTコンテンツを扱っているマーケットプレイスで、100万人を超えるユーザーから利用されています。数あるNFTマーケットプレイスの中でも、 OpenSeaは圧倒的な規模を誇っているサービスです。
OpenSea トップ画面
OpenSeaでは、アート作品や音楽作品、ゲームのアイテムなど、様々なNFTコンテンツを売買できます。
イーサリアムだけでなく、PolygonやKlaytnなど多くのブロックチェーンに対応している点がOpenSeaの特徴です。手数料が安いブロックチェーンを利用することで、コストを抑えて取引ができます。
Web3.0は、従来の中央集権的なインターネットに代わる新たな仕組みとして提唱された概念です。Web3.0が実現すると、ユーザー自身が分散的に権利を所有・管理できるようになります。
ただし、Web3.0には法整備が進んでいないなど、まだまだ問題点があるのも現状です。今後IT業界で活躍したい方は、Web3.0の特徴を正しく理解しておきましょう。
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