電子回路にはさまざまな種類や構成要素があるため、正しい知識を身に付けておくことが大切です。この記事では、電子回路の概要や電子回路に使用される素子、デジタル回路とアナログ回路の違いなどについて解説します。電子工作に興味がある方はぜひ参考にしてください。
電子回路とは?
回路とは、電源や素子、配線などの部品を組み合わせて構成されたものを表します。回路の中でも、受動素子と能動素子によって構成されたものが電子回路です。
電子回路の作り方や使い方に関する知識は、電子工作などを実践しながら身に付けることができます。各素子の役割だけでなく、回路設計や電気信号に関する法則なども理解しておくことが重要です。また、電子回路にはアナログ回路とデジタル回路の2種類があり、特徴が異なります。
電気回路との違い
半導体などの部品で作られ、電気によって動作する回路は、全て「電気回路」と呼ばれます。そのため、電子回路も電気回路の一部として捉えることが可能です。
一般的に、抵抗やコイル、コンデンサなどの受動素子を使って構成された回路は電気回路と呼ばれます。一方、受動素子だけでなく、トランジスタやIC、ダイオードなどの能動素子も回路設計に含まれる点が電子回路の特徴です。
また、電源に使用されている電圧の高さによって、電気回路と電子回路を分類する場合もあります。
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電子回路を作る場合、使用する回路素子の特徴や回路図の書き方を把握しておくことが大切です。受動素子と能動素子では、電流を流した時の挙動や使いどころが異なります。
ここでは、電子回路に欠かせない代表的な受動素子と能動素子について解説します。
受動素子(抵抗・コイル・コンデンサ)の特徴
主な受動素子は次の3つです。
抵抗
電子回路において、抵抗は電流の流れを妨げようとする働きがあります。電源の電圧に対して適切な抵抗値を設定し、回路に流れる電流の大きさを調整することが抵抗の役割です。
回路図では細長い長方形のマークや、Rという記号で抵抗が表されます。ごく簡単な作りの基本回路から複雑な回路まで、幅広く使用される受動素子です。
コイル
コイルは電流に応じて磁力を発生させる働きがあります。直流電流のみをよく通す性質を生かし、交流電流を妨げることなどがコイルの主な役割です。
回路図ではらせん状の線や、Lという記号でコイルが表されます。モーターや通信機器の受信部などに使用される受動素子です。
コンデンサ
コンデンサは電気を蓄えたり、放出したりする働きがあります。回路内で充放電を行ったり、交流電流のみを通したりすることがコンデンサの役割です。
回路図では導線と垂直な方向に描かれた2本の線や、Cという記号でコンデンサが表されます。充電機能を持つ機器などに使用される受動素子です。
能動素子(トランジスタ・IC・ダイオード)の特徴
主な能動素子は次の3つです。
トランジスタ
トランジスタは電流の流れを制御する働きを持った素子です。基礎的な構造は同じで、機能が異なるバイポーラトランジスタと電界効果トランジスタの2種類があります。
バイポーラトランジスタでは、電流によって電流の流れを制御することが可能です。電界効果トランジスタでは、電圧によって電流の流れを制御できます。
回路図では、丸の中で3つの線が繋がったような記号でトランジスタが表されます。電流の制御のほか、小さい電気信号を大きく増幅する時にも使用される能動素子です。
IC
ICは小さな基板上に電子回路が配置された素子で、回路の中身に応じたさまざまな働きがあります。センサーや信号処理など、複雑な動作を小さな回路で実現することがICの役割です。
回路図では、長方形の周りに短い線がいくつか描かれた記号でICが表されます。小型の電化製品などに使用される能動素子です。
ダイオード
ダイオードは2種類の半導体素材によって作られていて、一方向のみの電流を通す働きがあります。電流の方向を制限したり、交流電流を直流電流に変換したりすることがダイオードの役割です。
回路図では三角形と短い線を組み合わせた記号でダイオードが表されます。電源のACアダプタや照明機器など、数多くの電化製品で使用される能動素子です。
デジタル回路とアナログ回路の違い
デジタル回路とアナログ回路は、扱う電気信号の性質が異なります。ただし、デジタル回路はアナログ回路の一部として捉えることが可能です。
アナログ回路は、連続的に変化する電気信号を扱います。例えば、温度によって電圧が変化する素子を含む回路では、温度の変化に応じた電圧の変化を連続した物理量として取得できます。
一方、デジタル回路はAND回路とOR回路、NOT回路という基礎的な要素の組み合わせで構成される電子回路です。論理演算の仕組みを使用するため、デジタル回路は論理回路とも呼ばれます。デジタル回路で扱う電気信号は、0と1、またはオンとオフなどの2種類のみです。
デジタル回路もアナログ回路も、使用する際は電源に接続する必要があります。
アナログ回路のメリット
アナログ回路のメリットは次の通りです。
多くの情報を短時間で伝えられる
アナログ回路では電圧の変化が連続的に捉えられるため、一定の時間に含められる周波数には理論上の上限がありません。この性質を利用して、多くの情報を短時間で伝えられる点がアナログ回路のメリットです。
ただし、あまりにも短い時間に情報を詰め込みすぎるとノイズの影響を受けてしまうため、電子工作などを行う際はノイズ対策が必要です。
デジタル回路に置き換えられない機能を実現できる
センサーや電源回路、変調回路など、一部の基本回路はアナログ回路でしか作ることができません。デジタル回路に置き換えられない機能を実現できることが、アナログ回路のメリットです。
波形から傾向が読み取れる
アナログ回路では、電力や電圧の変化を波形として取得することで、回路の状態をある程度読み取れます。オシロスコープなどの機器を使って、傾向を簡単に読み取れることがアナログ回路のメリットです。
デジタル回路のメリット
デジタル回路のメリットは次の通りです。
ノイズに強い
デジタル回路では、電気信号を0または1のいずれかに変換して扱うため、温度変化による抵抗値の変化や電源のノイズなどに強い性質があります。外部からの影響を受けにくいことがデジタル回路のメリットです。
データを簡単に記録できる
デジタル回路では入出力される電圧が2値しかないため、データを簡単に記録できます。
データが見やすい
デジタル回路では一定の時間間隔で電気信号が取得されるため、データの変化が見やすいこともメリットです。アナログ回路で見づらい信号は、信号変換回路によってデジタル化すると見やすくなります。
アナログ回路より設計が簡単
一般的に、デジタル回路はアナログ回路と比べて簡単に設計できます。交流回路や直流回路の基本的な形や論理を押さえておくことで設計が可能です。
ソフトウェアを搭載できる
ソフトウェアを搭載し、必要に応じて機能をアップデートできる点もデジタル回路のメリットです。
電子回路設計の需要が高まる背景
電子回路設計の需要が高まっている背景として、次のような要因が挙げられます。
さまざまな業界で必要とされているため
近年では、IoTやAI、ロボットなどの技術がさまざまな業界で活用されるようになりました。技術が応用される分野が広がったことが、電子回路設計の需要が高まる背景の一つです。
慢性的な人手不足
電子回路設計には、電子工学や情報工学などに関する専門知識や技術者としての特性が求められます。また、電子回路設計エンジニアとして活躍するためには、長年の経験が必要です。
さらに、単に電子回路を設計するだけでなく、運用前のテストや製品化に関するスキルも求められます。これらの理由により、慢性的な人手不足となっていることが、需要が高まっている背景です。電子回路設計に関連する職種の求人倍率も高まっています。
電子回路は、電源や素子などさまざまなパーツによって構成される回路です。電子回路には受動素子と能動素子が使用されていて、素子によって働きや役割が異なります。
電子回路設計は需要が高く、スキルを身に付けると幅広い現場で活躍することが可能です。電子回路設計に興味がある方は、基礎的な電子工作から初めてみてはいかがでしょうか。
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