「Webブラウザの操作をAIで自動化したい」このように考える方にとって、Pythonライブラリの「Browser Use」は最適です。しかし、
・Browser Useがどのようなライブラリなのかわからない…。
・Browser Useを導入するメリットが知りたい…。
と考える方は多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、
・Browser Useを理解するための基礎知識
・Browser Useの機能やメリット
・Browser Useの始め方と実際の使い方
についてわかりやすく解説します。
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Browser Useとは:ブラウザを自動操作するためのPythonライブラリ
Browser Useは、AIエージェントを活用してWebブラウザを自動的に操作することを可能にするPythonのライブラリです。

AIエージェントは、人間の介入なしに特定のタスクを実行する自律型インテリジェントシステムを指します。従来のブラウザ自動化ツールと比べ、AIエージェントが人間のような理解力でWebサイトの構造や情報を解析し、各種要素(ボタン、リンク、フォームなど)を自動的に認識して操作を実行する点が特徴です。
例えば、Browser Useを活用すれば、ECサイトの価格比較において各サイトを自動で巡回し、価格情報を取得して比較データを作成することができます。また、大量のデータをWebフォームに入力する作業を自動化し、送信まで完了させることも可能です。
\文字より動画で学びたいあなたへ/
Udemyで講座を探す >Browser Useの機能
Browser Useは視覚的な要素認識から複数エージェントの並列処理まで、幅広い自動化ニーズに対応するための主要機能を6つ備えています。
ここでは、各機能について詳しく解説します。
高度な要素認識と操作
Browser Useは、スクリーンショット機能を活用した視覚的理解とHTML構造の抽出を組み合わせることで、Webページ上のボタンやリンク、フォームなどの要素を正確に認識し、包括的なWebインタラクションを実現します。
従来のブラウザ自動化ツールとは異なり、DOM解析だけでなく画像認識も併用することで、グラフィカルなボタンやアイコンも確実に識別することが可能です。加えて、LLM(大規模言語モデル)との連携により、自然言語の命令にも対応可能で「検索ボタンを押して」といった直感的な指示でも適切な操作を実行できます。
LLMについては、「大規模言語モデル(LLM)とは?仕組み・活用例・課題を解説!」をご覧ください。

複数タブ・ウィンドウのスマートな管理・操作
複数のタブを自動的に開いて各タブを同時に並行操作できる機能を備えており、タブ間の切り替えや新規タブの作成も自動的に管理して複雑なワークフローにも対応できます。
また、タブごとに独立したコンテキストを維持するため、複数のタスクを同時実行しても相互干渉することなく安定した動作を実現しています。
自動修正
堅牢な自動化ワークフローを実現するインテリジェントなエラー処理と自動回復機能を備えており、操作がうまくいかなかったり、要素が見つけられなかったりした場合には自動で修正し、リトライを実行する仕組みが整っています。
自動修正機能により、一時的なネットワークエラーやページ構造の変更にも柔軟に対応でき、より効率的に処理を進めることが可能です。人間が手動で対処していたトラブルシューティングを自動化することで、無人運用での信頼性を向上させています。
カスタムアクション
ユーザー独自のアクションを設定できます。例えば、ファイル保存やデータベース操作、通知送信などの標準機能では対応できない特殊な処理も組み込めます。
また、画面を表示しない「ヘッドレスモード」や、セキュリティ設定の変更といった柔軟なオプションにも対応しており、各作業や業務に合わせて使い勝手を調整することが可能です。
このカスタムアクションによる拡張性の高さは、企業の特殊な業務フローへの対応や独自システムとの連携も容易にします。
主要LLMとの連携・LangChain統合
GPT-4oやClaude 3.5、Gemini 2.0など、主要なLLMとの連携をLangChainによって実現しています。LangChainとは、LLMを効率的に実装するためのフレームワークです。LangChainフレームワークを活用してモデルを起動し、AIエージェントに対してブラウザ操作の命令を出すことにより、高水準の自動化を実現できます。
LangChainによって各LLMが統合されることで、それぞれの特性を活かした最適な操作が可能になり、複雑な判断を要するタスクでも適切な処理を実行できます。
LangChainについては、「LangChainとは?主な機能やChat APIと組み合わせた使い方を解説!」でも詳しく解説していますので合わせてご覧ください。
複数エージェントの並列処理
Browser Useは、複数のAIエージェントを同時に実行できるため、大量のタスクを並列で処理して時間を節約できます。
各エージェントは独立したブラウザコンテキストを持っているため、相互に干渉することなく異なるタスクを同時進行することが可能です。この並列処理機能は、自動化だけでなく効率性も非常に高く、従来の逐次処理と比較して処理時間を大きく短縮できます。
Browser Useの導入メリット
Browser Useの最大のメリットは、従来手動で行っていたWebブラウザでの繰り返し作業を自動化できることです。
煩雑な繰り返し作業の自動化により効率化が実現し、時間や人員コストの削減につながります。特に、24時間365日稼働できるため、夜間や休日でも継続的にタスクを実行して業務プロセス全体の効率を大きく向上させることが可能です。
自動化は、作業工程で生じるヒューマンエラーの削減にもつながります。修正や確認にかかる時間を短縮し、作業のムダやムラを減らすことができます。
また、ほかのAIエージェントがWebページを操作する場合と比べて、非常に正確なタスク遂行能力をもっています。高度な要素認識技術とLLMとの連携により、複雑なWebサイトでも確実な操作を実現できるのです。
Browser Useの料金プラン
Browser Useはオープンソースであるため無料で利用できますが、異なるプランも用意されています。
プラン | 料金 | 内容 |
---|---|---|
オープンソース版 | 無料 | ローカル環境で実行、全機能利用可能 |
Cloud Control | 30ドル/月 | オープンソース版に加え、環境構築不要、30ドル/月分のAPIクレジット付与、自動実行のスケジュールされたタスクの利用可能など |
Enterprise Elite | 要問い合せ | 優先的なSlackとビデオサポート、SLAの提供、オンプレミス導入への対応など |
ただし、オープンソース版でも運用時にはLLMのAPIキーが必要であり、その使用にはコストがかかることは覚えておきましょう。
Browser Useの始め方
ここからは実際にBrowser Useのローカル環境を整え、実行してみましょう。まずは、ローカル環境を整えるところからです。必要なものは以下の通りです。
- Python 3.11以上
- Browser Use
- Playwright:ブラウザ操作
- LangChain:統合フレームワーク(Browser Useインストール時に一緒にインストールされる)
Pythonのインストールがまだの場合は、「Pythonのインストール方法は?Windows・Macをそれぞれ解説」を参考にインストールを進めてください。
公式ドキュメントでは、Rust製のPythonパッケージ管理ツールである「uv」の利用が推奨されているため、こちらを使って進めていきます。
はじめに、uvのインストールから始めましょう。コマンドプロンプトで次のコマンドを入力します。
pip install uv |

次にvenvを使って仮想環境を作ります。今回の例では「c:\code\browser-use-test」を作成します。「c:\code」にカレントディレクトリを移動し、次のコマンドを入力してください。
uv venv browser-use-test –python 3.11 |
仮想環境が作成されたら、仮想環境を有効化します。
cd browser-use-test Scripts\activate |

プロンプトの左側に「(browser-use-test)」と表示されていればOKです。
そのまま、Browser Useをインストールしていきます。
uv pip install browser-use |

次にPlaywrightをインストールします。Browser Useのインストールのときとはコマンドが異なるため注意しましょう。
uv run playwright install |

次のコマンドを入力し、Pythonのバージョン、Browser Use、LangChain、Playwrightがインストールされていることを確認してください。
python –version uv pip list | findstr "browser langchain play" |

それぞれが仮想環境内にインストールされていれば、ローカル環境の構築は完了です。
Browser Useの使い方
Browser Useを使うためには、LLMのAPIキーが必要です。ここでは、ChatGPTのAPIキーを使って使い方を解説していきます。ChatGPTのAPIキーの概要や取得方法などについては、「ChatGPT APIとは?できることや料金、使い方を初心者向けに解説」をご覧ください。
APIキーを取得したら、以下の内容で「.env」ファイルを作成してください。
C:\code\browser-use-test\.env |
OPENAI_API_KEY=※取得したAPIキー※ |

次にエージェント部分を実装していきます。「task」の部分に実行したい処理を記載してください。保存する際は、文字コードをUTF-8に設定することを忘れないようにしましょう。
C:\code\browser-use-test\agent.py |
from langchain_openai import ChatOpenAI from browser_use import Agent from dotenv import load_dotenv load_dotenv() import asyncio llm = ChatOpenAI(model="gpt-4o") async def main(): agent = Agent( task="直近3日間の日経平均株価を教えてください。", llm=llm, ) result = await agent.run() print(result) asyncio.run(main()) |
保存できたらエージェントを実行してみましょう。自動的にブラウザが起動し、結果がコマンドプロンプトに表示されます。
python agent.py |



Browser Useの学び方:Udemyと併用するのがおすすめ
最後に、Browser Useの学び方について解説します。Browser Useの学習方法は主に以下の4つです。
公式ドキュメントを利用する
公式ドキュメントは信頼性が高く、正確な情報が得られる最も重要な学習リソースです。最新の機能や変更点が反映されており、幅広いトピックが網羅されているため、初心者から上級者まで必ず一度は目を通すべきといえます。
ただし、特に初心者には難しいと感じる場合も少なくないため、ほかの方法と合わせて利用することをおすすめします。
サンプルコードを使う
サンプルコードを活用した学習は、実践的な知識を得るために最適な方法です。実際に動かしながら学べるため理解が深まりやすく、コードをカスタマイズすることで応用力が身につきます。
注意点として、コードをただコピーして使うだけでは理解が浅くなるため、各行の意味を理解してパラメータを変更しながら動作の違いを確認するようにしましょう。
コミュニティに参加する
コミュニティに参加することで、リアルタイムな情報を得られます。質問や回答を通じて知識を共有してスキルを磨けるだけでなく、同じ志を持つ仲間との関係を築ける貴重な機会でもあります。
ただし、必ずしも質問に対して回答が得られるとは限らず、間違った情報が共有される可能性もあるため、情報の信憑性を見極める判断力が必要です。
動画で理解する
動画による学習は視覚的で理解しやすく、実演を見ながら学ぶことで実践的なスキルが身に付きます。自分のペースで調整しながら学習でき、複雑な概念も動画であれば簡単に理解できることが多いため、特に初心者にとって有効な学習方法です。
Udemy講座でBrowser Useをマスターしよう!
Browser Useは、AIエージェントがWebブラウザを操作するためのPythonライブラリであり、無料で利用可能です。ただし、実際の運用の際には、LLMのAPIキーが必要になることは覚えておきましょう。Browser UseはECサイトの価格比較や大量データのWebフォーム入力の自動化など、さまざまな用途で活用可能です。
この記事では、Browser Useのローカル環境の構築から解説しましたが、難しいと感じた方には「Browser Use Web UI」を利用することをおすすめします。その名の通り、Browser UseをWeb UI(ブラウザ画面)で操作でき、より直感的に利用できるツールです。
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レビューの一部をご紹介
評価:★★★★★
コメント:とても分かりやすく、また聞き取りやすい音声でした。事例もあり、どんどんアップデートされているのでいいと思いました。NotebookLMも受講してよかったので活用していきたいと思います。
Browser Useを活用して仕事をより効率的に進化させましょう!
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