RPAツール「UiPath」でできることや機能・利用方法を解説

業務の自動化やRPAに興味のある方には、UiPathがおすすめです。しかし、

・UiPathがどんなツールなのか活用イメージがわかない
・具体的な機能や特徴について知りたい

と考えている方も多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、

・UiPathでできることや利用するメリット
・UiPathを使った業務自動化の進め方や注意点

について、わかりやすく解説します。

\文字より動画で学びたいあなたへ/

Udemyで講座を探す >

RPAツール「UiPath(ユーアイパス)」とは

UiPath(ユーアイパス)とは、ルーマニア発のUiPath社が提供するソフトウェアロボットを使って業務を自動化する技術のRPA(Robotic Process Automation)ツールです。UiPathは、Microsoft社のWindows Workflow Foundation(WF)をもとに開発されており、複雑な処理もワークフローとして視覚的に設計できます。

UiPath(ユーアイパス)サイトのトップ画面

出典:UiPath自動化プラットフォーム:エージェンティックオートメーションを活用してAI変革を推進する

Windows WFは、ワークフローをユーザーが直感的・視覚的に構築できるフレームワークであり、UiPathも直感的に操作できます。Windows WFを活用した設計思想により、プログラミング経験が浅い方でも業務の流れを可視化しながら自動化プログラムを作成できます。そのため、UiPathは企業でも広く利用されており、業務部門をはじめとした多くの部門で活用されています。

そもそもRPAツールについて基礎から知りたい方は「RPAツールとは?導入のメリットやツールの選び方を解説!」もぜひ併せてご覧ください。

\文字より動画で学びたいあなたへ/

Udemyで講座を探す >

UiPathの代表的なツールとできること

UiPathには、業務の自動化を実現するための様々なツールが用意されています。各ツールを組み合わせることで、効率的なRPA環境を構築することが可能です。ここでは、代表的なツールを紹介します。

発見ツール:UiPath Automation Hub

Automation Hubは、ユーザーの日常的な業務プロセスを分析し、業務の中から自動化のチャンスを発見するためのツールです。ユーザーの気づきに基づいてアイデアを集約・管理し、全体の進捗管理や効果測定をサポートします。

また、ROI(投資収益率)を予測する機能も備わっており、どの業務を自動化すればどれだけの効果やコスト削減が見込めるかを、客観的な数値として把握できます。

出典:UiPah | Automation Hub

自動化ツール:UiPath Studio

Studioは、業務の流れをワークフローとして設計・開発するためのツールです。直感的なドラッグ&ドロップ操作で、クリックやデータ入力、ファイル操作といった動作を簡単に組み立てることができます。テンプレートも多数用意されているので、短時間で作業自動化の仕組みを作成可能です。さらに、必要に応じてPythonやC#などのカスタムコードを組み込むこともでき、幅広い自動化に対応できます。

Pythonについては「Python入門!導入方法や基本的な使い方を分かりやすく解説」をご覧ください。

出典:UiPah | Studio

自動化ツール:UiPath Robots

Robotsは、Studioで作成したワークフローを実際に実行するロボットソフトウェアです。Robotsには「Attended Robot」と「Unattended Robot」の2種類があります。前者はユーザーが操作するデスクトップ上で動き、日々の定型作業を補助的に操作します。一方、後者は無人でバックグラウンド動作し、大量のデータ処理や深夜帯のバッチ処理など、24時間365日稼働できるプロセスの自動化に適しているロボットです。

出典:UiPah | Attended Robots

運用ツール:UiPath Orchestrator

Orchestratorは、企業全体のRPAロボットを一元的に管理・監視できる運用ツールです。複数のプロセスやロボットの稼働状況をリアルタイムで把握でき、スケジュール起動やエラー監視、リソースの最適化などを一括で行えます。自動化の実行ログやパフォーマンスデータが蓄積されるため、業務の見える化や課題抽出にも役立てることが可能です。また、エラー発生時には原因の特定や修正もスムーズに行えるようになり、業務の安定稼働と継続的な改善を実現するためのツールとして活用できます。

出典:UiPah | Orchestrator

 

UiPathを利用するメリット

UiPathを利用する大きなメリットは、導入や運用のしやすさ、拡張性・汎用性の高さ、学習やサポートの充実度にあります。これらのメリットについて詳しく解説します。

プログラミング知識がなくても直感的にワークフローを設計できる

UiPathの最大の特徴は、ドラッグ&ドロップでワークフローを直感的に設計できる点にあります。ユーザーは難しいプログラミング知識がなくても、画面上でアクティビティを並べるだけで、複雑な業務の自動化フローを作成可能です。

システムやアプリケーションとの相互性が高い

Microsoft Officeツールや、Webブラウザ、Salesforce、SAP、Javaアプリケーション、Visual Studioで開発された独自アプリ、AIサービスなど、多様なシステムやアプリケーションとの相互連携も強みです。さらに、新しい技術やカスタムアプリが登場した場合にも、随時アップデートで対応しています。

そのため、時代に即した柔軟な自動化環境を構築でき、このような高い互換性と拡張性は、企業のデジタル化を加速させ業務効率化を後押しします。

日本語でのサポートや学習環境が充実している

UiPathはルーマニア発のツールですが、日本市場に向けて日本語でのサポートや日本語対応の公式ドキュメントが充実しています。例えば、無料で基礎から実践まで体系的に学べる「UiPathアカデミー」では、日本語コンテンツも多く、自分のペースで学習を進めることが可能です。

また、UiPathフォーラムの日本コミュニティでは、開発現場のノウハウやよくある課題(FAQ)、トラブルシューティング情報などが日本語で蓄積されています。そのため、困ったときにすぐに情報を探せる点も安心して利用できるポイントです。

日本国内でも多くの製造業やサービス業の企業がUiPathを活用しており、実際の導入事例も多数存在します。安心して使い始められる点が、日本市場での評価につながっているといえるでしょう。

Udemyおすすめ講座

【中~上級編】開発者のためのUipathロボット作成実践講座 ※Gmail,Googleスプレッドシート使用

【中~上級編】開発者のためのUipathロボット作成実践講座 ※Gmail,Googleスプレッドシート使用

4.8(21 件の評価)

70 人の受験生

作成者: 上野 隼人(RPA)

~ロボット作成における全手順を実践的に学ぶことで、 RPAエンジニアとしての基盤を築く~

\無料でプレビューをチェック!/

講座を見てみる

 

UiPath の料金プラン

UiPathの2025年7月時点の料金プランは次の通りです。

プラン名 価格 商用利用 利用シーン
Basic 月額25ドル~ 小規模PoC、初期導入検証
Standard 要問い合せ 中規模導入、本格運用
Enterprise 要問い合せ 大規模導入、全社展開
Community Edition 無料 個人学習、評価、検証、小規模開発

Basic/Standard/Enterpriseは商用利用可能であり、それぞれ個人・小規模チーム向け、中小企業向け、大企業向けのプランとなっています。Basicは最小限の自動化機能にアクセスできるエントリープランであり、それらに加えてより高度な運用・管理、API連携、ガバナンス機能を利用したい場合はStandardを選択します。

Basic/Standardプランには60日間の無料トライアルが用意されているため、トライアルを通して利用可否を検討することが可能です。また、商用利用しない場合は無料のCommunity Editionが利用できます。基本的な自動化機能やコミュニティフォーラムなどが利用でき、企業でも研修や検証で利用できます。

 

UiPath を使って業務を自動化する手順を解説

UiPathの実際の画面も交えながら、業務を自動化する手順を解説します。

  1. 自動化したい業務を特定する
  2. ワークフローを作成する
  3. テストとデバッグを行う
  4. デプロイと実行、モニタリングを行う

自動化したい業務を特定する

はじめに、自動化したい業務を特定します。繰り返しの多い作業や実施回数の多い作業、ヒューマンエラーが多い作業などが自動化すべき業務の特徴です。自動化を検討するにあたり、作業の各プロセスを書き出すと次の作業につなげやすくなります。

UiPath Automation Hubを利用すれば、提案によって自動化すべき業務を見つけやすくなります。今回は例として、Web上から情報を取得し、Googleスプレッドシートに出力する作業の自動化を行います。

イメージとしては、インターネット上の情報を手動でコピー&ペーストして作成する資料作成の自動化ができる、と考えることができます。

ワークフローを作成する

自動化したい業務が特定できたら、UiPath Studioでワークフローを設計・開発します。今回はローカル版のUiPath Studioを利用するため、ホーム画面の「ダウンロードセンター」からCommunity Editionをダウンロード・インストールします。

ホーム画面の「ダウンロードセンター」

必要に応じて、Orchestratorなどもダウンロードできます。

Orchestrator

UiPath Studioを起動し、新しくプロジェクトを作成します。

今回はUiPath Automation CloudのOrchestratorで実行・管理したいため、対応OSを「クロスプラットフォーム」に変更しました。

スタジオ起動

プロジェクト作成後はアクティビティを追加していきます。

画面左のアクティビティ一覧からドラッグ&ドロップでも追加可能ですが、慣れないうちはAutopilotを利用すると便利です。Autopilotは自然言語で指示したとおりにアクティビティを設定してくれます。

ここでは「特定のWebサイトの情報を取得し、Googleスプレッドシートに出力する」として「生成」してみましょう。

アクティビティ設定

プレビューの内容に問題がなければ「確認」ボタンをクリックします。

対象のアクティビティの依存関係を考慮して自動的にインストールされます。

プレビュー確認

アクティビティのインストール後、自動的に配置されます。その後、各アクティビティの内容を修正していきましょう。

アクティビティ修正

この例では、tenki.jpから千代田区の10日間天気のテーブル情報を取得しています。

天気のテーブル情報

事前に作成しておいたGoogleスプレッドシートの天気シートに、取得した情報を出力します。

情報取得

これらのアクティビティを作成するにあたり、事前にWebブラウザから情報を取得するためのアドオンのインストールや、Googleスプレッドシートへのコネクタの作成などが必要です。初めて実施する際には、アクティビティを作成する流れで対応できます。

これでワークフローの作成は完了です。最後に全体像をお見せします。

ワークフロー全体像

テストとデバッグを行う

ワークフローの作成後は、画面左上の▶ボタンから「ファイルをデバッグ」を実行します。

ファイルのデバック

実行ログは出力タブから確認できます。今回は問題なく実行でき、Googleスプレッドシートに情報を出力することができました。

出力タブ
スプシへの情報出力

エラーがある場合は、エラーリストタブから該当のエラーをチェックすることが可能です。

エラーリストタブ

また、より詳しくデバッグをしたい場合は、画面上部のデバッグタブを選択します。ブレークポイントの設定やステップイン、ステップオーバー、詳細なログファイルの確認などが行えます。

デバッグタブ

エラーの発生有無と併せて、改善できるフローがないかもこの段階で確認しておきましょう。

デプロイと実行、モニタリングを行う

テストの結果問題がなければ「パブリッシュ」を実行します。パブリッシュによってOrchestratorで管理できるようになります。

パブリッシュ

パッケージ名やバージョン、リリースノートなどを必要に応じて入力し「パブリッシュ」ボタンをクリックします。

パブリッシュ実行

UiPath Automation CloudのOrchestratorにアクセスすると、先ほどパブリッシュしたプロセスを確認できます。

手動での実行

各プロセスの右側にある▲ボタンで手動実行することも可能です。

プロセスのデプロイ

最後に、作成したプロセスを日次処理としてデプロイしましょう。

トリガーからタイムトリガーを選択して「新しいトリガーを追加」ボタンをクリックします。

トリガーの追加

必要な情報を入力し「追加」ボタンをクリックします。

必要情報の入力と追加

日次処理のプロセスとしてデプロイできました。

日次処理のデプロイ完了

各プロセスはジョブとして実行され、ジョブタブから実行状況を確認できます。

実行状況の確認方法

より詳しく状況を確認したい場合は、ログタブから確認するとよいでしょう。

ログタブからの確認方法

また、Orchestratorのホーム画面では全体的な統計情報を確認することが可能です。

全体の統計情報

Orchestratorを活用して自動化の様子をモニタリングし、動作や処理がうまく動いているか確認しましょう。1つの業務の自動化が完了したら、これらの手順でほかの業務の自動化にも取り掛かり、PDCAサイクルを回すことで業務全体の自動化が実現できます。

 

UiPathを使用する際の注意点

UiPathは直感的な操作性と高い拡張性が特徴ですが、実際に使いこなすうえで知っておきたいポイントがあります。一つずつ見ていきましょう。

基礎的なプログラミングの知識が必要

UiPathは、ドラッグ&ドロップでワークフローを構築できるため、プログラミング未経験者でも簡単に自動化に挑戦できる点が強みです。しかし、「条件分岐」「ループ処理」「変数の利用」「例外処理」などの複雑な処理を組み込みたい場合や、外部システムとの連携でカスタムコードが必要な場面では、基礎的なプログラミングの知識が求められます。

特にRPA初心者はこのような部分で難しいと感じてしまうかもしれません。論理的な思考力やスクリプト作成の経験、VB.NETやC#といったプログラミング言語への理解があると、より柔軟かつ高度な自動化を実現しやすくなります。

自信がない場合は、UiPathアカデミーや無料のオンライン学習教材もあるため、まずはこれらを活用して基礎から学んでいくことをおすすめします。

日本語訳に違和感がある

UiPathは日本語化されているとはいえ、もとは海外製であるため、操作画面やマニュアルがやや不自然な表現や曖昧な訳になる場合があります。例えば、エラーメッセージの日本語訳が直訳調で、エラーの原因が分かりづらいことがあります。

日本語環境で作業する際には、操作ガイドの英語表記も参考にしたり、コミュニティのQAや公式ドキュメントを活用したりしながら慣れていきましょう。また、フォーラムやサポートサイトでほかのユーザーと情報交換をすることも有効です。

 

UiPathを使ってロボットによる自動化を実現しよう!

UiPathは、直感的な操作性や多様なシステムとの連携で業務自動化を実現できる強力なRPAツールです。プログラミングの基礎知識や論理的思考が求められる場面もありますが、UiPathアカデミーや豊富な学習リソースを活用すれば、初心者でも段階的にスキルを磨けます。無料で利用することもできるため、業務自動化の第一歩として活用してみてはいかがでしょうか。

Udemyでは、より実務に即した知識・スキルが学べる動画講座を用意しています。業務におけるUiPathの活用方法を詳しく知りたい方には、こちらの受講もぜひご検討ください。

【中~上級編】開発者のためのUiPathロボット作成実践講座 ※Gmail,Googleスプレッドシート使用

レビューの一部をご紹介

評価:★★★★★
コメント:講師の丁寧な事前準備が伝わります。今回はEXCELではなくGoogleスプレッドシートを採用しています。事務職はEXCELが大半ですが、エンジニアはEXCELを使わなくても業務が成り立つレベルの方が多い。そうした声があったんでしょう。かなり丁寧に教材が作りこまれていると思います。

評価:★★★★★
コメント:中上級編講座ということで、最初はついていけるか不安でしたが、解説が丁寧なおかげで理解を深めながら進められました。

UiPathを活用して業務自動化のスキルを身につけ、仕事や生活に役立てていきましょう!