マーケティング従事者が良く聞く言葉「ペルソナ」。
このペルソナとは、自分たちのサービスや商品のお客さんの中でもっとも重要な人物のモデルのことです。
よく「ターゲット」とはどう違うの?という質問をもらうことが多くあります。
では、「ペルソナ(ある人物像を考えること)」は、「ターゲット」を考えることとどのように異なるのでしょうか。
今回はマーケティング職に従事して8年の筆者が、iPhoneアプリをヒットに導いた際に用いたペルソナ作成の手法を始め、
ペルソナとは、という基礎的な知識から、ペルソナ作成の必要性などのポイントについて、詳しく解説いたします。
ペルソナって何?知っておきたいマーケティング用語
ここではまず、「ペルソナ」についての基礎をおさえます。
そこからさらに、ペルソナと混同しやすい「ターゲット」という概念との違いを明らかにすることで、ペルソナについてより理解を深めていただきます。
ペルソナの概念
「ペルソナ」とは新たに製品開発する際に、提供・販売を向上させるための市場戦略、いわゆるマーケティングに関連する概念です。
具体的には「ペルソナ(=人格)」という意味が示すように、製品を提供する際に具体的なイメージのベースとなる象徴的なユーザーモデルを示しています。
そもそも「ペルソナ」という概念の始まりは、コンピュータOSで有名なマイクロソフト社でした。1999年出版の書籍の中で、アラン・クーパー氏がソフトウェア開発のためのメソッドとして理論的にまとめた手法を、同社ユーザー・リサーチ・マネージャーであったジョン・S・プルーイット氏が、ソフトウェア開発だけでなく、マーケティングに対して広く応用できるようにした理論を書籍で発表しました。
ペルソナとターゲットの違い
では、このペルソナという言葉は、マーケティングの「ターゲット」とはどのように異なるのでしょうか。
ターゲットにおいても、製品の受け手を考える事では、ペルソナと違いはありません。しかし、両者の最大の違いは、人物像の深さです。
ターゲットは受け手としての人物像にある程度の幅が持たされています。例えば、30代の主婦や、40代の男性会社員といった括り方になります。
一方でペルソナは、そうした幅のある人物像を、さらにリアリティのあるものへと落とし込んでいくことなります。勤務地や休日の過ごし方、会社での仕事内容などまで定めていくことになります。
<例>
ターゲット |
|
ペルソナ |
(などターゲットよりも詳しい) |
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ではなぜペルソナという深い人物像が必要とされているのでしょうか。
ここからは、マーケティングにおいてなぜ、ペルソナの活用が必要とされているのか、ペルソナを作成することのメリットとはなんなのか?についてご紹介します。
ペルソナの必要性
まずペルソナが必要とされているのは、企業間で開発する製品に関する方針や、具体的なイメージを統一するためです。
製品開発では、非常に多様な人間が参加します。
性別はもちろん、年代もバラバラです。また、各自が製品開発で重視している視点も十人十色です。いくら幅広い意見が存在しても、一つの製品に集約できるアイデアには限りがあり、さらに詰め込めばそれだけ売上が上昇するということはありません。
製品開発に有効なアイデアをまとめるためにも、その基盤となる製品イメージは欠かせません。この製品イメージを具体的かつ統一的にするのが、ペルソナです。
ペルソナのメリット
ではペルソナを共有することで、どのようなメリットがあるのでしょうか。代表的なものを3点挙げます。
①ユーザーとの需要のズレを防ぐ
1つ目は、リアリティのある具体的なペルソナを定めることで、ユーザーとの需要のズレを防ぐことができます。
定量データやユーザーの意見を集約して作成されたペルソナは、一つの人格です。彼ら彼女らが満足するように製品開発を進めることは、その背後にいる大勢のユーザーの要望を満たすことにもなります。
②製品の完成度を高める
2つ目は、製品の完成度を高めることができます。
大衆受けするような製品イメージではなく、ペルソナが最も望むと考えられる製品イメージを集約することで、狙ったユーザーに確実に売上を伸ばすことのできる、完成度の高い製品開発が期待できます。
③時間の節約につながる
3つ目は、リアリティのあるペルソナを定めることで、ムダな時間やコストを省くことができます。
ペルソナによって、製品を利用するユーザー像が容易に想像できるようになるため、ペルソナの要求に対するベストなアイデアだけを集約することに専念できます。
したがって、対象外のユーザー像や関連するアイデアを切り捨て、製品のクオリティを高めて、コストカットも望めます。
ペルソナはどうやって作る?作成のポイント
では実際に、ペルソナは実際にどうやって作れば良いのでしょうか?
具体的にどのようなことから始めればよいのかわからない、という方も多いでしょう。
ここでは、ペルソナを作成する際に気をつけるべきポイントを5つの項目に分けて解説します。
設定項目
ペルソナのイメージを固めるには、具体的にどこから固めていけばよいのでしょうか。
定めるべき項目は大きく分けて2つあります。
1つは、性別、年齢、職業、年収、学歴などといった基本項目があります。これはターゲットにも共通する基本情報です。
もう1つは、性格についてです。これはペルソナに特徴的な項目です。具体的には、趣味、ライフスタイル、休日の過ごし方、最近考えていることなど、細かな事項まで作成することが求められます。
リアルな人物を基準にする
「ペルソナ=架空の人格(ユーザー)」と言っても、妄想で作られたペルソナではマーケティングは成功しません。
それはリアルに基づかないペルソナには、作成者のバイアスが無意識に反映されることが多いからです。
したがって、必ずリアルな情報を基準にすることが必要です。
そのための方法としては、以下2つの方法があります。
1つは、定量データを参考にすることです。製品を一番消費してくれるユーザーの性別や年代を参考にして、そこから人物像を肉付けしていく方法です。
もう1つは、ユーザーの生の意見を聞くことです。一対一のインタビュー形式や一対多数のオリエン形式が広く用いられています。
誰でもイメージできるようにする
ペルソナの目的は、統一的な製品イメージを関係者間で常に共有することにあります。
したがって、ペルソナは誰でもイメージできる平均的な人物像であることが望ましいです。
そのために、前述したリアルな情報も必要ですが、写真なども活用して、ペルソナの外見も作成すると、イメージしやすくかつ印象に残りやすいペルソナが作成可能になります。
対象を定める
ペルソナは背後に大勢のリアルなユーザーがいますが、作成されるのは、一人の人物像です。
一人の人間に加える事のできる属性には限界があります。
大量のユーザー情報を一人にまとめきるには、時として大胆なカットを必要とします。
その際には製品開発においてメインとならないユーザー情報を切り捨てることもあります。重要なのは、あくまでも一人の人物像におさめることなのです。
定期的にブラッシュアップする
ペルソナは架空の人物ですが、それは生きたユーザーをもとに作成されます。
したがって、元のユーザー情報が時の経過によって変化すれば、ペルソナも作りなおさなければなりません。
常にユーザーの情報には目を配り、最新のユーザーを体現するようにペルソナをプラッシュアップする必要があります。
期間の目安としては、1年程度がおすすめですが、業界に著しい変化が起こった場合などはこの限りでなく、見直しをしていくことが良いでしょう。
リアルな架空のユーザー像=ペルソナ
ここまで、ペルソナの基本から始まり、そのメリットと具体的な作成指針を解説しました。
ペルソナは統一した製品イメージのために、共有すべき架空のユーザー像ではありますが、妄想の産物では決してありません。
ペルソナは大勢の生のユーザー情報を基礎にして成り立っています。したがって、ペルソナは一番リアリティを感じる架空の人物像でなければなりません。
ユーザー情報に基づいてあたかも生きているようなユーザーを作り出すことが、ペルソナマーケティングの第一歩と言えます。
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