サプライチェーンマネジメント(SCM)とは?注目されている理由を解説

自社の商品製造の流れを効率化したいけれど、

・SCMの仕組みが分からない…。
・SCMを導入するメリットが分からない…。

こんな悩みはありませんか?そこでこの記事では、

・SCMが生まれた背景と仕組み
・SCMを取り入れるメリット

について解説します。

サプライチェーンマネジメント(SCM)とは?

サプライチェーンマネジメント(SCM)とは、サプライチェーンにおける資材の調達、設計、製造、商品の配送までの流れを一貫して管理する経営管理手法のことです。

サプライチェーンとは、商品が生産者から消費者に届くプロセスのことです。この一連の流れが鎖(チェーン)のように繋がっていることから、サプライチェーンと名づけられました。

しかし、サプライチェーンが上手く機能していない場合、他部門との連携がうまく取れず、調整がうまくいかなかったり、予想外のリスクに即座に対応できないケースがあります。そのような課題を解決するために生まれたのがSCMです。

SCMを導入することで、これまで企業の部門ごとに管理していた、モノ・人・情報をシステムで統合し、全プロセスを可視化できるようなります。これにより、サプライチェーン全体を最適に管理することが可能になるため、トラブルにも迅速に対応ができます。また、システム上で需要予想もできるため、過剰在庫が発生することも未然に防ぐことが可能となります。

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SCMが注目されている理由

SCMという概念は1980年代にアメリカで生まれました。2000年以降、ITの台頭によりリアルタイムで情報収集や共有ができるようになり、SCMが脚光を浴びるようになりました。ここからは、SCMが注目される4つの理由について解説します。

企業のグローバル化が進んでいる

近年、生産と販売の拠点を世界中に持つ企業が多くなりました。企業のグローバルビジネスが発達することは、サプライチェーンが複雑化することを意味しています。複雑な仕組みをよりシンプルに効率的に運用するためにSCMは不可欠となります。

労働人口が減少している

日本においては、少子高齢化が原因で労働力の低下が深刻化しています。総務省の調査では、2060年には15歳~65歳の中核的な労働の担い手が4418万人(-45.9%)になると予測しています。(※)適切な労働力の配分のためにもSCMは有効といえます。

(※)出典:総務省|我が国の経済成長における課題

消費者のニーズが多種多様になってきている

インターネットの普及により情報をリアルタイムで入手できることになったため、消費者トレンドが目まぐるしく変化するようになりました。市場のニーズをいち早く察知し、迅速に商品を提供するためにもサプライチェーンの効率化が急務となっています。

ECといった新たなビジネスモデルが普及している

ECと呼ばれるインターネットを介した通信販売の普及もSCMが注目される大きな理由のひとつです。販売と配送が一体化したビジネスモデルにおいて、いち早く商品を消費者に届けることが顧客満足度を上げるために欠かせません。商品提供までのプロセスでいかに無駄を省くことができるかがカギとなります。

SCMを導入するメリット

企業はSCMを導入することでどのようなメリットが得られるのでしょうか。ここからは、在庫、時間、人的観点からSCMが企業に恩恵をもたらす理由をご紹介します。

在庫を最適化できる

過剰な在庫は企業の経営を圧迫する可能性があります。逆にニーズがあるにも関わらず商品の供給量が少ないと機会損失に繋がります。SCMを導入すれば商品の製造から販売までの一連の流れをリアルタイムで管理することができるので、在庫を最適化できます。

リードタイムを削減できる

リードタイムとは、顧客より商品がオーダーされてから資材の調達、製造、発送までにかかる時間を指します。市場の需要予想を各工程に反映させることにより、各プロセスを最適化することが可能になります。

これにより、全工程が最適化され、需要と共有のバランスを保つことができると同時に、顧客満足度の向上に繋がります。

人的リソースを有効的に扱える

SCMを導入することで、各工程における人的リソースの配分も可視化できます。各工程において、適切な労働力の配置は製造の生産性を上げるためには欠かせません。

また前述の通り、日本において労働人口不足がますます問題になる中で、いかに人的リソースを合理的に活用することができるかが企業にとって重要なポイントになります。

SCMを導入するデメリット

SCM導入はメリットばかりとは言えません。SCMを導入するにあたり、企業にとってこれまでのサプライチェーンの見直しが必要になります。ここからは、SCMを導入のデメリットを解説します。

導入コストがかかる

SCMには多くの開発工数と人的コストがかかります。導入の際は、プロジェクト管理、コンサルティング、導入プロセスの設計と実施コストが発生します。さらに、既存のシステムをSCMシステムに移行する必要がありますので、システムの相互性を確保するための追加開発コストが発生します。

体制を構築するのに時間がかかる

システムの移行後、従業員は新たなシステム機能を学ぶ必要があります。それに伴い、システム移行直後は一次的に業務パフォーマンスが落ちる可能性があります。また、サプライチェーンマネージャーやアナリストなど、新たな役職を設定する必要があります。

既存のサプライチェーンプロセスを再構築するにあたり、マニュアルの作成、ステークホルダーとの調整、保守管理が含まれ、時間とリソースを必要とします。

SCMのこれからの変化

テクノロジーの進化とともにSCMは変化し続けます。IoT(Internet of Things)、ビッグデータ分析、人工知能(AI)、ブロックチェーンなどのテクノロジーがSCMに大きな影響を与えています。ここからは、SCMのこれからの変化についてご紹介します。

SCMとブロックチェーン

SCMにおいて、企業間のやりとりをする上で情報の透明性とセキュリティの強化が重要な課題となります。サプライチェーンを連携する企業が増えると共に、新たなシステムの構築が必要となり、企業間のやりとりも複雑化していきます。

これまで、企業間でデータのやりとりが煩雑化すると、送信データ自体の信頼性が低くなることが課題でもありました。その解決策として活用されるのがブロックチェーン技術です。

ブロックチェーン技術を活用することで、すべての取引が分散型台帳に記録が可能になるため取引データの信頼性が高まります。さらに、取引データを暗号化して保護するため、高いセキュリティが実現可能となり不正な取引のリスクを軽減できます。

ブロックチェーンの詳細は「ブロックチェーンの仕組みを分かりやすく解説!活用例も紹介」をご確認ください。

SCMとインダストリー4.0

インダストリー4.0とは、製造業においてテクノロジーを駆使した新たなサプライチェーンの構築を意味する言葉です。テクノロジーを活用することで、従来人間が行っていた生産ラインでの作業をロボットテクノロジーで自動化することで人員をより有効的に配置することができます。

さらに、これまでは機械が故障した場合には、生産ラインを一時的にストップする必要がありました。インダストリー4.0では、IoT(Internet of Things)を活用することで、リアルタイムでネットワークを監視することが可能となります。これにより、機械が故障する前に不具合を察知・修理することが可能になったため、生産ラインをストップする必要がありません。

最新のテクノロジーを活用することで、複雑化するサプライチェーンをよりシンプルかつ効率的に構築することが可能になります。

まとめ

SCMとは資材の調達から製造、販売までを一元化する仕組みです。SCMを導入することで、商品の製造販売までのプロセスを効率化できるだけではなく、人的リソースを最適化することも可能となります。しかし、導入には多大なコストがかかる他、既存の仕組みの見直しや、体制構築までに時間がかかるデメリットもあります。

今後、グローバル化する企業がますます増える中、SCMはますます注目されることになると予想されます。

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作成者: 石川 和幸(SCM、ERP、生産管理、在庫管理、物流管理などに関わる構想策定、業務改革、システム導入、プロジェクトマネジメント、など)

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