近年、ビックデータの活用や技術革新によってAI開発を進める企業が増加しています。それに伴ってAI関連の職業も増えているため、将来的にAIエンジニアとして活躍したいと考えている方も多いのではないでしょうか。
そんな就職や転職を考えている人たちにおすすめしたいのがE資格です。 E資格はディープラーニングの知識や実装スキルを証明できる資格です。
AI(人工知能)の開発に重要な役割を果たす機械学習ですが、その中でも特に注目され、研究が盛んになっているのがディープラーニングです。
この記事では、E資格の試験概要や受験の条件となる「JDLA認定プログラム」、さらにおすすめの勉強法についてまとめます。
※この記事内のE資格に関する情報は、2023年3月の情報です。
なお、ディープラーニング(深層学習)について詳しく知りたい方は「話題のディープラーニングとは?初心者向けに1から徹底解説!」をご覧ください。
また、機械学習については「【機械学習とは?】種類別に簡単にわかりやすく紹介!ディープラーニングとの違いやDQNについても解説!」をご覧ください。
E資格とは?
E資格(エンジニア資格)とは、一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)が創設・運営するエンジニア向けの資格です。
「ディープラーニングの理論を理解し、適切な手法を選択して実装する能力や知識を有していること」を認定する資格であり、世界初のAIエンジニアの認定資格になります。
同じくJDLAが運営する資格として、G検定(ジェネラリスト検定)があります。
G検定は、「ディープラーニングの基礎知識を有し、適切な活用方針を決定して、事業活用する能力や知識を有しているか」を認定する資格です。
E資格がエンジニア向けの資格であるのに対して、G検定はエンジニア以外のビジネスパーソンも対象となる資格です。
E資格 | G検定 | |
受験資格 | JDLA認定プログラムを修了 (試験日の過去2年以内) |
制限なし |
試験時間 | 120分 | 120分 |
試験会場 | 各地の指定試験会場 申し込み時に希望会場を選択 |
オンライン実施(自宅受験) |
受験料 | 一般:33,000円(税込) 学生:22,000円(税込) 会員:27,500円(税込) |
一般:13,200円(税込) 学生:5,500円(税込) |
試験方式 | 知識問題(多肢選択式・100問程度) | 知識問題(多肢選択式・200問程度) |
試験回数 | 年2回 | 年5回 |
※E資格についてはこちら、G検定についてはこちらの公式サイトで詳細をご確認ください。
受験資格がある
一般社団法人日本ディープラーニング協会がディープラーニングに関するスキルを育成できると認定、推奨し、試験の条件とした講座を「JDLA認定プログラム」といいます。
先述のとおり、E資格の受験には条件があり、試験日の過去2年以内に「JDLA認定プログラム」を修了している必要があります。
「JDLA認定プログラム」では、ディープラーニングの理論や適切な実装方法を選択するスキルを学ぶことができます。
JDLA認定プログラムは、さまざまな機関が運営しており、ハンズオン(対面授業)やオンライン講座、Live配信、eラーニングなど、さまざまな受講方法を選択できます。
JDLA認定プログラムの修了に必要な費用や時間は、実施している機関によって異なります。
対面授業やLive配信などは高額になる傾向があり、10万円~40万円程度の費用がかかります。
修了にかかる期間が数日から1か月未満と、短い講座もあります。ただし、E資格は出題範囲が広いため、基礎からしっかり学習する講座であれば、数か月から半年程度かかることもあります。
合格率は6~7割程度
E資格の合格率は6割~7割程度です。2022年の試験では、受験者数897人のうち644人が合格しました。
比較的合格しやすそうに見えるかもしれないが、「E資格の受験者層は、学生よりもAIエンジニアや研究者など、すでに関連する業務や研究により、情報技術の専門知識を持っている人が多くを占めます。
そのため、合格率は6〜7割程度でも数字以上に難易度は高いと言えます。
受験には多くの時間とお金がかかる
E資格の受験には、一般が33,000円、学生が22,000円、会員が27,500円の受験料が必要です。
また、受験者のレベルに応じて大きく異なりますが、受験資格である「JDLA認定プログラム」にも費用と時間がかかります。
JDLA認定プログラムの修了に必要な費用や時間は、実施している機関によって異なりますが、対面授業やLive配信などは高額になる傾向があり、10万円~40万円程度の費用が必要です。
また、修了までには数ヶ月から半年程度、さらに自己学習が100〜300時間程度必要と言われています。
過去問から傾向がつかめない
どんな資格にも過去問で対策を進めるのが王道ですが、E資格は過去問が公開されておらず、市販の過去問もありません。また、受験者は受験した試験の内容を発表することを禁止されています。そのため、実際にどのような問題が出題されるかは、受験しないとわかりません。
さらに、合格点も非公開で、試験対策には非常に悩まされる試験だといえます。
また、E資格の出題範囲はシラバスより、 「 JDLA認定プログラム修了レベルの出題」とされていますが、ディープラーニング自体が現在進行形で研究の盛んな分野であり、その技術は日進月歩の様相です。講座や参考書、さらに最新の論文などにも目を通し、幅広く対策しておく必要があります。
また、受講者が事前にどれだけの知識を持っているかによって、試験対策に必要な時間が変わります。
既にディープラーニングの研究や、その知識を活用した業務に就いている場合や、日常的に最新情報、論文をチェックしているなら、認定講座を受け、問題に慣れる程度の少ない時間で試験対策が可能でしょう。
しかし、例えばエンジニアを目指す文系の大学生や、エンジニアであっても保守やネットワーク系の業務を行ってきた場合、応用数学や機械学習を基礎から学習しなければならないため、勉強時間がかかると考えられます。
過去問や市販の参考書もないので受験の際の対策には頭を悩ませますが、JDLA認定プログラムの受講が義務であり、そこで類題が扱われることがほとんどなので、過去問がないからと言ってそこまで焦る必要はありません。
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Udemyで講座を探す >E資格を取得するメリット
E資格は取得するまでに時間とお金がかかるため、負担は比較的大きめです。それでも資格を取得することで得られるメリットはありますので、特に将来的に需要の高い資格を取得したい、専門的な知識を身に着けたいなら取得について検討してみてもいいでしょう。
具体的にE資格を取得するメリットは下記の3つがあげられます。
AI・ディープラーニングの専門知識を得られる
AIおよびディープラーニングは今のIT業界で最も注目されている世界です。しかしながらAIやディープラーニングについての知識を身につけられる場所はそれほど多くなく、ましてや実装レベルまで身につけるのは簡単なことではありません。
しかし、E資格ならAIやディープラーニングを体系的に学べるだけではなく、その知識が実装レベルまでに及ぶため、非常に有用性があります。 初学者であってもAIエンジニアの素養を身につけることができるため、AIエンジニアとして活躍したいと考えているなら資格取得の検討をしてみてはいかがでしょうか。
就職や転職で強みになる
日本ではエンジニアに関しても人材不足ですが、AI人材についてはさらに深刻な状況です。ほとんどの人がAIやディープラーニングに関する知識を持っていないため、もし自分がそれらのスキルを有しているとなればIT企業を中心に最も高い評価を得られるでしょう。
そして、E資格を取得している方であれば自分の技術レベルを対外的に証明することができるため、就職や転職において大きな力となるはずです。
資格を持っているだけで実務経験がないため、あまり評価されないのではと思われる方もいるかもしれません。しかし、たとえ実務経験がなくてもE資格に関しては所持しているだけで即戦力として採用してもらえる可能性が高いので、就職や転職においては大きな評価をしてもらえるでしょう。
需要がある分野で将来性が見込める
IT人材そのものの需要は高く、就職や転職において有利なスキルとなるのは間違いありません。しかし、ITのスキルを身につけること自体難しいとされており、現状では人材が足りていません。
ましてやAI関連についてはさらに人材が足りておらず、AIブームは到来しているにも関わらず肝心の人材が確保できていない状態です。
企業はIT化が進む世界においてAI関連のスキルを保持する人材を探しています。今後もAIブームが続けばさらに必要とされる人材となりますので、将来性があり、今後も伸びていく可能性が高い職種を選びたいと考えているならE資格の取得を検討してみてはいかがでしょうか。
E資格の試験内容
E資格は、AIエンジニアリングの理論と実装力のスキルを身につけることを目的としており、試験範囲は、「応用数学」「機械学習」「深層学習」「開発・運用環境」の4分野です。
日本ディープラーニング協会の「E資格の試験範囲(シラバス)」によると、以下のようになっています。
応用数学 | ・線形代数 ・確率 ・統計 ・情報理論 |
機械学習 | ・機械学習の基礎 ・実用的な方法論 |
深層学習 | ・順伝播型ネットワーク ・深層モデルのための正規化 ・深層モデルのための最適化 ・畳み込みネットワーク ・回帰結合型ニューラルネットワークと再帰的ネットワーク ・生成モデル ・強化学習 ・深層学習の適応方法 |
開発・運用環境 | ・ミドルウェア ・軽量化 ・高速化技術 |
また、試験日程や試験時間、形式、問題数については下記のとおりです。現在申込期間は未定となっているので、受付に間に合わなかったとならないためにも定期的に公式サイトの確認をおすすめします。その他の情報は下記の表で詳しく紹介しているので参考にしてみてください。
試験日程 | ・2023年8月25日(金) ・2023年8月26日(土) ・2023年8月27日(日) |
試験時間 | 120分 |
形式 | 多肢選択式 |
問題数 | 100問程度 |
※詳細は公式サイトをご確認ください。
E資格の勉強のポイント
E資格の勉強のポイントは、大きく分けると「参考書の活用」と「eラーニング」の活用がおすすめです。ここでは2つの項目について分けて解説するので参考にしてみてください。
機械学習には参考書を活用
近年の機械学習の参考書には、必ずディープラーニングについての項目がありますので、機械学習について体系的に学習したことがない方は、まず機械学習の参考書を読むことをお勧めします。
E資格においても、k近傍法などの基本的なものから、サポートベクターマシンや最尤推定、主成分分析など、機械学習分野が幅広く出題されます。
数ある参考書の中でも、オライリー・ジャパンが発行している以下のシリーズは、多くの情報分野の学生や技術者に愛読されています。
『pythonではじめる機械学習-scikit-learnで学ぶ特徴量エンジニアリングと機械学習の基礎』
『ゼロから作るDeep Learning – Pythonで学ぶディープラーニングの理論と実装』
『ゼロから作るDeep Learning2』
E資格でソースコードを扱う場合はPythonで記述されているため、これらの参考書が特におすすめです。
また、応用数学の線形代数、確率・統計、情報理論については、それぞれ1冊ずつの参考書を網羅するのが望ましいといえます。なお、線形代数ではおもに特異値分解が、確率・統計に関してはおもにベイズ則や確率分布(ベルヌーイ・マルチヌーイ・ガウス)が出題されます。
初学者、基礎から学習したい方には、体系的に学べる以下の参考書がおすすめです。
『基本演習 線形代数 改訂版』成田清正 野澤宗平共著 牧野書店
『やさしく学べる統計学』石村園子(著) 共立出版株式会社
『情報理論入門』アブラムソン著 宮川洋訳 好学社
eラーニングで対策
E資格は非常に出題範囲が広く、費用と時間がかかります。
特に、対面の授業でJDLA認定プログラムの講座を受講する場合、実施している日程と会場の融通が利きませんし、費用も高い傾向があります。そのため、費用と時間効率のバランスに優れたeラーニングがおすすめです。
eラーニングなら、好きな時間に自分のペースで進められるため、1つひとつをしっかり理解しながら学習することもできますし、熟知している内容については駆け足で学習することも可能です。
Udemyは講座の質が高く、資格の学習に活かせる講座が豊富に取り揃えられています。
講師への質問も可能で、わからなかった部分について補強することができますし、近年の研究に関する情報収集が不足していた方も、最新の知識にアップデートすることができます。
E資格はディープラーニングの理論や実装についての知識を問う、エンジニアや研究者向けの認定試験です。応用数学、機械学習、深層学習、開発・運用環境について幅広く出題されるため、試験勉強を通じてこれらの分野を総合的に学習できます。E資格合格を目指す方は、ぜひ、この記事を参考に勉強を進めてみてください。
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