Spring Bootは、Javaプラットフォーム向けのフレームワークであるSpring Frameworkのひとつです。Spring Frameworkを利用することで、Javaでのアプリケーション開発が効率化され、Spring BootによりSpring Frameworkの環境設定を簡略化できます。
この記事ではSpring Boot、Spring Frameworkとは何か、利用するメリット、Spring Frameworkのための開発環境であるSTSのインストールや日本語化の手順について詳しく解説します。
公開日:2021年7月30日
Spring Bootとは?
Spring Bootは、Spring Frameworkに含まれるフレームワークです。Spring Framework(単にSpringとも呼ばれます)は、オープンソースのJavaプラットフォーム向けのフレームワークで、多くのJava開発者が利用しています。
フレームワークは、アプリケーションを実装する際に使われるものです。よく使われる機能を実装するための標準的なサブルーチンやクラスといったライブラリを集めたものです。
フレームワークを利用することで、新たなアプリケーションを開発するときに、多くのアプリケーション開発に共通するコードを毎回コーディングしなくても済むようになり、開発時の手間を省くことができます。また、コーディングミスも同時に省けるため、開発の際のデバック作業も短縮できます。
また、Spring Frameworkは、代表的なJavaフレームワークのひとつです。Spring Frameworkについては次項で詳しく説明しますが、機能に応じて複数のフレームワークで構成されています。
なお、アプリケーション開発では、複数のフレームワークを組み合わせて使用する際に、Spring Frameworkは環境設定が複雑になるという欠点がありました。この欠点を解消するために開発されたのがSpring Bootで、複数のフレームワークを使用したときに必要なBean定義やXML設定を簡略化できます。
Spring Frameworkとは?
Spring Frameworkは、Javaプラットフォーム向けの代表的なフレームワークのひとつです。Spring Frameworkを利用することで、標準的な機能を自分でコーディングしなくてもよくなるため、アプリケーション開発の効率化が図れます。
Spring Frameworkは、複数のフレームワークから構成されており、広範囲のアプリケーションを開発するための機能が用意されていますが、特にWebアプリケーションを開発するための機能が充実しています。
また、Spring Frameworkには自前のAOPフレームワークが用意されています。AOP(Aspect Oriented Programming:アスペクト指向プログラミング)はJavaやC++などのオブジェクト指向プログラミングを補助・相補するものです。
オブジェクト指向では、データとメソッドをまとめたオブジェクト(クラス)という単位を基軸にプログラムを構築します。
システム内でよく使われる共通の処理があり、オブジェクト単位でうまく機能を実装できない場合に、これを集約して実装すると、オブジェクト指向の利点を活かしつつプログラムをシンプルにまとめることができます。
これがアスペクト指向プログラミングです。共通の機能をまとめて実装するため、コードが短くなり、バグの特定やプログラムの修正が楽になります。
DI(Dependency Injection:依存性の注入)も、Spring Frameworkの特徴のひとつです。DIとはコンポーネント間の依存関係を排除するために、外部の設定ファイルを利用できるようにする概念でSpring Frameworkは代表的なDIコンテナです。
例えば、AとBという共に依存した2つのコンポーネントがあるとします。
AとBの関係はインタフェースを用いて記述し、具体的にどのコンポーネントを使用するかを外部のファイルを利用して設定します。
こうすることでコンポーネント間の依存関係を解消し、それぞれ単独で動作テストを行うことができます。
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ここからはSpring Bootのメリットについて解説します。
XML設定が簡略化される
XML(Extensible Markup Language)は、構造を記述するための言語で、データ管理などに使われており、複雑なアプリケーションの開発では、XMLの記述も複雑になります。Spring Bootを用いることで、XML設定を簡略化できます。
Spring Bootは、基本的なXML設定を自動化しているため、必要最小限の設定でアプリケーションの起動と実行を行うことができます。また、必要であればXML設定ファイルを使ってXML設定を行うこともできます。
コード量が削減される
Spring Bootでは、アノテーションを記述することができます。アノテーションは日本語で「注釈」を意味する単語で、プログラミングにおけるアノテーションは、以下のような情報をコンパイラや実行環境に伝えることができます。
- この関数はオーバードライブしなければならない
- この関数やクラスは他の場所で使えない
- この記述は非推奨だが、わざと書いているから警告は出さなくてよい
アノテーションを利用することで、コードの可読性が上がる、単純なタイプミスによるバグを抑制する、記述忘れを防止するなどの利点があります。
Spring Bootでは、特定のアノテーションを指定することで、パラメータを受け取ったり、トランザクションを有効にできたりするなど、様々なアノテーションが用意されています。これらのアノテーションを有効に使うことで、コードの量を削減できます。
jarファイル単体での開発が可能
Spring Bootを使用すると、Webコンテナをjarファイルに含めることができます。jarファイル(Java Archive)はJavaで開発されたプログラムをまとめて格納したファイルです。
WebコンテナはJavaで開発されたプログラムがクライアントとしてサーバに処理要求を出したときに、Webコンポーネント規約に従って実際の処理を行うソフトウェアです。
Spring Bootを使うと、サーバ側にWebコンテナをセットアップする必要がなく、jarファイルのみでWebアプリケーション開発が可能になります。
Spring Bootでの開発に相性が良いIDEとは?
Spring Bootを使用したアプリケーション開発には、Spring Tool Suite(STS)という統合開発環境(IDE)を利用するのが手軽です。
STSはEclipseベースのIDEで、使用感はEclipseと大きく変わりません。ご存じの方も多いでしょうが、Eclipseは主にJavaアプリケーション開発に使用される、主要なIDEのひとつです。
ここからはSTSのインストール手順と日本語化について解説します。
Spring Tool Suite(STS)のインストール手順
STSをWindows10にインストールする手順を解説します。STSのダウンロードにはJDKが必要です。
Oracleのダウンロードサイトにアクセスし、JDKのダウンロードを行いましょう。
ダウンロードが終わったら、実行しJDKをインストールします。
次にSpringの公式サイトから、Spring Tools 4 for EclipseのWINDOWS版をダウンロードします。
ダウンロードしたjarファイルを実行すると、ステータス画面が表示されます。
jarファイルと同じ場所に「sts-○○.RELEASE」というファイルができます。
これでSTSのダウンロードが完了したので、実行ファイルを選択すると実行できます。
Spring Tool Suite(STS)の日本語化
STSはEclipseベースの統合開発環境ですので、Eclipseのプラグインで日本語化が可能です。Eclipseを日本語化するプラグインは「Pleiades」です。
公式サイトから「Pleiades」をダウンロードします。
ダウンロードしたzipファイルを解凍します。Windows10でzipファイルを解凍するには、解答したいzipファイルをエクスプローラで開き、「すべて展開」をクリックします。
フォルダを開き、setup.exeを実行します。
SpringToolSuite4.exeを選択し、日本語化します。
以上でSTSの日本語化は終了です。
Spring Bootは、Spring Frameworkのフレームワークのひとつで、環境設定を簡略化し、Javaによる開発を効率化できるフレームワークです。Spring FrameworkはJavaの代表的なフレームワークであり、特にWebアプリケーションの開発に便利です。
STSを利用するとSpring Frameworkを簡単に使うことができます。STSはEclipseベースであり、Eclipseユーザであれば使用感を変えずに開発に取り組むことができますので、ぜひ、実際に触ってみてください。
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