PMP資格とは?試験の概要や出題内容、勉強法を解説

PMP資格に興味があるものの、

・出題内容や難易度が分からない…。
・効果的な勉強方法が知りたい…。

という方も多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、

・PMP資格の概要や取得までの期間
・PMP資格取得に向けた勉強法

について解説します。

プロジェクトマネジメントに関する勉強が初めての方でも、この記事を読めばPMP資格について理解できます。

公開日:2020年2月13日

PMP資格とは?

PMPとは「Project Management Professional(プロジェクトマネジメントプロフェッショナル)」の略語です。「プロジェクトマネジメント」とは、プロジェクト(計画事業)の管理を行うことを指します。PMP資格は、プロジェクト管理のためのスケジュール調整や品質管理、人材やコストなどを管理するスキルを証明できる資格です。

PMP資格は米国のPMI(Project Management Institute:プロジェクトマネジメント協会)により運営されています。PMIは非営利団体であり、PMP試験の出題内容に採用されているPMBOK(Project Management Body of Knowledge:プロジェクトマネジメントボディオブナレッジ)を策定している組織です。

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PMP資格を取得するメリット

PMP資格で証明されるスキルは汎用性が高く、プロジェクトを基に事業を行うあらゆる業種に適用できます。PMP資格を取得することで得られるメリットについて詳しく見ていきましょう。

プロジェクトマネジメントスキルが身につく

PMP資格の取得には実務経験が必要です。そのため、PMP資格を取得すれば、スキルだけでなく確かなプロジェクトマネジメント経験があることも証明されます。

さらに、PMP資格の取得に向けた勉強を通じて、プロジェクトマネジメントに必要な知識や技術を学べます。仕事を滞りなく進めるための知識を体系的に身に付け、スキルアップできることがPMP資格を取得するメリットです。

ビジネスに関連する人脈が広がる

PMP資格を取得すると、PMIの部会やコミュニティへの参加など、人脈を広げる機会が得られます。社外のプロジェクトマネージャーとの交流を深めることで、仕事の幅が広がったり、新たなビジネスチャンスが生まれたりする可能性があります。

キャリアアップにつながる

PMP資格に合格すれば、文字通り「プロジェクトマネジメントのプロフェッショナル」と認定され、キャリアアップや転職にも役立つでしょう。PMP資格の取得を通じて身に付けた知識やスキルを活用することで、より高いポジションを目指すことが可能です。社内でのキャリアアップや転職を通じて、収入を上げやすくなります。

スマホ見ながらメモしている様子

 

PMP試験の概要

PMP試験は、パソコンを使用して受験するCBT方式で実施されます。受験方法はオンライン試験か、日本各地のピアソンVUE試験会場のいずれかを選べます。合否は、受験日から5営業日以内にPMIから送られてくるメールで通知されます。

PMP試験の回答方法は四択選択式で、複数選択や空欄の穴埋め、マッチング選択などが組み合わさった形式です。試験時間は3時間50分(230分)、問題数は全175問で、60問回答するごとに1回10分間の休憩が認められています。

PMP試験の受験に必要な資格や出題内容、受験料などの詳細は次の通りです。

受験資格

PMP試験を受験するためには、これから紹介する受験資格を満たすことが必要です。

  • プロジェクトマネジメントの経験年数

PMP試験の受験で求められる実務経験は、自身の持つ卒業資格により異なります。

受験者が大学卒業か、それに相当する資格を持つ場合は、「36か月のプロジェクトマネジメント経験」と「4,500時間のプロジェクトを指揮する立場での実務経験」が必要です。

高校卒業資格を持つ場合は、「60か月のプロジェクトマネジメント経験」「7,500時間のプロジェクトを指揮する立場での実務経験」と、大学卒業資格を持つ場合よりも長い経験が必要になります。

これらの実務経験は、試験の申込日から数えて過去8年以内の経験が受験資格として認められます。プロジェクトマネジメントの実務から離れる場合は、なるべく早く試験に申し込みましょう。

  • 35時間の公式なプロジェクトマネジメント研修の受講

上記の実務経験年数を満たした上で、プロジェクトマネジメントに関するPMI認定研修の受講が必要です。講習は以下のようにさまざまな機関より提供されています。日程や場所など、受講しやすい研修を選びましょう。

  • REPPMI認定教育プロバイダー)
  • PMI支部
  • 大学
  • 企業内教育
  • Eラーニング
  • 各種研修機関

研修の受講が完了したら、研修名や研修場所などを資料に基づいて申請書に記載してPMP受験を申請します。場合によっては、後日本当に受験資格を有するかどうかの監査を受けることもあるため、申請の際に使った資料は保管しておきましょう。

PCを見ながら会話する男女

出題内容

PMI試験の内容は、2021年1月に改訂されました。出題内容だけでなく、問題数や試験時間、出題形式なども変更となっています。

試験は「Ⅰ.人」、「Ⅱ.プロセス」、「Ⅲ.ビジネス環境」の3領域から出題され、内容や設問数の割合は次の表の通りです。

ドメイン 内容 設問の割合と数
人(People) プロジェクト・チームを効果的にリードするためのスキルと活動にウェイトを置く 42%(84問)
プロセス(Process) プロジェクトマネジメントにおける技術的側面を強化する 50%(100問)
ビジネス環境(Business Environment) プロジェクトと組織戦略の繋がりを明確にする 8%(16問)

各領域にはタスクと呼ばれる、プロジェクトマネージャーが果たすべき基本的責任が定められています。タスクの内容は次の通りです。

■領域Ⅰ.人

  • タスク1:コンフリクトを管理する
  • タスク2:チームをリードする
  • タスク3:チームのパフォーマンスをサポートする
  • タスク4:チーム・メンバーとステークホルダーに権限を与える
  • タスク5:チーム・メンバー/ステークホルダーを適切にトレーニングする
  • タスク6:チームを形成する
  • タスク7:チームにとっての障害や障壁、阻害要因に対処して、除去する
  • タスク8:プロジェクトの合意に向けて交渉する
  • タスク9:ステークホルダーと協力する
  • タスク10:共通理解を構築する
  • タスク11:バーチャル・チームを関与させてサポートする
  • タスク12:チームの行動規範を定義する
  • タスク13:関係するステークホルダーにメンタリングを行う
  • タスク14:感情的知性の適用を通してチームのパフォーマンスを向上させる

■領域Ⅱ.プロセス

  • タスク1:事業価値の提供に必要な緊急度でプロジェクトを実行する
  • タスク2:コミュニケーションを管理する
  • タスク3:リスクを評価して管理する
  • タスク4:ステークホルダーを関与させる
  • タスク5:予算と資源を計画し、管理する
  • タスク6:スケジュールを計画し、管理する
  • タスク7:プロダクト/成果物の品質について計画し、管理する
  • タスク8:スコープを計画し、管理する
  • タスク9:プロジェクト計画アクティビティを統合する
  • タスク10:プロジェクトの変更を管理する
  • タスク11:調達を計画し、管理する
  • タスク12:プロジェクト文書類を管理する
  • タスク13:適切なプロジェクト方法論/手法と実務慣行を決定する
  • タスク14:プロジェクト・ガバナンス構造を確立する
  • タスク15:プロジェクトの課題を管理する
  • タスク16:知識を伝達してプロジェクトの継続性を確保する
  • タスク17:プロジェクト/フェーズの終結または移管を計画し、管理する

■領域Ⅲ.ビジネス環境

  • タスク1:プロジェクトのコンプライアンスを計画し、管理する
  • タスク2:プロジェクトのベネフィットと価値を評価し、実現する
  • タスク3:外部ビジネス環境の変化によるスコープへの影響を評価し、対処する
  • タスク4:組織の変更をサポートする

引用元:プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル(PMP)試験内容の概要

ガラス壁にメモしながら会議する様子

受験料

PMI会員になると、受験料・更新料ともに割引を受けられます。PMP試験の受験料は、PMI会員の場合は405ドル(64,800円)、非会員の場合は555ドル(88,800円)です。また、3年ごとの資格更新料としてPMI会員は60ドル(9,600円)、非会員は150ドル(24,000円)かかります。
※2024年6月時点の金額で、日本円は1ドル160円として換算しています。

なお、PMI会員になると受験料等が割引されるだけでなく、PMIが発行する刊行物を読むことも可能です。ただし、刊行物は英語のため、日本語で読みたい場合は日本支部の会員登録も行いましょう。日本支部へ入会する場合、年会費は本部分と支部分の両方がかかります。

PMI本部の入会費は10ドル(1,600円)、年会費は129ドル(20,640円)です。日本支部に入会する場合は、さらにPMI日本支部は年会費50ドル(8,000円)がかかります。

 

PMP資格の難易度・取得までの期間

PMP資格を取得するための難易度や、取得までにかかる期間の目安は次の通りです。

難易度・合格率

PMP資格の受験者数や合格率は公表されていませんが、合格率は60%~80%程度といわれています。

PMP資格受験には、受験資格として実務経験が必要であるため、受験者は、申請時点でプロジェクトマネジメントに関する一定の知識を保有しています。その上で、合格率が60%~80%であると仮定すると、易しい試験であるとはいえないでしょう。

さらに、実務経験、研修、英語での書類作成など、PMP資格は受験までのハードルが高いことも特徴です。

高校卒業資格を持つ場合

高校卒業資格を持つ場合の、受験資格の取得から合格までにかかる期間と流れは以下の通りです。

所要時間 項目 内容
8年以内 7,500時間 プロジェクトマネジメントの指揮・監督する立場での経験 60ヶ月間のプロジェクトマネジメント経験を含む、プロジェクト業務を指揮・監督する立場での7,500時間の実務経験
35時間 研修 認定されたプロジェクトマネジメントに関する研修を受講する
3~10時間
(目安)
試験の申し込み 必要書類および、経験したプロジェクトを英語で説明した文書
5日程度
(目安)
申込書類の受理 PMIによる書類の確認
ランダムに審査(Audit)を受ける場合がある
1時間程度
(目安)
試験日を予約 試験会場を選択して、試験日程を決めて予約する
4時間前後 受験 試験会場に赴き、受験する
試験時間は3時間50分。解答が終わったら途中退席できる
5営業日程度
(目安)
結果を確認 試験が終わると、5営業日程度で結果が通知される
数週間程度
(目安)
証明書を受け取る 試験に合格した場合、受験から数週間後に証明書が自宅に届く

高校卒業資格を持っている場合、試験を受ける資格を得るまでに7,500時間の実務経験と35時間の研修が必要です。試験の申し込みから受験までに1週間程度、合格した場合は証明書を受け取るまでに数週間程度の期間がかかります。

大学卒業資格を持つ場合

大学卒業資格を持つ場合の、受験資格の取得から合格までにかかる期間と流れは以下の通りです。

所要時間 項目 内容
8年以内 4,500時間 プロジェクトマネジメントの指揮・監督する立場での経験 36ヶ月間のプロジェクトマネジメント経験を含む、プロジェクト業務を指揮・監督する立場での4,500時間の実務経験
35時間 研修 認定されたプロジェクトマネジメントに関する研修を受講する
3~10時間
(目安)
試験の申し込み 必要書類および、経験したプロジェクトを英語で説明した文書
5日程度
(目安)
申込書類の受理 PMIによる書類の確認
ランダムに審査(Audit)を受ける場合がある
1時間程度
(目安)
試験日を予約 試験会場を選択して、試験日程を決めて予約する
4時間前後 受験 試験会場に赴き、受験する
試験時間は3時間50分。解答が終わったら途中退席できる
5営業日程度
(目安)
結果を確認 試験が終わると、5営業日程度で結果が通知される
数週間程度
(目安)
証明書を受け取る 試験に合格した場合、受験から数週間後に証明書が自宅に届く

大学卒業資格を持っている場合、試験を受ける資格を得るまでに4,500時間の実務経験と35時間の研修が必要です。試験の申し込み以降は高校卒業資格を持っている場合と同じく、受験までに1週間程度、合格から証明書を受け取るまでに数週間程度の期間がかかります。

 

PMP資格取得から更新の流れ

ここでは、PMP資格の受験から取得までの流れと、取得後から更新までの流れについて解説します。

受験から資格取得まで

受験資格を満たしたら、まずはPMIアカウントを作成しましょう。PMI会員とは異なり、PMIアカウントは無料で作成できます。アカウントができたら、PMP試験の受験申請と、受験料の納付を行います。申し込みが受理されたら、試験日程の予約を行ってください。

試験を受けた後、合格基準に達していればPMP資格が取得できます。残念ながら不合格だった場合、再試験は1年以内に3回まで可能です。

資格取得後から更新まで

PMP資格の取得後は、3年ごとに更新が必要です。PMP資格を維持するための「CCR」というプログラムがあり、3年ごとのCCRサイクルで定められた分量の学習を行うことで更新できます。

CCRでは学習時間がPDU(Professional Development Unit:プロフェッショナルデベロップメントユニット)という単位でカウントされ、資格取得日から3年後までの間に、60PDU以上の継続学習が必要です。1PDUは1時間分の学習に相当し、0.25PDU単位で申請できます。

PDUの対象となる活動には、「教育」と「専門性への還元」の2種類があります。「教育」は認定された資格更新用の研修を受けることで、PDUの取得数に制限はありません。一方、「専門性への還元」は新しいプロジェクトマネジメント知識の開発などの取り組みで、最大で45PDUまで取得できます。

3年間のうちに60PDU分の活動を申請し、承認後に更新費用を支払うことで、PMP資格の更新が可能です。

更新を行わなければ、1年間の資格停止期間に入ります。資格停止期間中に更新の要件を満たすと、再度PMPを名乗ることができます。1年以内に更新の要件を満たさなかった場合は資格失効となるため、更新を希望する場合は早めにPDUを取得しましょう。

PCを前に頭を抱える女性

 

PMP資格取得に向けたおすすめ勉強法

PMP試験は、決して易しい試験ではありません。事前にしっかりと対策してから受験することをおすすめします。主な勉強法は次の通りです。

参考書

PMIが発行している公式の参考書や、市販のPMP資格の対策問題集でPMP資格に向けた勉強が可能です。

PMP資格試験は選択式で出題されるため、問題集を繰り返すことで傾向をつかむことができ、苦手分野を把握できます。苦手分野を把握したら、参考書をよく読み込み、該当分野のインプットを重点的に行いましょう。

動画講座

Udemyなどの動画講座では、PMP資格の取得に必要なプロジェクトマネジメントの知識を効率的に学べます。

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また、好きな時間にパソコンやスマホから講座を受講できるため、すきま時間を活用して学習したい方にもおすすめです。

 

PMP資格を取得して業務に役立てよう

PMP資格は、プロジェクトマネジメントの能力を証明する資格です。

資格を取得するためには、試験に合格するだけでなく、実務経験や公式認定された研修の受講も必要です。そのような厳しい条件があるからこそ、PMP資格には高い価値があるといえます。この記事を参考にして、ぜひPMP資格の取得にチャレンジしてみてください。

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PMP資格を取得してスキルアップを目指しましょう。