オラクルマスターとは?資格取得のメリットや各グレードの試験概要を解説!

ITシステムに欠かせないデータベース。その中でも、「Oracle Database」は世界でもトップ3のシェア率を誇ります(2022年6月現在)。技術力をあげるためにも、オラクルマスターの資格を取得したいと考えているエンジニアの方も多いのではないでしょうか?

この記事では、データベースの資格として有名なオラクルマスターの試験内容や、対策方法についてお伝えします。

オラクルマスター(ORACLE MASTER)とは

オラクルマスターは、日本オラクルが運営する資格の1つで、「Oracle Database」に関する技術を認定します。

データベース製品は数多くありますが、世界でも高いシェア率を維持し続けているのが「Oracle Database」です。オラクルマスター試験は、ブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナの4つの難易度(グレード)に分かれています。本資格は民間資格ではあるものの、シルバー以上のグレードは世界基準の資格です。

\文字より動画で学びたいあなたへ/

Udemyで講座を探す >

新体系への移行による変更点

オラクルマスター試験は、2020年から「ORACLE MASTER 2019」として、新体系へ移行しています。旧体系では、オラクルのバージョンに依存した資格になっていましたが、新体系では、バージョンに依存しない位置づけとなりました。

オラクルマスター2

新体系への移行によって、大きく4つの変更点があります。

ブロンズ資格体系の変更

旧体系ではSQL(Structured Query Language)試験と、DBA(Database Administrator)試験の2つに合格する必要がありました。新体系では、DBA試験のみブロンズ資格が認定されます。

シルバー試験の受験資格の変更

旧体系では、シルバー資格の受験にはブロンズ資格を取得していることが条件でした。新体系では、ブロンズ資格の取得は任意です。

ゴールド資格の受験資格の変更

旧体系では、ゴールド資格を取得するためには、必須研修を受講する必要がありました。新体系では研修受講が不要となり、試験のみで資格取得が可能になりました。

資格の有効期限が変更

旧体系では資格失効となる期間がありました。新体系ではオラクルのバージョンに依存しない資格となったため、失効が無くなり、有効期限が無期限になりました。

 

オラクルマスターを取得するメリット

オラクルマスターを取得すると、以下のようなメリットが得られます。

データベースの知識が身に付く

1つ目のメリットは、RDB(Relational Database)や、RDBを操作するための言語であるSQLなど、データベース全般の知識を身に付けることができることです。

データベースは主に階層型・ネットワーク型・リレーショナル型の3種類のタイプがありますが、オラクルのデータベースはもっとも広く普及しているリレーショナル型(RDB)です。RDBについて理解していることは、データベースの主流を押さえていることになります。

Oracle Databaseの技術力の高さを示せる

2つ目は、技術力の高さを示せることです。技術力を示すためには、実際に作ったものを見せたり、顧客の課題を解決したりする必要がありますが、どちらも簡単にはできません。Oracle Databaseの資格である、オラクルマスターを保持していれば、客観的な事実として、データベースに関して一定以上の知識や技術力がある証明になります。

資格手当や報奨金がもらえる可能性が高い

3つ目は、資格取得時に、雇用されている企業から資格手当や報奨金がもらえる可能性があることです。企業によって金額などは異なりますが、報奨金として一括で数万円支給されたり、基本給に手当として数千円上乗せされたりすることもあります。知識がつく上に、報酬がもらえるのは大きなメリットです。

 

オラクルマスターの試験内容や合格ラインをグレード別に紹介!

ここからは、オラクルマスターの試験内容や、出題など、試験概要をお伝えします。グレードごとに紹介しますので、受験を検討されている方は参考にしてください。

勉強する女性

ブロンズ

Oracle Database のアーキテクチャや構成に関する用語を理解していること、データベースの日常的な運用管理について理解していることを確認するための試験です。入門編とされています。

試験内容
  • Oracle Database管理の概要
  • Oracle Databaseのインストールおよびデータベースの作成 など
  • 受験料 29,400円
    試験時間 120分
    出題形式 選択問題
    出題数 70問
    合格
    ライン
    65%

     

    シルバー

    ブロンズよりも実践的な内容が問われる資格です。インスタンスの管理やネットワークの設定、記憶域の管理、ユーザー・権限およびロールの管理など、日常的な運用管理作業を行うスキルがあることを確認するための試験です。

    また、データベース管理者向けの資格であるORACLE MASTER Gold DBAの前提資格でもあります。

    試験内容
  • Oracle Databaseアーキテクチャの理解
  • データベース、インスタンスの管理
  • ユーザー、ロールおよび権限の管理など
  • 受験料 29,400円
    試験時間 150分
    出題形式 選択問題
    出題数 90問
    合格
    ライン
    60%

     

    ゴールド

    シルバーよりもさらに難易度が高い、データベースの構築や運用スキルが求められる資格です。バックアップ・リカバリや複製、マルチテナント環境の構成・管理全般、インストール、パッチ適用などを理解するデータベース管理者として、状況に応じた手法の提案や助言を行うスキルがあることを確認するための試験です。

    試験内容
  • CDBと通常のPDBの作成
  • アプリケーションPDBの管理
  • CDBおよびPDBの管理など
  • 受験料 29,400円
    試験時間 150分
    出題形式 選択問題
    出題数 85問
    合格
    ライン
    57%

     

    プラチナ

    Oracle Databaseの資格体系における最高難度の資格です。試験範囲が広いため、準備に多大な時間を要します。受験者ごとに専用サーバーが割り当てられ、サーバー上でモジュールを操作する実技試験です。試験では目的に基づいた4つのモジュールに対する課題があります。

    なお、Oracle Database 12cリリース向けのORACLE MASTER Platinum Oracle Database 12c実技試験/移行試験は2022年7月に終了となりますが、資格が失効するわけではありません。

    試験内容
  • プラガブル・データベースの作成
  • 管理、ネットワーク環境の構成及び複数のデータベースへの接続など
  • 受験料 198,000円
    試験時間 2日間
    1日目:9:30~17:30
    2日目:9:30~17:30
    出題形式 実技試験
    合格
    ライン
    モジュール1:53.3%
    モジュール2:34.3%
    モジュール3:40.7%
    モジュール4:43.4%
    全てのモジュールで合格ラインに達する必要があります

     

    オラクルマスターの対策方法

    最後に、オラクルマスターの資格を取得するための対策方法について紹介します。

    主な対策方法は以下の3つです。

    ・参考書・問題集で学習する

    ・動画講座を受講する

    ・Webサイトの問題を解く

    それぞれの方法を詳しく解説していきます。

    参考書・問題集で学習する

    オラクルマスターの書籍は、ブロンズ、シルバー、ゴールドに対して出版されています。参考書や問題集で学習する際には、新体系に対応した書籍であるか確認してから購入しましょう。

    動画講座を受講する

    RDSの操作やSQLなどの実践的な内容を学びたい場合は、動画講座の受講もおすすめです。操作の仕方や実技などは、書籍ではわかりにくかったり、理解するのに時間がかかったりすることがあります。動画であれば、実際に操作している画面を見ながら理解を進めることができます。

    動画を見る女性

    Webサイトの問題を解く

    オンラインで問題演習が行えるサイトが多数あります。学習範囲の網羅性や、体系立てた学習という面では、書籍や動画講座に比べると劣りますが、空き時間を利用して手軽に勉強したり、あるパートを重点的に学習したりするにはよいでしょう。

    大手メディアの@ITが公開している問題演習「@IT ORACLE MASTER Bronze DBA編」。各問題に対して、詳細な解説を別ページで見ることができます。図表や画像を用いて解説されているため、理解しやすい情報にまとまっています。

    「SHIFT the Oracle」はオラクルマスターの取得や業務でオラクルを使って開発しているシステムエンジニアを目指している人のためのサイトです。

    オラクル入門者向けの Oracle SQL入門、SQLプログラミングから初歩的なチューニング・運用に関する情報、SQLのリファレンスやサンプルなど、広く情報を扱っています。

    ITメディアの「Think IT」では「徹底攻略ORACLE MASTER Bronze DBA 10g問題集」の書籍の中から、章ごとに問題を抜き出して掲載してくれています。

     

    今回の記事では、データベース資格である「オラクルマスター」について、試験内容や合格ライン情報などの概要をお伝えしました。オラクルマスターは旧体系から新体系に2019年に移行されました。それにより、オラクルのバージョンに依存しない資格体系となり、資格の有効期限は無期限となりました。記事の中でお伝えした、対策方法を参考に、資格取得に向けてチャレンジしてみてはいかがでしょうか。