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  • 2021/08/02

DX時代の人材戦略「リスキル」の重要性について詳しく解説

皆さんは「リスキル」という言葉をご存知でしょうか。ビジネスにおけるリスキルとは「リスキリング」のことであり、DX時代の人材戦略として注目を集めています。

なぜ今、リスキルが注目されているのか、その概要から必要となった背景、導入事例や今後の課題についてご紹介します。

リスキルとはリスキリングのこと!

リスキルとは「リスキリング(Re-skilling)」のことであり、経済産業省が公開している資料では次のように定義されています。

「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に対応するために、必要なスキルを獲得する/させること」

引用元:リスキリングとは-DX時代の人材戦略と世界の潮流-(経済産業省)

近年では、テクノロジーの進化でさまざまな業務を自動化し、これまでになかった新しい価値を生み出すことが求められています。そのなかで、企業はDX推進によるビジネス変革を目指しており、私達個人も変化が求められています。

企業のDX推進では、ビジネスモデルや事業戦略が変わり、人材戦略も変わってきます。デジタル技術の力を使って、価値を創造できるように従業員の能力やスキルが再開発する事がリスキルの目的です。

リスキルが必要になった背景

リスキルが必要になった背景には、企業のDX推進が挙げられます。2018年に経済産業省から「DXガイドライン」が公開されて以降、企業のDXへの取り組みは進められてきましたが、2020年まではそれほど浸透していませんでした。

そんななか、新型コロナウイルスの世界的な流行が起こり、日本でもテレワークなどの新しい働き方への変化を実施せざるを得ない状況になりました。奇しくもコロナ禍における昨今の状況で企業のDX化は進むこととなり、併せてリスキルもその必要性が増しています。

企業のDX推進における課題として、「高度な専門性を持つデジタル人材の不足」は第一に挙げられる項目です。これは日本だけでなく海外でも同様のことが言え、アメリカでは2020年8月時点で430以上の企業がリスキルに着手し、欧州でも2021年1月から「Digital Europe Programme」をスタート。2027年までに最新のテクノロジー職につける人材を26万人ほど増やすことを目指しています。

また、2020年1月の世界経済フォーラムの年次総会では「2030年までに世界で10億人をリスキルする」ことを目標に「リスキル革命プラットフォーム」の構築が宣言されるなど、世界的にビジネスにおけるリスキルは必要とされています。

講義を受けている様子

リスキルとOJTの違い

現在の職に必要とされるスキルを身につける、というとOJTを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

OJTはOn-the-Job Trainingのことであり、実際の業務を通じて指導・教育を行うことで、主に新人教育で活用されています。しかし、OJTでは既にあるやり方やスキルを教育するものであり、リスキルは「これからの時代で役立つスキル」を身につけるためのものです。

リスキルとOJTの違いは、「既存の知識・スキルの教育」か「今はない新たな業務におけるスキルの習得」かの違いにあると言えます。これはどちらが良い・悪いということではなく、目的とする知識やスキルの習得によって使い分けられるものです。

企業のDX化が進み、新たな業務に対応するためのスキルを身につけるためには、リスキルが必要不可欠となります。

 

リスキルの導入事例

リスキルは世界中のビジネスで必要とされており、さまざまな企業が取り組んでいます。ここでは、いくつかの企業の導入事例を見ていきましょう。

Amazon

世界的に有名な小売企業の代表格であるAmazonでは、2025年までに従業員10万人をリスキルすることを発表しています。2019年から取り組みを始めており、この取り組みでは従業員一人あたりに約7,000ドル(約75万円)を投資し、データマッピングスペシャリストやデータサイエンティスト、ビジネスアナリストなどの高度なスキルを持つ人材育成を目的としたものです。

具体的には、非技術系人材を技術系人材に移行させる「アマゾン・テクニカル・アカデミー」や、IT系エンジニアがAIなどの高度スキルを獲得するための「マシン・ラーニング・ユニバーシティ」などの取り組みを実施しています。

日立製作所

日立製作所グループのなかには、人材育成を総合的に担う株式会社日立アカデミーが存在します。日立製作所グループ全体として、「デジタル対応力を持つ人材の強化」は重要課題として挙げられていました。

そこで、日立アカデミーと日立製作所が連携し、2020年度に「デジタルリテラシーエクササイズ」という基本教育プログラムを開発しています。DXに関するプロのスキルを身につけるまでの工程を登山に見立て、段階的に知識・スキルを身につけるためのプログラムです。

国内の日立グループの全従業員16万人が受講できるプログラムであり、リスキルは企業の責任として戦略実現のための人材育成を推進しています。

キヤノン

キヤノンでは向上従業員を含む1,500人に対して、クラウドやAIなどの研修を実施しています。プログラミング言語やセキュリティなどのデジタル知識のレベルごとに14系統・190講座を用意し、就業時間を使って半年程度の専門教育を行うものです。

必要に応じて統計や解析などの基礎知識も学べるようにし、幅広い人材の職種転換を後押しする目的です。実際にこの取り組みを通じて、プリンター開発をしていた20代社員は2021年3月から新たに医療機器部門で働き始めたとのこと。CTなどの医療機器の検査精度を高めるために、機械学習と画像認識を合わせる商品開発を行っています。

PCとノートが写されており、メモを取っている様子

富士通

富士通では2020年度の経営方針で「ITカンパニーからDXカンパニーへ」を提唱。社会や顧客への提供価値創造と富士通自身のDX企業への革新のため5年間で必要な投資(5~6,000億円)を積極的に遂行すると発表しました。

その中に内部強化(人材のリスキル)が含まれており、社内システムの改修や人材育成のDX化推進も精力的に行われ、Udemyを利用したオンラインDX研修も導入されています。

富士通のUdemyを利用したオンラインDX研修については「IT企業からDX企業への転換――。富士通グループが取り組む人材育成とは?」をご覧ください。

 

リスキルの今後の課題

リスキルの取り組みを開始するにあたり、いくつかの課題が挙げられます。リスキルを成功に導くためには、これらの課題を解決することが重要です。

スキルの可視化

ITに関連するスキルの可視化は難しいものです。しかし、スキルを可視化しなければ各々が必要とするスキルの習得が難しいと考えられます。現在のスキルと将来的に必要となるスキルの可視化は必要不可欠です。

スキルの可視化にはAI活用が有効であり、求人情報や社内外の人材要件定義などのデータを活用し、特定職種に求められるスキルを特定・常時更新し続ける仕組みづくりが求められます。

コンテンツの準備

リスキルのための研修・学習コンテンツを自社内で準備しなければならない、と考える方も少なくありませんが、実は社外の研修・学習コンテンツを利用することも可能です。

例えば、GoogleやMicrosoftなどが提供するマイクロ・クレデンシャルの活用が挙げられます。その他にも、オンライン教育プロバイダーを活用する方法も考えられるでしょう。Udemyの法人向けサービスでは5,000講座が学び放題であり、一人ひとりのスキルに合った最適な動画講座を選択可能です。

また、リスキルは知識やスキルを学んだあとの現場経験こそが重要となります。学習コンテンツは社外のサービスを活用し、自社内では社内インターンシップや見習い制度など、学んだスキルを実践する機会づくりが必要です。

社員のモチベーション維持

社員のなかにはリスキルに抵抗を示す人も出てくる可能性があります。しかし、これからのDX時代においてはリスキルしなければ企業内で価値を生み続ける人材として生き残れません。

リスキルの取り組みを進めるにあたっては、社員一人ひとりにリスキルの重要性をしっかりと伝える事や、リスキルによって社内外で価値を発揮することができる人材になるということも伝える必要があります。

また、新たな知識・スキルを身につけたあとの道筋も示すことも重要です。

6人がハイタッチをしている様子

 

リスキルはリスキリング(Re-skilling)のことであり、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に対応するために、必要なスキルを獲得することです。

企業のDX化が進む近年では、日本だけでなく世界規模でリスキルの重要性が高まっています。リスキルは世界的に有名な企業でも取り組みが進められており、日本でも日立製作所や富士通などが対応を進めています。

リスキルを実施するためにはいくつかの課題が考えられますが、自社内で完結させようとするのではなく、社外のサービスなどを有効活用することが重要です。Udemy Businessではリスキルに最適な講座を多数ご用意しておりますので、ぜひご活用ください。