この記事では、これからのPM人材(プロジェクトマネジメント人材)に必須となる、パワースキルについて紹介します。変化の激しい社会において、プロジェクトを成功させるためには、プロジェクトマネージャーとメンバー双方に、高いパワースキルが求められます。
そもそもパワースキルとは?
パワースキル (Power Skills) は、変化の激しい時代に対応するための考え方、振る舞いのことです。2019年頃から、プロジェクトマネジメントに関する国際的な標準の策定や、資格認定を行う組織であるPMI (Project Management Institute) が、プロジェクトマネージャーをはじめとした、ビジネスパーソンに求められるスキルとして提唱しています。
パワースキルは、一般的に以下の6つの項目からなるとされています。
- コミュニケーション力
- リーダーシップスキル
- チームワーク
- 生産性、時間管理
- ウェルネス (心身の健康を保とうとする態度)
- 共感
これらのスキルは、PM人材 (プロジェクトマネジメント人材) にとって「身についていたら良い」ものではなく、「身につけなければならない」必要不可欠なものとして、求められるようになっています。
パワースキルが注目されている背景
上記のように、パワースキルの構成要素自体は、特に目新しいものではありません。それにも関わらず、「身につけなければならない」ものとして、求められるようになっているのはなぜでしょうか。それは、ビジネスが高度化し、パワースキルを含む、プロジェクトマネジメントのスキルが求められるケースが増えたためです。
あらゆるビジネスで、ITシステム・ソフトウェアを開発し活用するようになり、そこでは高度なプロジェクトマネジメントが行われます。PMIは、2030年には全世界で2500万人のPM人材が必要となるとしています。
また、AIやRPAなど、業務を自動化、効率化するソフトウェアが活用されるようになり、働き方も大きく変化しています。プロジェクトやチームのメンバー同士で積極的にコミュニケーション・コラボレーションし、パワースキルを活用した「人間にしかできないこと」に取り組むことが求められています。
パワースキルとソフトスキルの違い
パワースキルが注目される以前から、「ハードスキル」と「ソフトスキル」という言葉があります。ハードスキルとは、目的達成のために必要不可欠な、機械の操作やプログラミングのスキルを指します。そして、ソフトスキルはコミュニケーションを通じて、他者やチームを動かしていくためのスキルを指し、プロジェクトの機動性を高め、変化に対応し、プロジェクトを成功させるためのスキルです。
実際のところ、パワースキルはソフトスキルと大きな違いはありませんが、ビジネスの変化に合わせて、その重要性を再認識させるために、名前を変えてリブランドしたものと言えます。
パワースキルを構成する6つの要素とは?
ここから、上述したパワースキルの6つの要素を、個別に紹介していきます。
パワースキルの構成要素①コミュニケーション力
プロジェクトマネジメントに限らず、あらゆる仕事に必須の能力ですが、相手の話をよく聞き (傾聴力)、的確に意図を解釈すること、そして自分の意見を相手に正確に伝えることが重要です。また、率直なフィードバックを互いに行うことで、プロジェクトやチームのニーズに沿った調整が可能になります。適切なコミュニケーションは、ビジネスの成功を最大化し、リスクを最小化できます。
パワースキルの構成要素②リーダーシップスキル
プロジェクトマネージャーには、強いリーダーシップも必要です。プロジェクトのメンバーを鼓舞し、チームを共通の目標に向かってまとめることで、成功確率を高めます。また、新規事業など、ビジネスに革新をもたらすプロジェクトの場合は、リーダー自らがチェンジメーカーとして、率先して変化していくことも必要です。
パワースキルの構成要素③チームワーク
パワースキルは、プロジェクトマネージャーだけでなく、メンバーにも必要です。一人ひとりが目標を明確に設定し、目的志向でタスクに取り組むことで、優れた成果を挙げることができます。また、多くのプロジェクトは個人プレーでは成功しません。メンバー同士が積極的にコミュニケーションをとり、連携していくことも重要です。
パワースキルの構成要素④生産性、時間管理
プロジェクトをマネジメントするうえで、時間と進捗の管理は極めて重要です。現代は、ビジネス状況が刻々と変化する中で、それに対応していかなければなりません。変化に対応するには、現状と予定を明確に把握し、次に行うべきことを判断する必要があります。
また、マネージャーやリーダーから「遅れている」と急かされてから慌てるのではなく、メンバー自身が、日々の業務の中で生産性を高める工夫をする姿勢も求められます。
パワースキルの構成要素⑤ウェルネス
ウェルネス (Wellness) は、身体の健康だけでなく、こころの健康や、社会との関わり合いなども含めて「輝くように生き生きとしている状態」と定義される概念です。医療、保健の分野では古くから使われてきましたが、近年、ビジネスパーソンの働き方に関して、注目されるようになっています。
良い仕事を成し遂げるためには、心身の健康に加え、社会・コミュニティとの関わり、生活の安定、チームワーク、そして仕事への目標意識が意識です。ウェルネスな状態を保つことで、自ら目標を立ててプロジェクトに貢献し、スキルアップする自己啓発の姿勢も生まれます。プロジェクトマネージャーには、自身はもちろん、メンバーのウェルネスにも気を配り、積極的に支援することが求められます。
パワースキルの構成要素⑥共感
共感は、相手を理解し、コミュニケーションするための基本です。チームのメンバーそれぞれのスキルやモチベーション、ワークスタイルを理解し、その上で相手を信頼し、つながりを深めていくことが重要です。
パワースキルを伸ばすための学習方法とは?
ここまで見てきたように、パワースキルは教科書を読んだり、研修を受けたりするだけで安易に身につくようなものではありません。また、パワースキルを評価する試験も資格もありません。
日々の仕事の中で、常に成長しよう、より良いパフォーマンスを発揮しようという学習意欲を持って、メンバーと連携して働くことが必要です。目標を達成するためにさまざまなコミュニケーションをとる中で、パワースキルを高めることができます。上司や同僚から、率直なフィードバックを受けることも重要です。自身の現状を理解し、改善していくことができます。
また、プロジェクトマネージャーは、自身のスキルアップだけでなく、メンバーのパワースキルを高めるためにも、メンバーに役割と目標を与え、メンバー同士が互いに連携して働くようなチーム作り、人材育成の視点が求められます。
この記事では、これからのPM人材に必須となる、パワースキルについて紹介しました。それぞれの要素はあいまいで、非言語的なものですが、変化の激しい社会において、プロジェクトを成功させるためには、プロジェクトマネージャーとメンバー双方に、高いパワースキルが求められます。日々の仕事の中で、この6つの観点を高めるよう意識して取り組んでいきましょう。
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