アプリ開発のプロジェクトでは、DevOpsを導入することでスムーズな開発と運用が可能となります。この記事では、DevOpsのメリットやプロセス、役立つツールなどについてわかりやすく解説します。
DevOpsとは何か?目的やメリットを解説
DevOpsは「デブオプス」と読み、開発を意味するDevelopmentと、運用を意味するOperationsを組み合わせた造語です。
DevOpsに厳密な定義はありませんが、アプリの開発チームと運用チームが協力することにより、迅速かつ柔軟なサービス提供を行うための考え方や仕組みをDevOpsと呼びます。
DevOpsが重視されるようになった背景として、アプリ制作の過程で開発チームと運用チームの目指す方向が相反してしまうことがあります。
アプリの利便性を高めたい開発者と、安定的な運用をしたい運用者との間で、対立が生じてしまうという問題です。これらの問題を解決するために、DevOpsの考え方が生まれました。
なお、システム開発やプロジェクトマネジメントに関して、詳しくは以下の記事をご覧ください。
◆システム開発の工程とは?ウォーターフォールとアジャイルの流れについて解説
◆PMP資格とは?難易度や取得方法、仕事上の価値についてわかりやすく解説
DevOpsのメリットとは?
アプリ開発および運用で、DevOpsを実施する主なメリットは次の3つです。
- スピードの向上
DevOpsではアジャイル開発の手法を用いることが多く、機能ごとのリリースをスピーディに行います。また、テスト期間を短縮し、早期にリリースすることが可能です。
- 生産性の向上
DevOpsはサービスをリリースするまでの期間が短く、ユーザーからのフィードバックを早期に得て、サービスの不具合や改善点を修正することができます。また、開発チームと運用チームの連携により、効率的な情報のやり取りをする体制ができ、無駄な作業を削減できます。これらにより、生産性が向上することがDevOpsのメリットです。
- 信頼性の向上
DevOpsは小さな規模で開発する手法のため、バグや不具合を見つけやすくなります。不具合が起きた場合にも迅速に対応できるため、信頼性の高いサービスを提供できることがDevOpsのメリットです。
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DevOpsによる開発は、複数のプロセスから構成されます。
以下で、DevOpsの各プロセスを解説します。
- 計画
開発するサービスに求められる機能を定義し、開発のタスクや進捗管理の方法について計画を立てます。
- 開発
計画に従って、コードの記述など開発工程を進めます。
- 継続的インテグレーション(CI)
継続的インテグレーションとは、開発したコードのビルドとテストを継続的かつ自動的に実行することです。1日に数回、コードのビルドとテストを行うことで、コードの不具合を早期に発見して修正できます。
- デプロイ
開発工程が一通り終わったら、実際の使用環境で使えるように設定します。
- 運用
リリース後の運用では、サーバーおよびアプリケーションの監視と、トラブル発生時の対応が重要となります。
- 継続的フィードバック
継続的フィードバックとは、サービスに関するユーザーからの意見や要望を継続的に受け取り、開発プロセスに反映させることです。チャットやメールによる問い合わせのほか、SNS上のコメントなども、継続的フィードバックに取り入れられます。
DevOpsとアジャイル開発の違いとは?
アジャイル開発とは、「要件定義→設計→開発→テスト→リリース(運用)」といった開発工程を、1つの機能を単位とした小さいサイクルで繰り返す開発手法です。すべての機能について計画や開発、テストを順番に実行していく従来のウォーターフォール開発に対して、アジャイル開発は柔軟性の高さやリリースまでの早さが特徴の開発モデルだといえます。
アジャイル開発について、詳しくは「アジャイル開発とは?主流の開発手法「スクラム」もくわしく解説!」をご覧ください。
DevOpsとアジャイル開発は、継続的なサイクルが含まれることや、小さな単位ごとに開発サイクルを回すことなどの共通点があるため、混同される場合があります。しかし、DevOpsとアジャイル開発は異なる概念です。
DevOpsはチームメンバーや組織の協力体制を表し、アジャイル開発は開発の進め方を表します。
そのため、DevOpsとアジャイル開発をどちらも導入する場合もあります。DevOpsによって開発チームと運用チームの連携をとりつつ、アジャイル開発を導入して、より効率的で柔軟な開発を行うことが可能です。
DevOpsの実施に必要な2つのポイント「ツール」と「マインド」とは?
DevOpsを実施して開発チームと運用チームの協力体制を作る際には、ツールとマインドの両面が重要です。
DevOpsに役立つツールを使用すれば、DevOpsを導入しやすく、効率的に進めることができます。また、組織全体の文化や心構えを共有することも、DevOpsの実施に必要です。
以下で、ツールとマインドのそれぞれについて具体的に解説します。
DevOpsに役立つツールとは?
DevOpsの実施には、プロジェクトの進捗状況を管理するためのツールや、チームメンバーのコミュニケーションツール、開発環境を構築するためのツールなどが役立ちます。
- 仮想化ツール
仮想化ツールとは、1台のサーバーを複数のサーバーのように使用できるものです。チームでの作業に役立ちます。
- インフラ管理ツール
AnsibleやDocker、Chefなどのインフラ管理ツールを使用すると、サーバーを立ち上げる際の設定作業を自動化できます。
- CI/CDツール
CI/CDツールは、継続的インテグレーションおよび継続的デリバリーに役立つツールです。CI/CDツールを導入すれば、データ変更時のリリースやテストを自動化できます。
- タスク管理ツール
タスク管理ツールは、DevOpsのプロジェクトに携わるメンバーへのタスク割り振りや、タスクの進捗確認に役立ちます。
- コミュニケーションツール
開発チームと運用チームの情報共有を行うために、コミュニケーションツールの導入が欠かせません。チャットツールなど、迅速な情報共有ができるツールがいいでしょう。
- バージョン管理ツール
バージョン管理ツールでは、データの作成者や変更者、変更日時などを確認したり、過去の状態を復元したりすることが可能です。
このほか、AWSやAzureなどのクラウドサービスにもDevOpsに役立つ機能があります。クラウドサービスについて、詳しくは以下の記事をご覧ください。
◆AWSとは何か?サービス例やメリットをわかりやすく解説!
◆Microsoft Azure(アジュール)とは?基礎からわかりやすく解説!
DevOpsで重要なマインドとは?
開発チームと運用チームが協力してDevOpsを導入するためには、組織的な文化やマインドが重要となります。特に重要なポイントは以下の通りです。
- 開発チームと運用チームがお互いを尊重する
DevOpsでは、一緒に働くメンバーを尊重しあうマインドが前提となります。チームの垣根を超えて、お互いの能力や功績を正しく評価しあうことで、より緊密な連携が可能になるでしょう。
- チームメンバーを信頼する
チームメンバーを信頼し、開発や運用に関する情報を共有することが、DevOpsの実施に役立ちます。
- 良いサービスにするという共通目的を持つ
開発チームと運用チームが共通目的を持つことで、柔軟性が生まれます。チームの都合ではなく、サービスのために必要なことであるかどうかを基準にすることが大切です。
この記事では、DevOpsの概要やアジャイル開発との違い、DevOpsに必要なツールとマインドについて解説しました。DevOpsを導入すれば、開発チームと運用チームがお互いに協力しあいながら、品質の高いサービスを提供できるでしょう。
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