従業員エンゲージメントとは?高めるメリットや方法を紹介!

従業員の企業に対する理解や貢献意欲を表す従業員エンゲージメント。この記事では、従業員エンゲージメントの説明や、その必要性、エンゲージメントが高いことにどのようなメリットがあるのかということを紹介します。また、エンゲージメントが高い企業の事例も取り上げています。

従業員エンゲージメントとは?

エンゲージメント (Engagement) は、一般的には「婚約、契約、絆」といった意味の言葉です。

エンゲージメントの意味とは

また、雇用関係にあること、業務に従事していることなどの意味でも使われます。そして、「従業員エンゲージメント」は、企業の従業員が会社に対して抱く愛着や、企業や組織に対して貢献したい、という意欲のことを意味します。つまり、「企業と従業員、従業員同士の絆」と言えます。

従業員の絆

従業員エンゲージメントは、1990年代に欧米で経営指標のひとつとして提案されたもので、2000年代から日本でも注目されるようになりました。
従業員満足度も、企業と従業員の関係性をあらわす指標ですが、両者は異なる概念です。従業員満足度は、企業の施策や待遇に対して従業員がどの程度満足しているか、という従業員からの一方的な評価ですが、エンゲージメントは、従業員側の貢献意欲も含めた、双方向的な評価です。

従業員エンゲージメントが必要とされる理由

双方向的な指標であるエンゲージメントが注目されている背景として、以下のような点が挙げられます。

  • 従業員エンゲージメントを高めることで、企業と顧客の間のエンゲージメントも高めることができる
  • 雇用形態や業務内容が多様化した現代において、優秀な人材に長く活躍してもらうためには、待遇だけでなくエンゲージメントの向上が必要
  • 従業員エンゲージメントを高めることが、企業の業績アップにつながる

次にそれぞれの理由について、もう少し詳しく説明していきます。

従業員エンゲージメントを高めるメリット

従業員エンゲージメントを高めることで、企業と顧客の間のエンゲージメントも高めることができる

従業員エンゲージメントは、自社への愛着つまり、自社の製品やサービスについての深い理解につながります。エンゲージメントが高い従業員は、顧客のニーズにフィットする製品やサービスを紹介することができます。また、社内のさまざまなリソースも熟知しているので、それらを統合して、最適なソリューションを提案できます。このような従業員がいる企業は顧客から高く評価され、結果として企業と顧客の間の信頼関係、エンゲージメントも高まります。

企業と顧客の信頼関係を高める

優秀な人材に長く活躍してもらうためには、待遇だけでなくエンゲージメントの向上が必要

近年、人材の流動化が進み、優秀な人材ほど多くの企業を転々とする傾向にあります。そのような中で、能力の高い従業員に、自社で長く活躍してもらうためには、エンゲージメントの向上が必要です。優秀な人材ほど、自分は会社で何を成し遂げたいか、会社がどうあるべきか、ということを常に意識しています。そのため、企業のビジョンや今後の計画などを明確に伝え、共感を得ることが重要です。また、従業員からの改善提案や新規ビジネスのアイディアなども積極的に取り上げ、実行していくことで、この会社で活躍したい、という想いを高めることができます。
アメリカの清掃会社の調査によると、エンゲージメントと離職率の間には明確な負の相関があるそうです。

エンゲージメントと離職率の間には明確な負の相関

出典: Essay: keep workers not customers satisfied | Reuters Events | Sustainable Business

従業員エンゲージメントを高めることが、企業の業績アップにつながる

従業員エンゲージメントは、企業の業績にも直結しています。上述のように、エンゲージメントが高い従業員ほど、顧客との良い関係性を保ち、ビジネス機会を多く獲得します。また、優秀な人材の提案を受け入れる組織ほど、業務が効率化され、生産性が高まります。
実際に、調査会社ギャラップによると、従業員エンゲージメントが高い層と低い層では、従業員が上げる利益や生産性において、20%ほどの差があるそうです。

調査会社ギャラップ

出典: How Employee Engagement Drives Growth – Gallup

従業員エンゲージメントを高めていく方法とは?

従業員エンゲージメントの企業経営における重要性について説明しましたが、ここからは、どのようにしてエンゲージメントを高めればよいのを解説していきます。

企業理念やビジョンの共有

上述のように、優秀な人材ほど、会社で何を成し遂げたいか、会社がどうあるべきかを意識しているため、従業員一人ひとりに企業のビジョンや今後の計画などを明確に伝え、共感を得ることが重要です。

福利厚生の充実

従業員一人ひとりのワークライフバランス、ライフプランに寄り添うことで、エンゲージメントを高めることができます。休暇やカフェテリアプランの提供だけでなく、出産、育児、介護など、従業員のライフステージに合わせた働き方ができる労務制度も重要です。

コミュニケーションの活性化

同僚との人間関係が円滑で、コミュニケーションが活発であるほど、エンゲージメントは高まります。特に、コロナ禍でテレワークが浸透した現在においては、経営層や人事が意図してコミュニケーションの場を設ける必要があります。企業によっては、あえて集合研修を企画し、そこでのコミュニケーションに期待するケースもあります。

コミュニケーションの必要性

エンゲージメントの可視化

こまめにエンゲージメント調査を行うことで、現状を把握し、改善策をスピーディーに実行できます。ただし、調査を行うこと自体が目的にならないよう、注意が必要です。

従業員エンゲージメントの高い企業事例

ここからは、実際に高いエンゲージメントを獲得している企業の取り組みを紹介します。

事例① スターバックスコーヒー

スターバックスコーヒーでは、全世界の店舗で働くアルバイトやパートタイム従業員を「パートナー」と呼び、企業と従業員が共同で、利用者にとって心地良い空間を作るという理念を貫かれています。また、従業員教育においても、マニュアルを極力少なくし、理念に基づいてどのように振る舞えば、利用者にとって最良であるかを常に考えるように仕向けることで、高いモチベーションを維持しています。

事例② Google

Googleでは、毎週全世界の社員を対象としたミーティングを開催し、経営層のビジョンや方針を直接伝え、質問を受ける機会を確保しています (2019年からは縮小傾向)。
また、Googleの従業員は就業時間の20%を、現在の担当業務以外の、新規ビジネスの企画、実行に費やしてよい、という「20%ルール」は有名です。20%ルールの時間で企画した新規ビジネスがGoogleの新サービスとして採用されることも多く、従業員自身が巨大企業の意思決定にコミットしている、という意識を高めています。

事例③ LIXIL

LIXILでは、2019年11月から、毎月従業員エンゲージメント調査を行っています。それまでは2年に1回、満足度調査を行っていましたが、よりタイムリーに現場の状況を把握し改善するため、頻繁な調査を行い、また、現場に権限を委譲して、ボトムアップで向上施策の立案と実行を行うようにしました。現場の課題意識を吸い上げ、職場環境を改善していくことで、従業員の意欲や帰属意識を高め、半年後の調査では、エンゲージメントが10%程度向上しました。

 

従業員エンゲージメントは、企業の利益や生産性の向上から、企業と顧客の間の信頼関係(顧客エンゲージメント)に直結する、重要な経営指標です。人材の流動性が高まる現在において、優秀な従業員に長く活躍してもらうために、エンゲージメントを意識し、向上させていく取り組みが、経営層や人事には求められます。

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