DX認定制度のメリット・認定条件・申請方法を解説。DX銘柄2021選定企業もチェック
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  • 2021/06/29

DX認定制度のメリット・認定条件・申請方法を解説。DX銘柄2021選定企業もチェック

近年、企業や政府の間で重要な取組テーマとなっているDXですが、その促進を後押しする政策として2020年から「DX認定制度」が本格的に開始されました。今回は「DX認定制度」について、概要やメリット、認定を受ける条件、申請方法についてくわしく解説していきます。

DX認定制度とは何か?

DX認定制度とは、「DXに関する優良な取り組みをしている」事業者を、国(経済産業省)が認定する制度です。日本におけるDXは、諸外国に比べて後れを取っている状況にあります。

スイスのビジネススクール、国際経営開発研究所(IMD)が発表する「デジタル競争ランキング」でも、対象となった63か国の中で2019年には23位、2020年にはさらに後退して27位と、日本は低い位置にとどまる結果となりました。

政府も、日本企業のDXの遅れに強い危機感を募らせています。DX認定制度は、DXが進まない現状を打破し、我が国の企業のDX推進を目的として2020年の11月から開始されました。

* 政府・企業がデジタル技術をどれだけ活用できているかをランキングにしたもの

ハンコが押される瞬間を写した画像

DX認定制度は、企業にDXの推進を促す「情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律」に基づいて創設された認定制度です。

DX認定制度とあわせて、新たに国(経済産業省)が定めた「デジタルガバナンス・コード」の「基本的事項」に対応している企業だけが、DX認定を受けることができます。

DX認定の条件「デジタルガバナンス・コード」

デジタルガバナンス・コードは「企業のDXに関する自主的取組を促すため、デジタル技術による社会変革を踏まえた経営ビジョンの策定・公表といった経営者に求められる対応(経済産業省より)」をまとめたものです。

デジタルガバナンス・コードの基本的事項について、もう少し詳しくみていきましょう。

経済産業省は、デジタルガバナンス・コードにおいて次の4つの項目を設けています。

1.ビジョン・ビジネスモデル
2.戦略
 2.1.組織づくり・人材・企業文化に関する方策
 2.2.ITシステム・デジタル技術活用環境の整備に関する方策
3.成果と重要な成果指標
4.ガバナンスシステム

上記4つの項目それぞれについて示されているのが、「基本的事項(『柱となる考え方』および『認定基準』)」と「望ましい方向性」、「取組例」です。

DX認定を受けるには、4つの項目それぞれに設けられた基本的事項に対応し、定められている認定基準を満たす必要があります。

デジタルガバナンス・コードから、DX認定の評価対象が、ビジネスモデルやITシステム・デジタル技術の活用だけではなく、組織づくりや人材、企業文化にまでわたることが見て取れます。

 

企業がDX認定を受けるメリットとは?

DX認定を受けるには、先述の認定基準を満たし、認定申請を行わなければなりません。一見、手間とコストがかかるように思えますが、企業がDX認定を受けるメリットはどのようなところにあるのでしょうか。

DX認定を受けるメリットは大きく2つあげられます。

1つめのメリットは、各企業がDXを推進する際の論点整理に役立つという点です。
DX認定を受けるには、デジタルガバナンス・コードの基本的事項に対応し、認定基準を満たす必要があります。デジタルガバナンス・コードは、DX推進にあたって経営者に求められる対応・指針をまとめたものです。DX推進に必要なポイントが「基本的事項」、「認定基準」というかたちで明確にされているため、論点を整理することができ、進めていくべきDXの方向性がクリアになります。

DXの必要性を感じながらも、どのように進めればよいのか具体的な方策がわからず、悩む企業も少なくない状況です。このような事業者に対して、DX認定制度は論点整理と方向性を示してくれます。

方向性を示す画像

2つめのメリットは会社のブランド力向上、企業価値の向上です。

世界は急速にデジタル化が進行しています。今後、企業の競争力を維持していくためにはDXが必要不可欠です。現状、日本企業の多くがDXに後れを取っていますが、DXが進まない状況は、企業の競争力や信頼性にとってもマイナスとなり、会社のブランド力、企業価値にも影響を及ぼします。

DX認定を受けることで、DXに関する優良な取り組みをしている企業として、国からお墨付きをもらえることになります。これは、会社のブランド力向上、企業価値の向上に大きなメリットとなりえます。

また、経済産業省は東京証券取引所と共同で、DX認定を受けた事業者から「DX銘柄」、「DX注目企業」の選定も行っており、選定されればさらなるブランド力の向上、企業価値の向上を見込めます。

DX銘柄とDX注目企業

DX銘柄とは、「企業価値の向上につながるDXを推進するための仕組みを社内に構築し、優れたデジタル活用の実績が表れている企業を業種区分ごとに選定して紹介するもの(経済産業省より)」です。

対象となるのは、東京証券取引所に上場している企業で、DX認定を受けると同時にDX銘柄の選出対象となります。そして、選出対象の中からアンケート調査やROEのスコア、評価委員会における評価などによってDX銘柄の選定が行われます。現在は大手企業が中心で、2020年に35社、2021年には28社がDX銘柄に選定されました。

また、DX注目企業は、DX銘柄の選定には至らなかったもののDX推進に注目すべき取り組みを行っている企業です。DX注目企業は、2020年に21社、2021年には20社が選定されました。

どのような企業がDX銘柄に選定されているのでしょうか。

2021年に選定されたDX銘柄企業には、以下の企業などが選定されました。

  • 株式会社日立製作所
  • SREホールディングス株式会社
  • ヤマハ発動機株式会社
  • アサヒグループホールディングス株式会社
  • ソフトバンク株式会社
  • 中外製薬株式会社
  • 日本航空株式会社
  • 株式会社セブン&アイ・ホールディングス
  • 株式会社ベネッセホールディングス
    など28社

このうち、日立製作所とSREホールディングスの2社は、特にすぐれた取り組みを行った事業者としてDXグランプリ2021に選ばれました。

たとえば日立製作所の取り組みでは、先進デジタル技術によるサービス・ソリューション・テクノロジーの総称である「Lumada」を活用した社内外における新規ビジネスの創出、グローバルでのDX推進に向けた戦略や基盤、人材、体制などが高く評価されています。

また、DX銘柄企業28社のうち、ソフトバンク株式会社など半数が「Udemy for Business」の採択企業でした。

なお、ソフトバンク株式会社のUdemy for Business導入については「ウィズコロナ時代の人財育成DX-ソフトバンク社に学ぶ人財育成・活用戦略-」でくわしく紹介されていますのでご参照ください。

 

DX認定を受けるにはどうすればいい?

DX認定は、経済産業省の主管のもと、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が審査事務および問い合わせの窓口を担当しています。DX認定を希望する企業は、IPAに所定の書類等を提出することが必要です。

申請はWebから行うことができ、年間を通して受け付けされているので、いつでも申請することが可能です。

手順としては、

  1. 「認定申請書」および「申請チェックシート」をダウンロード(IPAのホームページよりダウンロードできます)
  2. 「認定申請書」および「申請チェックシート」の設問に回答
  3. 必要に応じて補足資料を用意する
  4. 申請Webサイト【DX推進ポータル】 にアクセスして申請する
  5. 結果を受け取る

となっており、手続きはWeb上で完結します。Web以外での申請を希望される場合は、事務局に相談しましょう。
なお、申請にあたっては「GビズID(gBizID)」の事前取得が必要となります。

※GビズIDとは、1つのアカウントで複数の行政サービスにアクセスできる認証システムです。

申請書を書いている様子

DX認定制度とは、「DXに関する優良な取り組みをしている」事業者を国(経済産業省)が認定する制度です。DX認定には、DX推進の論点整理や、会社のブランド力の向上、企業価値の向上などのメリットがあります。

DX認定においては、組織・人材・文化づくりなども評価項目となっており、企業風土や体制など、これまでのあり方からの抜本的な改革が求められています。

認定企業の多くは、社内のDXを推進できる人材の確保・育成に力を注いでいます。

DX銘柄企業の約半数に採用されているUdemyの法人向けサービスについては、以下よりお問い合わせください。