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行政DX・自治体DXとは?行政が抱える課題と取り組み事例を紹介!

近年、DX(デジタル・トランスフォーメーション)がトレンドとなっていますが、その影響は民間企業だけではなく、行政・自治体にも波及しています。マイナンバーカードの交付促進からワクチン予約システムの構築まで、各自治体では、デジタル化推進に関する施策が次々と打ち出されています。

そんな中、DX化をどのように推進していくべきか悩みを抱える行政機関の担当者の方も多くいるのではないでしょうか。そのような方に向けて本記事では、行政DXや自治体DXの概要から、先進的にDX化に取り組む国内・海外の具体的な事例を紹介します。

行政DX・自治体DXとは?

近年話題のDXですが、そもそもDXとは何なのかご存知でしょうか?

DXとは、「Digital Transformation(デジタル・トランスフォーメーション)」の略で、デジタル技術を用いた変革により、ビジネスや人々の生活を発展させることを指します。

現在、あらゆる産業でデジタル技術の活用が求められており、競争力の維持・強化のためにDX化は欠かせないものとなっています。さらに、DX化への対応が求められているのは民間企業だけではなく、行政機関・自治体も同様です。

総務省では、行政・自治体におけるDX推進の意義として、以下の3つを挙げています。

  1. デジタル技術やデータを活用して、住民の利便性を向上させること
  2. デジタル技術やAI等の活用により業務効率化を図り、人的資源を行政サービスの更なる向上に繋げていくこと
  3. データ様式の統一化・多様な情報を円滑に流通すること

引用:総務省「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画」

つまり行政DX・自治体DXとは、デジタル技術を活用することで、行政や自治体が担うサービスの改良や、住民の生活の向上を実現させる施策やシステム導入を実現することといえるでしょう。

自治体DX推進計画とは?

政府は自治体がDX化を進める施策として、2020年12月に「自治体DX推進計画」を公表しました。

自治体DX推進計画とは、自治体DXでデジタル社会を実現するために、自治体が行うべきことを示した計画のことです。この計画は、2020年11月より行政手続きのオンライン化の実現などに向け、各地方自治体が「地方自治体のDX推進に係る検討会」を行い、そこでの議論を踏まえて決定されました。

自治体がDX化を促進することは、行政機関が現在抱えているさまざまな課題の解決に役立ちます。具体的なDX化推進のための施策には、デジタル庁の発足や、共通的な基盤や機能を提供する複数のクラウドサービス(laaS、PaaS、SaaS)の利用環境である「ガバメントクラウド(Gov-Cloud)」の活用に向けた検討などが挙げられます。

自治体DX推進計画については、「総務省による「自治体DX推進計画」とは?意義・概要・手順を解説」で詳しく解説していますので、ご興味のある方は併せてご覧ください。

自治体のDX化推進

 

DXが必要な行政機関・自治体が抱える課題例

2018年に「DXレポート」、2020年に「自治体DX推進計画」が公表されるなど、行政機関・自治体へのDX推進は国の最重要課題と位置づけられていることを示しています。

しかしながら、行政機関・自治体では思うようにDX化が進んでいないことも問題として挙げられています。その要因のひとつが、労働力の減少です。現在、日本全体で少子高齢化が進んでいますが、都市部を除いた地方自治体では、その流れが顕著です。現在、日本では約1,700の自治体がありますが、2040年には約半数にあたる896の地方自治体が消滅の危機を迎えると予測されています。

参考:「地域消滅時代」を見据えた今後の国土交通戦略のあり方について|国土交通政策研究所

つまり、労働力人口が減少していることで、必然的にDX化を推進できる人材が不足しています。特に、DX人材はIT企業に多く、それらのIT企業は大都市圏に集中しています。そのため、地方にDXを担う人材が流れてこないことが大きな課題といえるでしょう。

また、行政機関・自治体の旧態依然の組織体制に問題があることも、DX化が進まない要因として指摘されています。

例えば、

  • 依然として紙文化が残っており、決済や手続きがオンライン化に対応していない
  • 縦割り行政なので、各省庁や自治体でシステムが異なる。あるいはシステムの連携が難しい

というようなことが問題として挙げられています。

そもそもDX化を推進するためのデジタルに精通したリーダーが不在であることも根本にあるといえるでしょう。

オンラインでの手続き

 

行政DX・自治体DXの主な取り組み内容とは?

現在、政府主導で行政DX・自治体DXが推進されています。2021年(令和3年)9月1日にはデジタル庁設置法案が施行され、デジタル社会の形成に向けてさまざまな施策が実施されています。

行政機関や自治体では、具体的にどのような取り組みが行われているのでしょうか。ここでは、主な取り組みを紹介します。

マイナンバーカードの普及促進

2022年度末までに、国民のほとんどがマイナンバーカードを保有していることを目指し、マイナンバーカードの申請促進を図っています。マイナンバーカードを活用することで、オンライン上で確定申告、公的証明書が取得できるようになるほか、将来的に健康保険証や運転免許証と一体化も予定しており、さらなる利便性向上が見込まれています。

参考:マイナンバーカード公式サイト

テレワーク促進

コロナウイルス感染症拡大により、テレワーク需要が急速に高まったことを受け、自治体では都市部の企業にテレワーク導入に向けた情報提供を行っています。働き方の多様化を踏まえたワーケーションの誘致や地方移住の促進など、場所にとらわれない働く環境の整備を行っています。

参考:日本テレワーク協会公式サイト

電子署名、AI、PRA活用による業務の効率化

国や自治体では、押印を義務付けている申請書の押印義務付けを廃止し、電子署名の活用促進を図っています。その他にもAI(人工知能)やRPA(ロボットによる自動化)を活用することで、今まで手作業で行っていた各種業務の効率化・省力化が進んでいます。

電子署名の推進

 

行政DX・自治体DXの取り組み事例

ここからは、行政DX・自治体DXがもたらした影響について、具体的な取り組み事例を解説します。日本国内の取り組み事例のほか、先進的な取り組みを行っている海外のDX事例も紹介しますので、参考にしてください。

日本国内の取り組み事例

  • 東京都三鷹市

東京都三鷹市では、2020年に「みらいをつくる三鷹デジタル社会ビジョン」という政策を打ち出して、DX化を促進するために取り組んでいます。例えば、保育所手続きにRPA、AI、OCR(手書き文字をテキストデータ化するツール)といったデジタルツールを導入したことで、従来の40%の業務効率化につながっています。

  • 北海道北見市

北海道北見市では、各種申請業務を効率化する、「書かない窓口」「ワンストップ窓口」を実現しました。書かない窓口の実施に向けて、UI・UXの改善を実施。職員が来庁者から必要な証明書を聞き取りながら、申請書をシステム上で作成するため、来庁者は書類に記入する必要はありません。

ワンストップ窓口に向けては、業務の集約を実施。他課の手続きを住民異動窓口に集約したことで、来庁者の移動や課を回るごとに発生する本人確認や、異動内容の説明の手間が省略されました。

参照:総務省「自治体DX推進手順書参考事​​例集」(P36)

オンライン申請の実用化
  • 三重県

三重県では、自治体DXを促進するために、人材育成に力を入れています。2020年度(令和2年度)には、庁内公募の若手職員20名を対象に、「デジタルを活用し社会課題の解決を進めることのできる人材(スマート人材)」の育成に取り組んでいます。

スマート人材育成では、AIやデータの利用・活用、プロジェクトマネジメントなどの座学研修を踏まえ、漁業や農業といったフィールドワークにも実際に参加し、研修で学んだノウハウを実践に活かすといった取り組みを行っています。

参照:総務省「自治体DX推進手順書参考事​​例集」(P20)

日本国内の取り組み

海外の取り組み事例

  • 中国

中国政府は、「社会信用システム」と呼ばれるシステムを導入しています。社会信用システムでは、個人の所得情報やキャリアなどの社会的地位に関する情報を収集し、その内容を踏まえて全国民をランキング化しています。個々人が「ソーシャルクレジット」と呼ばれる偏差値でスコア化されており、点数が高い人ほど、銀行融資などさまざまな面で優遇されるようになります。

正にデータドリブン社会*の最先端であると評価される一方、国民の情報がすべて政府の監視下に置かれるといった「監視社会の典型」という見方もあります。

※データドリブン社会:収集したビッグデータを分析・活用するインフラが整備された社会のこと

  • デンマーク

デンマークでは、住所や不動産に関する「マスターデータ(基本情報)」が作成されています。マスターデータの作成により、不動産取引の際に必要な物件の所有者や所在地などの基本情報を調べる労力が軽減されました。さらに、データの分析による未来予測や、不動産に関するアドバイスなどにも活用されるなど、新たな仕事を生み出しています。

  • 韓国

韓国の行政DXを成功させた事例として注目されるのが、行政プラットフォーム「政府24」です。「政府24」は、24時間365日どこでもオンライン上で、証明書発行や印鑑証明、住民手続きを含む各種手続きを行うことができるシステムです。

国民だれもが直感的に操作しやすいUI/UXが実装されているほか、国民ごとに最適化されたサービス、「マイライフインフォメーション」が提供されていることも特徴です。

マイライフインフォメーションでは、8分野67種類にもおよぶ項目の中から、自分の生活に関する細かい情報を得ることが可能です。国民に寄り添い、使いやすさを追求した行政DXの成功事例といえます。

参考:政府24

 

本記事では、行政DX・自治体DXについての概要や国内や海外の具体的なDX事例を解説しました。

民間企業に比べ、行政機関や自治体は変革に時間と労力がかかるケースが多いです。しかし、今回ご紹介した事例のように、すでに改革を成功させている行政機関や自治体も存在します。

今後は、こういった行政機関や自治体を参考にしながら、各地域がDXの推進とDX人材の育成を積極的に行っていくことが求められるでしょう。