フルスタックエンジニアとは、幅広い知識とスキルを持ち、開発業務のすべての工程を担うことができるようなエンジニアのことです。
フルスタックエンジニアの年収は、一般的なエンジニアに比べて高くなる傾向にあり、企業においても重用されます。
この記事では、フルスタックエンジニアの仕事内容や年収、求められるスキルなどについて詳しくまとめます。
公開日:2021年2月8日
フルスタックエンジニアとは?どんな仕事?年収は?
フルスタックエンジニアとは、エンジニアの業務において、すべての工程を担うスキルを持つエンジニアのことです。多くの業務を担当できることから「マルチエンジニア」とも呼ばれます。
フルスタックエンジニアとして認められるために、明確な定義や資格はありません。
システム開発の工程は、設計・開発・運用に分けられます。
一般的なシステム開発では、それらの工程を複数のエンジニアで分担して行います。
一方、フルスタックエンジニアは、小規模なシステム開発ならば、一人で開発できるスキルを持っています。なお、大規模なシステムを一人で開発するには、かなりの長い期間を費やさなければならないため、現実的ではありません。
システム開発の工程について、詳しく知りたい方は「システム開発の工程とは?ウォーターフォールとアジャイルの流れについて解説」を併せてご覧ください。
Webアプリケーションの開発において、フルスタックエンジニアは、フロントエンドからバックエンドまですべての工程の仕事に関わります。
フロントエンドとは、ボタンや入力フォームといったユーザーインターフェースなど、ユーザの目に映る部分を指します。バックエンドとは、サーバー周りやネットワークなど、ユーザの目に見えない部分のことです。
フルスタックエンジニアには、システム開発のスキルや知識だけでなく、サーバーなどのネットワークインフラやデータベース、クラウドに関する知識やスキルも必要です。
フロントエンドエンジニアとバックエンドエンジニアについては「フロントエンドとバックエンドの違いとは?Webエンジニアの将来性や年収についてご紹介!」をご覧ください。
さらに、デザインやプロジェクトマネジメントなどの業務までができる人を指して「フルスタックエンジニア」と呼ぶ場合もあります。
大雑把に言えば「すべてをこなせるエンジニア」がフルスタックエンジニアである、ということになります。今後、求められるスキルがさらに増える可能性もあり、常に新しい技術を学ぶ姿勢が大切です。
フルスタックエンジニアの年収は?
エンジニアの年収は、スキルの幅広さや高度さに応じて高くなる傾向があります。フルスタックエンジニアは幅広い分野で業務を行うことができるため、一般的なエンジニアに比べて多くの年収を受け取ることができるでしょう。
一般的なエンジニアの年収は、500万円程度だと言われています。
フルスタックエンジニアには明確な定義が無いため、正確な平均年収は不明ですが、およそ600万円~700万円程度だといわれています。また、スキルアップにより年収の増加が期待できます。
大手の企業でもフルスタックエンジニアは重用されますが、特に、多くの人材を抱えることが難しいベンチャー企業やスタートアップ企業において、フルスタックエンジニアが求められます。
小規模な企業では、必要なスキルを持ったエンジニアをそれぞれ雇用・外注するよりも、一人で多くのスキルを持ったエンジニアを雇うほうが、人件費削減につながるうえ、幅広い案件を受注できるからです。
フルスタックエンジニアの需要が高まる背景とは?
企業は、外注費や人件費の削減のために、フルスタックエンジニアの採用および育成を目指しています。
一言で「フルスタックエンジニアの育成」と書きましたが、これは簡単なことではありません。多くの工程をこなせるエンジニアの育成には、時間的にも金銭的にも、多くのコストがかかります。
しかし近年では、フレームワークの発展や使い勝手の良いプログラミング言語の登場など、それぞれのスキルに対する学習コストが低下しています。
また、AWSやGCPなどのクラウドコンピューティングサービスを利用すれば、自分でサーバーを立てて管理しなくてもWeb開発が可能です。さらに、Udemyなど、低価格で技術を学習しやすいサービスも提供されています。
このような学習コストの低下やツールの発展により、1人で担当できる作業の範囲が拡大した結果、以前に比べてフルスタックエンジニアを目指しやすい環境が整っています。
さらに、開発されるソフトウェアも、「リリースして終わり」ではなく、「リリース後もアップデートを繰り返す」という形態のものが多くなっています。
アプリケーションの開発・運用を自社で行う企業も増加してきており、それらに対応できるフルスタックエンジニアの需要が高くなってきています。
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フルスタックエンジニアは、Web開発を例に挙げると、フロントエンドからバックエンドまで、業務に関わるすべてをこなせるエンジニアです。
少なくとも、システム開発の現場で主流となっているスキルは身に付けておかなければなりません。
また、今後フルスタックエンジニアに求められるスキルが増加したり、逆に、身に付けていたスキルの必要性が下がったりする可能性もあります。常に、最新の技術や注目されている技術の情報を収集し、実際に触れる姿勢が求められます。
特に初心者~中級者からフルスタックエンジニアを目指す場合には、携わる業務によって必要なスキルも異なるため、まずは、いくつかの分野である程度の基礎知識を持っておき、必要に応じて学習していくのが現実的でしょう。
基礎となる技術や類似の知識があれば、新しい分野であっても短時間で学習できるようになります。
以下に、フルスタックエンジニアに求められる知識・スキルの一例をまとめています。
求められる知識・スキル | 具体例 |
プログラミングスキル | C言語、Java、JavaScript、PHP、HTML、CSS、Python、Ruby等 |
OS・ミドルウェアの管理スキル | Webサーバーやアプリケーションサーバーの管理、通信の管理 |
インフラに関する知識 | コンピュータそのものやサーバー、データベースに関する知識 |
クラウドコンピューティングサービスに関する知識 | AWS、GCPなど |
UI/UXプロフェクトマネジメントスキル | 予算、スケジュール、品質などの進捗状況を適切に管理するスキル |
フルスタックエンジニアになるために
フルスタックエンジニアとして生き残るには、幅広いスキルが必要なうえ、新しい技術にも対応しなければならないため、学び続けることが何より大切です。
まず、何か一つの専門分野を持っていると、その周辺への理解度も深くなるため、大きな強みになるでしょう。
さらに、複数の専門分野があれば、そこから知識を広げていき、マルチエンジニアとしてステップアップできます。
また、実務経験も重要です。
システムを開発から運用に至るまで携わったことがあると、知識の幅も自然と広がるうえ、全体を見渡す視点が身に付き、トラブルの解決にかかる時間も大幅に短縮されます。まだ仕事として実務経験を積む機会がない方は、個人でWebサーバーを立ててホームページを作るなど、小規模でもシステム開発を経験すると、知識の幅が広がるはずです。
フルスタックエンジニアを目指す際に資格は必要?
フルスタックエンジニアを名乗るために特別な資格は必要なく、相応の技術力さえあれば問題ありません。
しかし、転職やフリーランスとしての仕事の受注など、技術力を示す必要があるときには、開発した成果物や取得した資格があると便利です。
例えば、以下のような資格があると、スキルの証明になるでしょう。
資格 | 概要 |
PMP | Project Management Professional プロジェクトマネジメントに関する国際資格 |
ITストラテジスト | 情報処理に関する国家資格(経済産業省認定) IT戦略やコンサルティング能力、提案、設計能力を問う |
CCNP | Cisco Certified Network Professional シスコシステムズが主催するベンダー資格 ネットワーク知識等について出題される |
Oracle Master | 日本オラクル社が主催するベンダー資格 データベース認定試験として一般的複数のレベルの試験を合格してオラクルマスターと認定される |
AWS認定資格 | AWS(Amazon Web Service)に関する公式認定資格 AWSはAmazonのクラウドサービスで、多くの企業の事業基盤として利用されている |
Google Cloud認定試験 | GCP(Google Cloud Platform)に関する公式認定資格 GCPはGoogleのクラウドサービスで、Google検索やYouTubeなど、さまざまなサービスで利用されている |
LPIC | Linux Professional Institute CertificationLinux 技術者の認定資格 レベル1~レベル3までの3段階の認定がある |
AWSについて詳しく知りたい方は「AWS認定資格の種類とは?AWSの難易度・勉強法をチェック!」を併せてご覧ください。
PMP資格については「PMP資格とは難易度や取得方法、仕事上の価値についてわかりやすく解説」をご覧ください。
GCP資格については「GCP資格試験とは?種類・難易度・受験料・おすすめの勉強方法を解説」をご覧ください。
LPICやLinuCについては「Linuxの資格とは?「LPIC」と「LinuC」の概要から内容、勉強法までご紹介」を併せてご覧ください。
この記事では、フルスタックエンジニアの需要や仕事内容、年収などについてご紹介しました。エンジニアの立ち位置の変化や学習コストの低下から、フルスタックエンジニアの需要は今後さらに高まっていくと予測されます。
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