キャリアアップ助成金とは?「正社員化コース」をくわしく解説!おすすめの使い道も

キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者のキャリアアップを促進する取り組みを実施した、事業主に助成金が支払われる制度です。

適切なキャリアアップの取り組みを行うことによって助成金を得ることができますが、「よくわからない」という方も多いのではないでしょうか。

この記事では、キャリアアップ助成金の概要や手続きの流れについてくわしく紹介します。

キャリアアップ助成金とは?

キャリアアップ助成金は、有期雇用労働者や派遣労働者といった非正規雇用労働者に対して、正社員化や処遇の改善などのキャリアアップを促進する取り組みを実施した事業主に、助成金が支払われる制度です。

非正規雇用労働者の地位の低さなどを改善し、労働意欲・能力を向上させること、事業の生産性を高めること、優秀な人材を確保することが期待されています。

キャリアアップ助成金は、

  • 正社員化コース
  • 賃金規定等改定コース
  • 健康診断制度コース
  • 賃金規定等共通化コース
  • 諸手当制度共通化コース
  • 選択的適用拡大導入時処遇改善コース
  • 短時間労働者労働時間延長コース

の7つのコースにわけられています。

例えば、正社員化コースでは、非正規雇用労働者を正社員に転換した場合に助成金が支給され、健康診断コースでは、非正規雇用労働者に健康診断を実施した場合に助成金が支給されるなど、各コースによって助成金が支給される条件が異なります。

また、それぞれのコースごとにさらに規定が設けられており、助成金の支給には条件を満たす労働者に対して、キャリアアップ計画にもとづく適切なキャリアアップ支援を行うことが必要です。

助成金によって労働者が手を取る様子

令和3年に拡充された正社員化コース

厚生労働省は、新型コロナウイルスの影響で離職を余儀なくされた方の再就職支援のために、正社員化コースにおいて助成対象を拡充する改正を令和3年に行いました。

具体的には、『令和2年1月24日以降に新型コロナウイルス感染症の影響により離職し、就労経験のない職業に就くことを希望する者を、紹介予定派遣の後、派遣先の事業所が正社員として直接雇用した場合、対象となる労働者の方の直接雇用前に当該事業所に従事していた期間が、2か月以上~6か月未満でも支給対象』となります。

従来は、直接雇用前に6か月以上当該事業所に従事している必要がありました。

これが緩和され、当該事業所に従事していた期間が2か月以上でも助成金の支給対象となる制度の拡充が行われました。

助成の対象者には自己都合による離職も含まれています。自己都合による離職でも、それが新型コロナウイルスの影響によるものであれば、助成を受けることが可能です。

また、この離職には自営業者の廃業や役員等についている者の退任も含まれます。

厚生労働省では、例えば

  • 新型コロナウイルスに感染したことなどにより、同居の家族の看護または介護が必要になった
  • 職場で感染者が発生した
  • 同居の家族が高齢であり、重症化防止のため

などを新型コロナウイルスの影響による自己都合の離職の例として挙げています。

 

キャリアアップ助成金の正社員化コースとは?

キャリアアップ助成金の正社員化コースは、有期契約労働者を正規雇用労働者に転換または直接雇用したときに助成金が支給されるコースです。

助成金の金額は実際どれくらいになるのというと、事業主が中小企業の場合、有期契約労働者から正規雇用労働者に転換すると、一人当たり57万円(42万7500円)が支給され、有期から無期、無期から正規への転換では、一人当たり28万5000円(21万3750円)が支給されます。

*助成金額は中小企業と中小企業以外で異なっており、( )内は中小企業以外の金額です

また、規定の「生産性要件」を満たし生産性の向上が認められた場合には、金額を上乗せすることも定められています。

例えば、有期契約労働者から正規雇用労働者に転換した場合には、一人当たり57万円(42万7500円)が支給されますが、生産性要件を満たせば支給額は72万円(54万円)となります。

助成金の対象となる労働者は、

  • 支給対象事業主に雇用される期間が通算して6か月以上の有期契約労働者
  • 雇用される期間が6か月以上の無期雇用労働者
  • 6か月以上の期間継続して同一の業務に従事している派遣労働者
  • 支給対象事業主が実施した有期実習型訓練を受講し、修了した有期契約労働者等

のいずれかを満たす必要がありますが、先述の通り、新型コロナウイルスの影響により一部条件が変更されています。

正社員化コースの手続きの流れ

正社員化コースの手続きの具体的な流れは、まず必要となるのが「キャリアアップ計画書」です。

キャリアアップ計画書の様式は厚生労働省のホームページ「キャリアアップ助成金」から入手できます。

キャリアアップ計画書には「キャリアアップ計画期間」、「対象者」、「目標」、「目標を達成するために講じる措置」、「キャリアアップ計画全体の流れ」などを記入する必要があります。

事業主はコースを実施する前日までにキャリアアップ計画書を作成して、これを労働局・ハローワークに提出しなければなりません。

ここで作成した計画書の内容が適切に実施されなければ、助成金が支給されない場合もあります。

計画書の作成は、労働組合等の意見も聴きながら、くれぐれも慎重に行ってください。

次に、正社員への転換に関する規定がない場合などは就業規則の整備・改定も必要です。就業規則にもとづいて労働者を正社員に転換します。

就業規則にもとづく適切なかたちでの正社員への転換が行われなければ、その後の支給審査において助成金は不支給となってしまうので注意が必要です。

また、正社員に転換してからは6か月間雇用を継続させる必要があります。

そして、6か月分の給与を支払ってから2か月以内に、管轄する労働局・ハローワークに必要書類を提出しなければなりません。

必要書類には助成金の「支給申請書」のほか、「賃金台帳」や「出勤簿またはタイムカード」、「転換前後の雇用契約書」などさまざまなものがありますので、事前に労働局やハローワークで確認しておきましょう。

提出書類をもとに支給審査が行われ、これを経て支給が決定されます。

支給審査では、計画書にもとづいた適切なキャリアアップが実施されているかはもちろん、違法労働がないかなど法令遵守についてもチェックを受けます。また、事業所での実地調査を求められる場合もありますので、その際には協力が必要です。

支給審査には数か月程度かかり、無事に審査を終えると労働局から「支給決定通知書」が届けられ、助成金が支給されます。

助成金を受け取る様子

 

正社員化コースのキャリアアップ助成金をどう使う?

正社員化コースのキャリアアップ助成金をどのように使うか、助成金の使い道に規定はありません。

基本的に使い道は自由ですが、昇給や手当支給など、労働者の待遇をよくすることで労働意欲を高め、生産性の向上につなげることができます。

また、助成金で社員教育や研修を充実させるなど、スキルアップの機会を増やして人材育成に力を入れることで事業の拡大を図ることも可能です。

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