研修の効果測定は必要?評価すべきポイントや具体的な実施方法を解説!

研修の効果測定は必要?評価すべきポイントや具体的な実施方法を解説!

研修を効果的に計画・実施するためには研修の効果測定が不可欠です。この記事では、研修の効果測定で一般的に用いられる「カークパトリックの4段階評価法」にもとづいて、研修の効果測定で着目すべき評価ポイントや、それぞれのポイントを適切に評価するための測定方法について解説しています。また、オンライン研修における効果測定の方法やオンラインのメリットについてもあわせて解説しています。

研修の効果測定はなぜ必要?

そもそも、なぜ研修の効果測定を行う必要があるのでしょうか。そこにはいくつかの理由があります。

まず、研修の効果を測定することによって、研修の目的がどの程度達成されているのかを把握できることが挙げられるでしょう。そこから、研修を継続するべきかどうか、修正が必要な部分はどこか、といったことを検証し、研修内容のブラッシュアップにつなげることができます。

研修効果を測定することは、社員の知識やスキルを把握する上でも大切です。研修によって得られた効果は、言い換えれば社員が新たに身に付けた知識でありスキルです。研修の効果を測定できていないと、研修によって社員がどの程度の知識やスキルを身に付けているか判断することができません。また、社員の研修に対する満足度や理解度のフィードバックを得ることで、モチベーションの向上につなげていくこともできます。

研修効果測定の課題

研修による効果の測定には課題もあります。

例えば、研修の効果が現れるまでの期間は、短期的なものから長期的なものまで様々です。研修の効果を測定することが必要であるとはわかっていても、測定すべき期間がわかりにくく実施しづらい、というのは大きな課題のひとつです。

また、研修後に業務が向上しても、業務の向上に研修がどの程度貢献しているのか、そもそも研修の効果によるものなのか、具体的な成果を証明することが難しいということも課題です。

こういった課題は、多くの人事担当者や教育担当者を悩ませており、研修効果の評価体制が整わない原因となっています。

研修の効果測定で評価すべき4つのポイント

研修の効果的な計画・実施のためには、研修の効果測定とその評価が必要不可欠です。では、研修の効果はどのように評価すればよいのでしょうか。研修の効果を評価するには、アメリカの経営学者、ドナルド・カークパトリックが提唱した「カークパトリックの4段階評価法」を用いるのが一般的です。カークパトリックの4段階評価法では、学習者の「反応」、「学習」、「行動」、「成果」という4段階(レベル)の指標で研修の効果を測定し、評価します。

カークパトリックの4段階評価法

レベル1:反応

レベル1では、学習者が研修に対してどれだけ満足しているかなどを調査します。満足度などの測定は、基本的に研修を受けた直後の受講者に対して行われます。レベル1の指標は、すでに多くの企業で実施されている評価です。

レベル2:学習

レベル2では、学習者が研修に関してどれだけ理解をしているかを調査します。この評価は多くの場合、研修を行った当日から数日後の間に行われます。研修を受けた社員に対してテストなどを実施し、研修で得られる知識の理解度、到達度を確認します。

レベル3:行動

レベル3では、学習者が研修で学んだ内容を普段の業務などで実践できているかを調査します。評価は研修の実施から数か月後、具体的には3か月後、6か月後といったように期間をあけて定期的に行い、研修実施前後での行動変化を測ります。

レベル4:成果

レベル4では、学習者が研修で学んだことを実践した結果、企業の成果につながっているかを調査します。研修にはさまざまなものがあるため、研修の目的にあわせてあらかじめ売り上げアップやサービスの向上、コストダウンといった成果を設定しておき、研修実施前後の企業の業績などから評価を行います。この評価は、研修の実施から6か月~12か月の期間後に定期的に実施します。

研修効果測定の具体的な手法

研修の効果を評価するカークパトリックの4段階評価法について、レベル1からレベル4までのそれぞれの指標を紹介してきました。これらの評価はどのような測定にもとづいて行われるのでしょうか。

続いて、研修の効果を測定する具体的な手法についてご紹介します。

アンケート

効果測定で最もよく使われる手法がアンケートです。アンケートは、とくにレベル1の学習者の「反応」を調査、測定するのに適した方法です。アンケート項目の例としては、たとえば講師や研修の方法、難易度などについての満足度を問うものがあげられます。

社員へのアンケートは、行動変化を評価するレベル3においても利用されることがあります。

理解度テスト

理解度テストはレベル2「学習」の効果を測定するのに適した手法です。研修の受講者が学習した内容を知識として身に付けられているか、確認するための設問を用意し、テストの結果によって評価を行います。社員のテスト結果を“見える化”することで、緊張感を高めることができます。

職場での行動観察

職場での行動観察は、レベル3「行動」の効果を測定するのに適した手法です。行動観察の方法としてはヒアリングやアンケート調査があげられます。上司からだけでなく、同僚、部下など周囲の社員にも対象を広げ、多方面から評価することが理想です。改善案の提案件数などで、数値的に測定することもできます。

ROI分析

ROI(Return On Investment:費用対効果)分析はレベル4「成果」の効果を測定するのに適した手法です。ROI分析は、研修のコストに対する企業の業績向上を測定するものです。分析を行うためには研修前の研修受講者、非受講者のデータが必要となります。さらに、研修の設計段階で、レベル4について具体的にどのような成果を達成したいのかを設定しておくことも大切で、実施には綿密な準備が必要です。

業績向上などの成果がみられても、そこに研修の効果がどの程度貢献しているのか、そもそも研修の効果によるものなのかを判断することは簡単ではありません。また、教材費や交通費、宿泊費といった費用のうち、どこまでを研修のコストとして含めるかなど検討すべきポイントも多数あります。そのため、ROI分析は複雑で難しさがあります。

レベル1、レベル2に比べると、レベル3、レベル4は測定の難易度が高くなるため、研修の効果測定を実施している企業でも、行動観察やROI分析までは行っていない場合も多くあります。

オンライン研修でも効果測定の方法は同じ!オンラインならではの方法も?

昨今は、オンラインの研修も普及が進んでいます。オンライン研修の場合はどのように研修の効果測定を行えばよいのでしょうか。

実は、オンライン研修の場合でも基本的には効果測定の手法は同じです。ただし、カークパトリックの4段階評価法におけるレベル1、レベル2については、研修の実施から効果の測定までオンラインのみで完結することもできます。

LMS(学習管理システム)との連携

また、オンライン研修ならではのメリットとして、LMS(Learning Management System:学習管理システム)との連携が容易であることが挙げられます。LMSは、オンライン研修をはじめe-ラーニングを実施する際の土台となるシステムです。LMSでは、社員の受講状況を確認できるだけでなく、受講後のアンケート実施や理解度テストの実施なども容易です。レポート提出機能などのサービスが搭載されたLMSもあり、LMSのもとで一括管理・一元管理することができます。

LMS(学習管理システム)については「LMS(学習管理システム)とは?何ができる?導入事例とともに解説」の記事にまとめてありますので、ぜひご覧ください。

研修を効果的に計画・実施するためには効果測定が不可欠です。その評価には、「カークパトリックの4段階評価法」を用いるのが一般的で、測定方法にはアンケートやテスト、行動観察、ROI分析があります。近年はオンライン研修の普及も進んできましたが、測定方法はオフラインの研修の場合と同じです。LMSとの連携が容易な点など、オンラインならではのメリットもあります。

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