ロジカルシンキングとは?定義や手法、トレーニング方法を紹介

ロジカルシンキングとは?定義や手法、トレーニング方法を紹介

ビジネスシーンで重要視されるロジカルシンキング。ロジカルシンキングは、問題解決やコミュニケーション能力向上などに役立ちます。この記事は、ロジカルシンキングの概要や、具体的な内容、おすすめの本・トレーニング方法をご紹介します。

ロジカルシンキングとは?意味をわかりやすく解説

ロジカルシンキングは、日本語で「論理的思考」と呼ばれる考え方です。「情報を論理的に整理して考えられる能力」といえます。

論理を扱う学問に「論理学」がありますが、通常、論理学とロジカルシンキングは異なるものと考えられています。論理学は「話の筋道は通っているか?」「前提・結論に矛盾がないか?」など、発言や文章について論理法則が成立するかを考える学問分野です。

一方、ビジネスで求められるロジカルシンキングは「論理的に筋道の通った文意である」だけでなく、その主張や思考の末の結論が、なるべく現実に即したものであることを目指しています。

ロジカルに考える方法を身に付けることで、複雑に絡み合う物事の関係性を整理したり、問題解決の道筋を立てたりするのに役立ちます。

日本において、ロジカルシンキングの考え方は、経営コンサルタントである照屋華子氏、岡田恵子氏が執筆した『ロジカル・シンキング -理論的な思考と構成のスキル-』によって広まりました。

より具体的なロジカルシンキングの実践方法は、記事の後半でご紹介します。

ビジネスパーソンがロジカルシンキングを身に付けるメリットとは?

ビジネスにおいて、ロジカルシンキングは様々な場面で役立ちます。

  • 新規事業案について社内会議で説明し、上司に納得してもらう
  • さまざまな立場の人がいる商談の場で、それぞれの条件をまとめて妥協点を探る
  • 新人にやってほしいタスクの指示を抜け漏れなく伝える
  • 複雑な契約書や取引条件を確認する

上記のようなシチュエーションでは、ロジカルシンキングが役立ちます。問題解決や円滑なコミュニケ―ション、仕事の効率化など、論理的思考を身に付けることでさまざまなメリットがあります。

論理的発想

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ロジカルシンキングとクリティカルシンキング、ラテラルシンキングの違いとは?

ロジカルシンキングのほかにも、ビジネスで注目されている「○○シンキング」という考え方がいくつかあります。たとえばクリティカルシンキングやラテラルシンキングも、ビジネスではよく聞く思考法です。

以下で、ロジカルシンキングとそのほかの考え方との違いを解説します。

クリティカルシンキングとの違い

クリティカルシンキング(批判的思考)とは、客観的に考えることを指します。データなどを見て「なぜこの結果になったのか?」と仮説検証を行ったり、ある意見に対し「本当に正しいのか?」と懐疑的に考えたりすることが具体例とされています。批判的・客観的な視点を持つことで、より事実に近づくことを目的とします。

一方、ロジカルシンキングは客観的なデータを基に、論理的に問題解決を進めていく考え方です。対象を批判するというより、批判する余地のない主張を組み立てることに焦点を当てているといえます。

ラテラルシンキングとの違い

ラテラルシンキング(水平思考)は、既成概念などの前提を取り払い、発想を広げる考え方です。ユニークな発想によるイノベーションや、既存の技術を組み合わせて新たな発明をするのに用いられます。

一方、ロジカルシンキングは意見や情報をまとめる方向に働きます。筋道を立て、考えを掘り下げることにより、論理的に正しい結論を導き出します。

ビジネスの世界で注目を集める「○○思考」には、ほかにもアート思考やデザイン思考などがあります。それぞれの詳しい内容は、以下の記事をご覧ください。

 

ロジカルシンキングの手法の種類を解説

ロジカルシンキングを身に付ける上で知っておきたい基本的な考え方をご紹介します。

ロジカルシンキングで重要な「演繹法」「帰納法」「弁証法」

ロジカルシンキングは「演繹法」「帰納法」「弁証法」という3つの考え方が柱になっています。

ロジカルシンキングの3つの柱
  • 演繹法

明らかとなっている事実や大きな枠組みの原則をもとに、個別の物事について語る演繹法は、もっともわかりやすいロジカルシンキングの考え方です。有名なものに、以下のような三段論法があります。

  • 大前提:全ての人間はいつか死ぬ。
  • 小前提:私は人間だ。
  • 結論:ゆえに私もいつかは死んでしまう。

ポイントは、誰もが納得する大前提をはじめに伝え、そこから派生して個別の物事に言及することです。

  • 帰納法

統計などで用いられる帰納法も、よく用いられるロジカルシンキングの手法です。帰納法は、個別の事柄から、全体を通しての結論を導き出します。

たとえば、あるお菓子を30代の大人100人と、小学生100人に食べてもらうとします。その後でアンケートを行い、回答を集計します。ここで、小学生のうち80人、30代では40人が「おいしいかった」と答えた場合に、「このお菓子は子どもに人気である」と結論付けます。

帰納法は、ビジネスにおいて、とくにマーケティングリサーチでよく用いられます。

  • 弁証法

弁証法は、対立する事柄をすり合わせることによって、対立する両者どちらよりもよいものを導き出すという手法です。

例えば、見た目のかわいいチョコレート菓子と、シンプルな製法のドライフルーツという2つの商品案があるとしましょう。チョコレートは人気が出そうですが、同じような商品が多い中では目立ちません。一方のドライフルーツは、健康志向の高い一部のファンには人気が根強いものの、見た目は地味であり、爆発的なヒット商品になることは期待できません。

そこで、両者の対立する性質をうまく合わせながら改良していき、ドライフルーツを練りこんだ「食物繊維の入ったかわいいチョコレート」を開発することで、オリジナリティのある商品となります。

 

ロジカルシンキングに役立つフレームワーク

ビジネスフレームワークのなかには、ロジカルシンキングに役立つものが数多く存在します。代表例である「So What? / Why so?」 「MECE」 や、そのほかにも役立つフレームワークをご紹介します。

So What? / Why so?

「So What?(つまり何か?)」「Why So?(それはなぜ?)」を繰り返す方法です。

So What?は、手持ちの情報を材料に結論を導き出す帰納法です。一方、Why So?は結論に対して根拠が十分にあるかを確認する演繹法です。

この2つを往復することで、問題の全貌が把握できるようになります。

So What? / Why so?

MECE

情報整理で漏れ・抜け落ちを防ぐための考え方です。考えられる限りの選択肢の中から最適な方法を選んだり、考えられるすべての要素から主張の根拠にふさわしいものを選んだりと、MECEはロジカルシンキングにとって必要不可欠な考え方だといえます。

ロジックツリー

ロジックツリーも、ロジカルシンキングと親和性の高いフレームワークです。先述した演繹法、帰納法のようにロジックを組み立てる際に使えるほか、解決すべき課題を小さな課題に整理して解決する、スピーチの主張・根拠・具体例を並べるなど、さまざまな場面で活用できます。

ロジックツリーの例

ピラミッドストラクチャー

プラミッドストラクチャーは、帰納法の考えを持ったフレームワークです。根拠を集め、積み上げて説得力のある結論を導き出します。なお、「So What?/Why So?」と「MECE」を組み合わせた考え方でもあります。

ピラミッドストラクチャ

上記でご紹介したフレームワークの詳しい内容は、「ビジネスフレームワークとは?役立つ22選!使い方を図と具体例で理解」でもご紹介していますので、併せてご覧ください。

そのほか、問題解決の際に用いられる「ゼロベース思考」や、おおよその数字を当てはめて概算を求める「フェルミ推定」など、ロジカルシンキングに関連する思考方やフレームワークは数多く存在します。

 

ロジカルシンキングの勉強法は?本?オンライン学習?

日本では、すでに数多くのロジカルシンキングについて書かれた本が出版されています。基礎からしっかり学びたいという方は、書籍からスタートするのもよいでしょう。

また、「隙間時間を使って効率よく学びたい」「難しい話を動画で視覚的に解説してほしい」という方におすすめなのが、オンラインの動画講座です。「Udemy」では、通勤中や休憩中にeラーニングコンテンツを視聴することで、わかりやすくロジカルシンキングを学べます。

勉強方法

以下では、これからロジカルシンキングを学びたい方におすすめの本をご紹介します。

『ロジカル・シンキング』

記事前半でもご紹介した、照屋華子氏、岡田恵子氏によるビジネス書です。

現代人のコミュニケーション能力不足を解消するためには、論理的思考・表現力が必要だとし、その解決策として、「ロジカルシンキング」および「ロジカル・コミュニケ―ション」を提唱しました。「MECE」や「So What?/Why So?」の考え方についても詳しく述べています。

『マンガでわかる! マッキンゼー式ロジカルシンキング』

ロジカルシンキングの基礎を、マンガと解説ページで教えてくれる初心者向けの書籍です。こちらの本で概要をつかみ、ロジカルシンキングの入門とするのもおすすめです。活用事例が多く掲載されているので、実際の仕事や生活に生かしやすいといえます。

『ワンランク上を目指すためのロジカルシンキング トレーニング77』

ロジカルシンキングのさまざまなテクニックを、事例を基に解説している書籍です。ロジカルシンキングの研修を受け持ってきた講師が、研修で評判の良かった内容をまとめています。

オンラインの動画講座や簡単な入門書などでロジカルシンキングの概要をつかんだ方におすすめです。

 

ロジカルシンキングは、今やビジネススキルのひとつと考えられています。ロジカルシンキングというと難しく聞こえるかもしれませんが、基本的な考え方を身に付ければ、どのような職場でも対応できるスキルと言えるでしょう。書籍や動画講座をうまく使いながら、ぜひロジカルシンキングを取り入れてみてください。