クラウドの導入を検討しているものの、
・AWSとAzureの違いが分からない…。
・どちらが自分に合っているか知りたい…。
という方も多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、
・AWSとAzureの特徴
・AWSとAzureの選び方
についてご紹介します。
クラウド初心者の方でも、この記事を読めば、AWSとAzureの違いについて理解できます。
また、Udemyの講座を併用すれば、Azureのサービスや運用方法について効率的に学べるでしょう。
INDEX
AWSとAzureとは?それぞれの基本情報を紹介
AWS(Amazon Web Services)とは、Amazon社が提供するクラウドサービスです。AWSの世界シェアは30%を超え圧倒的で、Amazon社はクラウド業界を牽引するリーダー企業となっています。

出典:Synergy Research Group「Cloud Market Growth Stays Strong in Q2 While Amazon, Google and Oracle Nudge Higher」より
一方、Azure(アジュール)はMicrosoft社によって提供されるクラウドサービスです。AWSに次いで2番目に利用されているクラウドサービスで、近年急速に成長しています。
AWSやAzureについて詳しくは「AWS(Amazon Web Services)とは?利用するメリットや資格を徹底解説」、「Microsoft Azure(アジュール)とは?特徴や機能をわかりやすく解説」をご覧ください。
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AWSのメリットは、サービスの豊富さと世界中の規格への対応です。ただし、保守・運用面でのデメリットに注意が必要です。
AWSとAzureのそれぞれのメリット・デメリットは以下です。
サービス | AWS | Azure |
---|---|---|
メリット | ・サービスの種類が豊富・世界中の規格に対応 | ・他のMicrosoft製品と連携しやすい・ハイブリッドクラウドソリューションに強み |
デメリット | ・保守・運用面で注意が必要 | ・専門知識が必要 |
まずは、AWSの特徴とメリット・デメリットについて解説します。
サービスの種類が豊富
AWSは、利用できるサービスの幅が広いことが特徴です。2025年2月時点で、355種類ものサービスを利用できます。AWSには、機械学習やAI、IoTなど高度な技術に対応するサービスも含まれています。
世界中の規格に対応
世界中のセキュリティ規格やコンプライアンスに対応していることも、AWSのメリットです。セキュリティが特に重視される金融機関のシステム開発においても、AWSが利用されています。金融業界だけでなく、様々な分野の基準に合うことがAWSの特徴です。

保守・運用面で注意が必要
AWSのデメリットは、保守運用面でのカスタマイズ性が低いことです。オンプレミス型のサーバーのようなハードウェアの調整ができず、リソースの増減もAWSで提供されるサービスの範囲内に限られます。
また、不定期に行われるAWSのメンテナンス中にはシステムが止まってしまうため、対応をあらかじめ考えておく必要があります。
Azureの特徴とメリット・デメリット
Azureのメリットは、Microsoft製品との連携のしやすさと、オンプレミスとクラウドの統合能力です。一方、初心者には使いにくい可能性があることがAzureのデメリットです。
ここでは、Azureの特徴について解説します。
他のMicrosoft製品と連携しやすい
Azureは他のMicrosoft製品と連携して活用することが可能です。WindowsやOffice、SQL Serverなど様々なMicrosoft製品と連携できます。また、Windowsを利用している場合には、データ移行が簡単で導入しやすいことがAzureのメリットです。

ハイブリッドクラウドソリューションに強み
ハイブリッドクラウドソリューションとは、クラウドとオンプレミスを組み合わせて活用することを指します。例えば、システム部分はオンプレミスのサーバーで稼働させ、データのバックアップにはクラウドを使うといった運用が可能です。
また、Azureではオンプレミスとクラウドの一括管理もできます。オンプレミスとクラウドを統合し、運用コストを最適な形に変更できることがAzureの特徴です。
専門知識が必要なため初心者には使いにくい場面も
Azureのデメリットとして、使い方が不明確な場合があり、使用するにあたってクラウドに関する知識や専門性が求められることがあげられます。初心者の場合は使いにくさを感じる可能性があるため、注意が必要です。
利用者の多いAWSと比較して、Azureはオンラインコミュニティが少なく、インターネットで検索しても問題を解決できない場合もあります。
AWSとAzureの比較
AWSとAzureの性能やストレージ、価格、セキュリティ面に関する比較は以下の通りです。
比較対象 | AWS | Azure |
---|---|---|
性能 | 処理速度や通信速度が高い | AWSと比べると性能が低い |
ストレージ | Azureと比べると利便性が低い | 複数のストレージを一元管理しやすい |
サードパーティとの連携 | 幅広いサードパーティ製品との連携に優れいるが設定は複雑 | Microsoft製品とのシームレスな統合が可能だが、選択肢はAWSほど豊富ではない |
生成AIサービスの展開 | 大規模な生成AI運用に向いている | Microsoft製品の活用や業務効率化の利用に向いている |
料金 | 従量課金制、割引価格あり | 従量課金制、割引価格なし |
セキュリティ面 | ・世界中のセキュリティ規格に対応 ・サーバーを世界各国に分散 |
・多数の専門家による監視 ・サイバー犯罪対策の実施 |
性能はAWSのほうが高パフォーマンス
性能面については、AWSのほうがAzureよりも優れています。特に、スーパーコンピュータの処理速度や、ネットワークスループット(ネットワーク機器が一定時間で転送できるデータ量)、ネットワークレイテンシといった通信速度については、AWSのほうがハイパフォーマンスです。
一方で、ストレージに関してはAzureが優れています。Azureでは複数のストレージサービスを一元管理できるほか、Windowsと連携が可能なためデータ管理がスムーズです。
・処理速度
AWSは、EC2インスタンスで最新のプロセッサを採用しており、Intel XeonやAMD EPYC、さらには自社開発のGravitonプロセッサを利用可能です。これにより、高いパフォーマンスを提供します。
Azureも似たようなプロセッサを使用していますが、AWSのGravitonプロセッサは特定のワークロードでコスト効率が良いと評価されています。
・ネットワーク性能
AWSのEC2インスタンスは最大100Gbpsのネットワークスループットを提供しており、レイテンシの削減に強みを持っています。
Azureは、最大30Gbpsのネットワークスループットが標準の範囲で、高速ネットワーク接続を提供するオプションはあるものの、AWSほどの上限はありません。
・スーパーコンピューティング
AWSは、HPC(High-Performance Computing)向けに特化したインスタンス(P3、P4シリーズなど)を提供しています。AzureもHPC向けのインスタンス(HBv3シリーズなど)を提供しますが、一般的にAWSのHPCインスタンスの方が広範囲に対応可能です。
ストレージはAzureが優れている
AWSの主なストレージサービスは以下の通りです。
ストレージ | 内容 |
---|---|
Amazon S3 (オブジェクトストレージ) | 大量のデータを低コストで保存するスケーラブルなストレージ |
EBS (ブロックストレージ) | EC2インスタンス専用の高速で耐久性のあるストレージ |
EFS (ファイルストレージ) | 複数インスタンス間で共有可能なスケーラブルなファイルストレージ |
S3では、標準ストレージクラスから低頻度アクセス向けのストレージまで幅広い選択肢があり、料金も用途に応じて変動します。また、ストレージのスケーラビリティに優れています。
Azureの主なストレージサービスは以下の通りです。
ストレージ | 内容 |
---|---|
Azure Blob Storage (オブジェクトストレージ) | 非構造化データを効率的に保存・管理するスケーラブルなストレージ |
Azure Disk Storage (ブロックストレージ) | 仮想マシン向けに高パフォーマンスと耐久性を提供するストレージ |
Azure File Storage (ファイルストレージ) | SMBプロトコルを使ったクラウドベースの共有可能なファイルストレージ |
Azureは、ストレージを一元管理するためのサービス(Azure Storage Account)を提供しており、Windows環境との連携が容易です。特に企業環境でのデータ管理や共有に強みがあります。
サードパーティ連携は豊富ではAWS、Microsoft製品ならAzureが簡単
AWSは、多種多様なAPI(Application Programming Interface)やSDK(Software Development Kit)を提供しており、サードパーティ製品との連携に非常に柔軟です。さらに、AWSはオープンソースコミュニティとの連携が強く、高い互換性を持っています。これにより、既存のエコシステムを活用しながらクラウド環境を拡張することが可能です。
ただし、柔軟性が高い反面、専門的な知識が求められるので、設定が複雑になるケースがあります。また、従量課金制のサードパーティ製品が多く、予算超過のリスクがあります。
Azureは、AWSほどサードパーティ製品の種類が豊富ではないものの、Microsoft製品との連携に特化しているだけでなく、サードパーティ製品との統合にも力を入れています。特に、Azure Active Directory(AAD)を介した認証統合や、Power Platformを活用したサードパーティアプリケーションのカスタマイズが容易です。
さらに、Azure Marketplaceでは、セキュリティ、データサイエンス、開発ツールなどの幅広いサードパーティ製品が利用可能であり、企業のニーズに応じたソリューションを簡単に導入できます。
生成AIサービスへの展開はAzureが業務効率化に向いている
AWSは、生成AIの柔軟性とスケーラビリティに優れており、大規模なAI運用に適しています。Amazon SageMakerでモデル構築・トレーニングを支援し、AWS BedrockではGPTやStable Diffusionなどの事前学習済みモデルを簡単に活用可能です。専用チップ(Inferentia、Trainium)による高速推論処理も強みです。ただし、Microsoft製品との連携が弱く、既存のMicrosoftエコシステムを活用した業務効率化には向きません。専門知識が必要な場面も多く、初心者にはハードルが高い場合があります。
Azureは、OpenAIとの連携を活かし、生成AIモデル(GPTやDALL·E)の導入を簡易化します。Azure OpenAI Serviceで高度な生成AIを活用可能で、Copilotを通じてOffice 365やDynamics 365に統合し業務効率化を実現します。一方、大規模な生成AI運用ではAWSほどのスケーラビリティに劣る場合があり、非Microsoft環境では導入に手間がかかることもあります。Microsoft製品を利用する企業に特に適しています。
料金はAWSには価格割引、Azureにはハイブリッド特典がある
料金面については、AWS、Azureともに初期費用は発生せず、使用量に応じて料金が決まる従量課金制となっています。ただし、AWSでは契約期間や使用量に応じた割引が適用される場合があります。
AWSの割引プランは以下の通りです。
プラン | 内容 |
---|---|
Savings Plans | 特定のインスタンスやリソースを1~3年契約することで最大72%の割引が可能 |
Reserved Instances | リザーブドインスタンスを購入することで最大75%の割引 |
Spot Instances | 未使用のリソースを利用することで最大90%の割引 |
上記のプラン以外に12か月間の無料利用枠(例:EC2インスタンス750時間/月、S3ストレージ5GBなど)があります。
AWSの料金体系については「AWSの料金体系とは?見積もりに使えるツールや節減方法を解説」をご確認ください。
Azureの割引プランは以下の通りです。
プラン | 内容 |
---|---|
予約インスタンス (Azure Reserved VM Instances) | 1年または3年契約の予約インスタンスを利用することで最大72%の割引を受けられます |
スポットインスタンス (Azure Spot VMs) | 未使用のコンピュートリソースを低価格で利用可能。ただし、需要に応じて提供されるため、継続的な利用には向きません。 |
ハイブリッド特典 (Azure Hybrid Benefit) | 既存のWindows ServerライセンスやSQL Serverライセンスを活用することで、クラウドコストを削減可能 |
AWSは割引プランの種類が豊富で、スポットインスタンスの価格が特に安価なのに対し、Azureは、Windows環境を利用している企業にとってハイブリッド特典が非常に有利です。
セキュリティ面はともに強固
セキュリティ面は、AWS、Azureともに力を入れて対策に取り組んでいるポイントです。
AWSは、世界中のセキュリティ規格に対応しています。また、サーバーを世界各国に分散していることも、AWSのセキュリティ対策です。Azureでは、多数の専門家による監視やサイバー犯罪対策が実施されています。
世界のクラウドシェアや性能についてはAWSが勝っているものの、コスト面などから近年ではAWSからAzureへクラウドを移行するニーズも増えてきています。
AWSのセキュリティ特徴は以下の通りです。
- セキュリティ規格
ISO 27001やSOC、PCI DSSなどの世界的なセキュリティ規格に対応。 - サービス分散
世界中にデータセンターを分散配置し、ローカルリージョンでのデータ保護が可能。 - IAM(Identity and Access Management)
細かいアクセス権限を設定可能。 - セキュリティツール
AWS Shield(DDoS対策)、AWS Inspector(脆弱性スキャン)など。
Azureのセキュリティ特徴は以下の通りです。
- 専門家の監視
Azure Security Centerを利用してリアルタイム監視と脅威検出を実施。 - セキュリティ規格
ISO、SOC、GDPRなどに準拠。 - 高度なエンドポイント保護
Microsoft Defender for Cloudを通じて包括的なセキュリティ対策を提供。 - AIベースの脅威検出
Azure Sentinelを利用してサイバー攻撃を迅速に検出し対応。
AWSはインフラ全体の分散性が高く、グローバル規模でのセキュリティ対策に強みがあり、AzureはMicrosoftのエコシステムを活用し、AIや統合セキュリティ機能に特化しています。

AWSとAzureの選び方とおすすめの環境
ここでは、AWSとAzureの違いをふまえて、それぞれがおすすめの環境について解説します。
AWSがおすすめの環境
グローバル対応を重視する場合は、AWSがおすすめです。AWSは245の国と地域で利用可能なため、海外展開に積極的な企業はスピーディにサービスを展開できます。
高度な技術や特定の技術を使用する場合も、AWSが適しています。機械学習やビッグデータの活用などを行いたい場合は、AWSが適しています。
また、AWSには様々な認定資格があり、技術的なスキルや、専門知識を客観的に証明することができます。これにより、エンジニアとしての市場価値を高められるため、多くのエンジニアがAWS認定試験を受けています。AWSの認定試験は、初心者向けの基礎試験から、各分野の専門家に向けた試験まで、幅広いレベルが用意されています。
Awsの技術を習得し、キャリアアップを目指したい方は、以下の記事を参考にしてください。
◆AWS認定ソリューションアーキテクト試験を取得するメリットと勉強法
◆AWS認定資格の難易度や試験内容を一覧で紹介!
Azureがおすすめの環境
すでにMicrosoft製品を多く利用している場合は、Azureがおすすめです。Azureなら、Microsoft製品との連携やクラウドへの移行を簡単に行えます。
さらに、オンプレミスとクラウドを統合して扱いたい場合も、Azureが適しています。Azureではハイブリッドクラウドを提供しているため、オンプレミスとクラウドの両方を一括で管理できます。これにより、柔軟なデータ運用やシステム拡張が用意になります。
Azureにも認定資格制度があり、Azureに関する知識やスキルを証明することができます。また、AWS同様にAzure認定資格は、基礎試験から、高度な専門知識を投資権まで幅広く用意されており、エンジニアとしてのキャリアアップに役立ちます。
Azureのスキルを習得し、認定資格を取得してキャリアを向上させたい方は、以下の記事を参考にしてください。
◆Microsoft Azure認定資格を一覧で解説!難易度や勉強方法は?
◆AZ-104とは?試験の難易度や出題内容、勉強方法を解説!
◆AZ-204の難易度や試験対策方法を解説!
◆AZ-305の難易度はどれくらい?合格のための勉強方法も解説
◆DP-900とは?Azure認定資格の難易度や必須の知識、対策方法を解説!
◆AZ-900とは?試験の概要や対策方法を解説!無料で受験する方法も
◆Microsoft認定資格「AI-900」とは?難易度や出題内容を解説!
注目されているAzureの基本を学んでみよう!
AWSとAzureは、いずれも世界中で利用されているクラウドサービスです。それぞれにメリット・デメリットがあり、近年ではAWSからAzureに移行するケースも増えてきています。
Azureについて効率的に学びたい方には、以下の講座がおすすめです。この講座では、Azureの基本知識や利用開始時につまずきやすいポイント、Azureの運用などについて学べます。AWSの利用経験があり、Azureの概要を短期間で学習したい方はぜひ参考にしてください。
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