マイペースに学び、楽しみながら
多彩な挑戦を続ける

  • 30代
  • ライフコンサルタント、IT講師、AIイラスト作成
  • 会社員
  • Before

    職業 システムエンジニア

    役職 会社員

  • After

    職業 ライフコンサルタント、IT講師、AIイラスト作成

    役職 会社員+学習支援業

取材にご協力いただいた方 別府慶子さん

生成AIの魅力と可能性に気づき、独自のイラスト生成に取り組んでいるのが、別府慶子さんです。
直接、受注したり、画像素材サイトで販売するなど、収益化への道を探っています。
また、子どもたちにAI画像生成を教えたり、ゲームクリエイターとして活動もするなど、多彩な生き方を実現しています。

生成AIを使ったイラスト制作を、趣味で終わらせず本格的な仕事に

「革命に立ち会っている。生成AIが世の中に出てきたとき、そう思いました。かつてパソコンが登場したときのように、最先端だけどみんなが使って、どんどん広がっていく。だから、後からやるのではなく、先にやらなくては。そう思って学んでいます」

鹿児島で昼は会社員として働き、オフタイムで生成AIを使ってイラストを描くなど、いくつかの副業をこなしながら多彩な生き方をしている別府慶子さん。

最先端の世界にも物怖じせず、どんどんのめり込むタイプの別府さんですが、夢中になれる世界を見つけるまでは、苦しい日々がありました。

「SEとして10年ほど働いていましたが、職種的にどうしても残業が多く、30代半ばを過ぎた頃から体力的に続ける自信を持てなくなりました。未来を描くこともできなくなりました」

東京で働いたのち、故郷の鹿児島へ戻って前職と同じSEを続けたものの、労働環境は変わりませんでした。もともと自分が好きだった世界で働いてみようと、デザイン会社へ転職もしましたが、そこでも長時間労働は変わりません。

ならば思い切ってフリーランスに−−そう決心しましたが、いったい何をすべきか……?

「楽しみながら、追求できるものはないだろうか。あれこれ考えているうちに、子どものときに好きだったイラストを描くのが、私に一番合っているんじゃないかなと」

別府さんは、画像生成AIを使ってイラストを描いてみようと考えたのです。

子どもの頃は、イラストはあくまで趣味で、仕事にできるとは考えていませんでした。でも、今の技術なら可能なのではと思ったそうです。

SEやデザイナーをしていたことで、パソコンなどのツールは使い慣れています。さっそく取りかかりました。

SEの経験と絵を描くスキルの組み合わせが独自の強みに

「初めはイメージしたものが出てこなかったり、人物の髪の描写に違和感があるなど、とても使えないものでした」

一瞬で絵が描けるところが、AIによる画像生成の大きな魅力です。しかし、なかなか思った通りにはいきません。

「(生成AIは)外国の情報で学習しているため、日本の『おせち』などを描かせようとしても生成できません」

画像生成AIは有料のものから無料のものまで、いくつもあります。その中から適切なものを探し出し、指示・文(プロンプト)を入れてイラストを何枚も生成し、その中からイメージに近いものを選びます。

それでも思い通りになるわけではありません。

自分が思い描くイラストに近づけるためには、プロンプトの例を調べて試したり、入力する情報を工夫したり、試行錯誤を繰り返さなければなりません。

別府さんの場合、子どもの頃からイラストを描いてきたので、AIで生成したイラストを自分で手直しして、思い通りのイラストに仕上げることができます。

最先端のツールを駆使しつつ、できること、できないことを見極め、最後は自力で仕上げる。SEの経験と、イラストを制作するスキルが組み合わさることで、独自の強みになっているのです。

別府さんのインスタグラムには、緻密に描かれた海や空、城や都心を背景に、ドレスや着物で着飾った女の子のイラストが60枚ほどアップされています。幻想的、SF的ともいえる雰囲気を漂わせた独自の表現です。

かつて趣味でイラストを描いていた頃は、年に1枚ほどのペースでした。ところが今は、修正作業も含めて、週に1枚のペースで描くことができます。

手がけたイラストは、画像素材サイトで販売したり、直接、注文を受けたり、収益化の道も見えてきました。

講師、ゲームクリエイターの顔も。多彩な人生を楽しみ学び続ける

「恐ろしいほどのスピードで進化していて、使う度に精度は上がっています。でも、ものすごく楽しい世界です」

AIによる画像生成の技術は、今もすさまじいスピードで進化しています。ここまで学んだら修了というわけではありません。別府さんは、専門のコミュニティーなどから断片的な情報を収集しつつ、それらを組み合わせ、自分で体系化しながら、より効果的な使い方を探っています。それが今、別府さんが「学ぶ」一つの形です。

自身のそんな体験から、別府さんは「教えること」にも興味が出てきました。そこで始めたのが、子どもたちに最先端の技術をオンラインで教えるサイト「みちらぼ」の講師です。別府さんはそこで「画像生成AIツール」と「Python」の講座を受け持っています。

「『みちらぼ』のいいところが、一家庭単位の料金になっていて、家族なら4人でも5人でも経済的に利用できるところです。親子や兄弟姉妹で、ああでもない、こうでもないとやりとりしている様子が伝わってきて、がんばっているんだなと自分も楽しくなります」

先端技術に囲まれた世界で、どう生きていばいいのか。そんなことも一緒に考えていきたいと別府さんは言います。

別府さんには、ゲームクリエイターの顔もあります。

500人を超えるゲーム製作のコミュニティー「しまぷろ」に属し、その中でも本格的にゲーム製作に取り組む、20人ほどの「実践会」でゲームづくりに励んでいます。

「ボスを倒すゲームもありますし、コイン集めを競うゲーム、障害物を乗り越えてゴールを目指すゲーム、ホラーゲームもあります。みんなが集まれるゲーム空間を作って、そこでPRをすることもできます。すでに自社のPRを始めている企業もあります」

従来のようにゲームを販売して利益を得るだけではなく、ほかにもビジネスで活用できる場面はたくさん考えられるそうです。別府さんはそれを今、模索しているのです。

ゲームづくりには、本格的なオリジナルのゲーム作成ツール「UEFN(Unreal Engine for Fortnite)」を利用していますが、専用のプログラミング言語を勉強すれば、さらにいろいろなことができるようになります。別府さんは、英語のマニュアルと格闘しつつ、ここでもまったく新しい世界を切り拓こうとしています。

「大人の勉強って、目的や課題があって、それをどう達成するか、どう解決するかを考えることだと思います。そのためのトレーニングをずっとやってきましたし、これからも続けていくつもりです」

別府さんは、今は保険会社に就職をして、ライフコンサルタントの顔も持ちます。

ライフコンサルタント(会社員)、画像生成AIイラストレーター、「みちらぼ」講師、そしてゲームクリエイター。4つの顔を存分に楽しみながら、マイペースに学びを続ける別府さんの生き方に、共感を覚える人は多いのではないでしょうか。

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