事業家になる目標を掲げたことで、
前向きな学びを実現

  • 30代
  • デザイナー
  • 経営者
  • Before

    職業 サービス業

    役職 会社員

  • After

    職業 デザイナー

    役職 経営者

取材にご協力いただいた方 廣沢香菜さん

育児と仕事の両立に悩みながら、一念発起してデザインソフトを学び、 デザイナーへと転身を遂げた廣沢香菜さん。
本業ではない依頼も「頼まれることは、自分に向いているはず!」と、 前向きな学びを続け、あるピッチコンテストでは見事優勝を果たしました。
常に挑戦を意識した「学び」で、今も自分の領域を広げています。

自分は本当は何がしたい? ベビーカーを押して通った図書館

「学ぶ前は、何かやらなきゃ!みたいな焦った気持ちで、働き方にも、生き方にも本当に悩んでいました」

エステティシャンとして約10年働き、店長を務めていた廣沢香菜さんが、自分の将来について考え始めたのは、2人めのお子さんが生まれ、いざ仕事に復帰しようとしたときのことでした。

好きだったエステティシャンの仕事に戻ったものの、育児に追われて、出勤できるのは週末のみ。つまりパートタイムでした。以前のようなフルタイムに戻れるのはいつになるのか……、自分のエステサロンを出すまでいったい何年かかるだろう……? 

押し寄せる焦りに、思い切って違う道を探すことにした廣沢さん。その実現のためには、学び直さなければと決意したものの、いったい何をどう学べばいいのか、皆目見当もつかなかったそうです。

「自分は、本当は何がしたいんだろう?」と、まず向かったのが図書館でした。ベビーカーを押しながら通い、気になった本をとにかく読み漁りました。お金もなかったので借りるしかなかったんです(笑)」

日中は家事に育児に手一杯だったため、読書の時間は早朝の30分間と決め、あらゆるジャンルの本を読みまくりました。その中でも衝撃を受けた言葉が、孫正義の「登る山を決めろ」だったそうです。

自分も事業家になりたい。目標ができれば、そこに向かって学ぶことができると、確信できました。

経理とFPの勉強を始めたのは、事業をするには、まずお金の流れを知るべきと考えたからです。早朝は勉強の時間にして、30分から1時間に延ばしました。FPは3カ月で、経理は約1年で資格を取ることができたそうです。

デザインソフトにハマり、クリエイターとして独立

その後、お子さんを実家に預けて、週に一度、パソコン教室へも通い始めましたが、これが廣沢さんにとって大きな転機になります。

「生徒はほとんどがおじいちゃん、おばあちゃん。その中に混ざって、パソコンの電源の入れ方から、マウスの使い方、ワード、エクセルなどを習いました」

事業を始めるにあたり、パソコンの操作は必須のスキルと考えて通い始めたのですが、特に夢中になったのが、名刺やチラシの作り方を教わったときに使われたAdobeのイラストレーターというソフトでした。

「子どもの頃は絵を描くのが好きで、働き始めてからもお店の中でPOPを描いたり、チラシを作ったりするのが私の役割でした。『こんなにすごいソフトがあるんだ』と、がぜん使ってみたくなったんです」

パソコンやイラストレーターの専門書を購入し、独自に勉強を続けたところ、いつのまにかパソコン教室の先生よりも詳しくなっていたそうです。

クリエイターとしてやっていこう。2020年、デザインの仕事で事業家になると決心しました。問題はどうやって仕事にしていけばよいのか。きっかけは意外なところにありました。

「経営者のコミュニティーに飛び込んでみたんです。まだ自分は何も始めていないのに、周りはすでに事業をやっている人ばかり。ひどく場違いに思え、最初は緊張のあまり、じんましんが出たほどです(笑)。でも、勇気を出してみなさんに声をかけてみると、いろいろ教えていただいたり、励ましてくれたり……」

話をしているうちに、廣沢さんがイラストレーターの勉強をしていると知った経営者の人たちから、チラシの制作や、名刺のデザインといった依頼が入り始めたのです。ほかにも、コミュニティーで開催するイベントのサムネイルを作ってほしいという依頼も入ってきました。

要望に応えるため、廣沢さんはさらにイラストレーターを詳しく学び始めました。中でも役立ったのは、多くの講座があるUdemyだったそうです。

「(ソフトウエアは)どんどん進化するので、書籍で学ぼうとしても追いつかなくなってしまいます。その点、Udemyでは講座そのものが更新されて、最新の情報が学べました」

司会、企画、なんでも挑戦、人はいつからでも何にでもなれる

コミュニティーへの参加は、別の道を切り拓くきっかけにもなりました。廣沢さんに、イベントの司会もやってほしいという依頼が入ったのです。

「驚きましたし、人前でしゃべるなんて、自分にはとてもできない。最初はそう思いましたが、頼まれるということは、きっと自分に向いているはず。そう無理矢理、自分に言い聞かせて引き受けることにしました」

実際にやってみると案の定、苦労しました。話をしているうちに息が切れてしまい、最後のほうは酸欠で危うく倒れそうになったとか。

「息をどこで吸うのか、わからなかったんです」

しかし、そこでもうこりごりとあきらめるどころか、廣沢さんはボイストレーニングを始めます。その後もイベントの司会や進行などを頼まれる機会がありましたが、廣沢さんはそのたびに堂々と話せるスキルを発揮し、自分のものにしていきました。そしてそれがピッチコンテストへの参加もつながっていったのです。

2023年末、ランサーズの「Lancer of the Year 10th Anniversary」の企画の一つとして「フリーランス・イノベーション・ピッチ」が開かれました。「『世の中に広める価値がある』と信じるもの」をテーマに5分間スピーチをするのです。廣沢さんは「自慢しかできないSNS『BOAST BOX』」のアイディアを披露しました。

「みなさんたくさんいいものを持っているのに、それを出し切れずに本当にもったいない。もっともっと出してほしい。そこで『自慢しかできない場所』を作りたいと思いました」

新しく何かを始めたいと考えているのに、なかなか踏み出せない。そんな人にたくさん出会ってきました。廣沢さん自身もそうでした。謙遜する文化を手放し、自信を持ち、お互いを讃える世界を作りたい。自信を芽生えさせ、幸せを共有するプラットフォームのアイディアのスピーチは見事、大賞を受賞しました。

2023年初め、廣沢さんは、クリエイターがいつでも学べたり、困ったときに助け合えたりできるオンラインの場を作るために、合同会社「theC」を立ち上げました。この事業にも、「自慢しかできないSNS『BOAST BOX』」と同じ想いが込められています。

「今から始めて何になるの? 私自身の中にもそんな心の声がありました。でも、カーネル・サンダースがケンタッキー・フライドチキンを立ち上げたのは60代になってから。いつでも始められます。何でもできます。むしろ、好きなこと、やりたいことでなければ続かない時代だと思います」

theCのトップページの言葉が「いつでも、どこにいても、新しいことに挑戦できる」。自信を持てない人のために、たくさんいいところを見つけてあげたいと、廣沢さんはコーチングやトレーナーの勉強をしたいと語っています。

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