学びで得た「ゆとり」を、さらなる学びの原動力に

  • 30代
  • ライター
  • フリーランス
  • Before

    職業 プログラマー

    役職 会社員

  • After

    職業 ライター

    役職 フリーランス

取材にご協力いただいた方 ことのは舎さん

好きだった「書く」ことを仕事にしたい。 「ことのは舎」としてライター活動をする崎山さんが、思い切ってフリーランスになったのが2021年のことです。 でも、最初の報酬は500円!?
仕事の探し方・応募の仕方を研究し、書くスキルを磨き、つながりを作って、徐々に収入を伸ばしていきました。
崎山さんにとって、「学ぶ」こととは自分を新しいステージに引き上げてくれることだそうです。

子どもの頃から好きだった「書く」ことを仕事に

「もっと自分らしく働ける方法はないだろうか。モヤモヤしながら考えていたとき、ふと、書くことを仕事にしたい、という子どものときの気持ちを思い出したんです。形にするんだったら今しかないと」

高知を拠点に、「ことのは舎」としてライターを務めているのが崎山さんです。

高知生まれの高知育ち。地元が好きで、子育ても高知でと決めていました。

そんな郷土愛の強い崎山さんは、子どもの頃から読むことや書くことが大好きだったそうです。

小学校では図書館にこもりっきりで、先生から「外で遊ぶように」と指導されました。通学途中も二宮金次郎のように本から目を離さず、理解あるお母さんからもさすがに「危ないからやめなさい」と注意されました。

大人になるといったんは東京のIT企業に就職しましたが、やはり地元が恋しいと高知のコンサル企業に転職。パンフレットや出版物の担当者になり、人の原稿を読んだり、直したり、自分でも書いたり、気がつけばそんな世界で仕事をしていました。

転機が訪れたのが、2人目のお子さんが生まれたときです。会社勤めと子育ての両立が難しくなり、在宅で、好きな「書く」ことで生計を立てられないか、そう考えました。

「これからは子どもが大きくなってお金がかかるし、フリーランスのような不安定な職でいいのだろうか。でも、このチャンスを逃したら……」

悩んだ末にご主人に相談すると、「楽しくやれるんだったらいいんじゃない」とあっさりと賛成されて、拍子抜けするほどだったそうです。

2021年6月1日、崎山さんは「ことのは舎」として、クラウドソーシングサービスを提供しているランサーズに登録、フリーランス・ライターとして出発しました。

あらゆるライター講座を学んで報酬アップ

さっそく崎山さんは、ランサーズの依頼欄を見て応募しますが、当然のことながら、仕事を受注するのは簡単ではありません。

「最初の月の報酬は500円!のみ。単価はものすごく低く、こんなにがんばって書いたのに……と落ち込みました」

およそひと月、そんな調子でもがきましたが、2カ月目になると、自分のやっていることが冷静に見えてきました。

「応募時は『絶対にこの案件を取るぞ!』とテンションだけが上がっていたんですね。熱意が空回りしていたんです」

募集内容に「誤字脱字のない正確な文章を求めています」とあれば、それをアピールする方法を考えなければなりません。専門分野の文章を求めているのであれば、実績を示すなど、相手が納得できる根拠を示す必要があると気がつきました。

もう一つ欠かせなかったのが、「学ぶ」ことです。ランサーズの「新しい働き方LAB」の研究員となって「月5万円稼げるようになる」ことをテーマに掲げ、Udemyで学び始めたのです。

崎山さんは、初心者向けのライター講座をはじめ、PREP法など文章を書くための「型」の講座、早く文章を書くコツを教える講座をはじめ、SEOライティングや、インタビューライティングなど、独自のスキルを磨ける講座を次々と受講しました。

「子どもたちが保育園に行っている朝9時から夕方4時までに全精力をかけて勉強しました。夕方からは食事の準備、子どもの入浴や寝かしつけなどで、あっという間に時間が過ぎてしまいますから」

講座の内容もさることながら、講師が共通して語っていたことが参考になったそうです。

「お客さまは2種類いるということ。それは、案件をくださるお客さまと、文章を読んでくださる読者の方々です。2通りの視点から、文章がどう見えているのかを考えることが大事だと学びました」

崎山さんの独自のノートの取り方も、「学ぶ」効果を大きく上げているようです。

聞いたこと、覚えたことを、いったん自分の頭の中でかみ砕き、整理したのち、相関図、フロー図など、内容にふさわしい「図」にして表します。自分なりの理解が進み、記憶にも残りやすくなります。

そうするうちに徐々に仕事が増えていきました。学び始めて3カ月ほどで報酬は目標の月5万円を超えました。その年の年末には月10万円を突破、それから1年が過ぎた2023年からは月30万円ほどにまでなっていました。

現在、崎山さんは、リフォーム、家事代行業、WEBマーケティング、あらゆる分野のライティングに取り組んでいます。

まったく未知の分野の依頼が入ることもありますが、そのときもUdemyで学び、新しい世界を開拓するようにしているそうです。

ラジオ配信、Udemy講師も開始、学ぶことで新しいステージへ

2023年夏から、崎山さんはインターネットラジオのStand.fm(スタンドエフエム)で、ラジオの配信を始めました。

「フリーランス“日進一歩”ラジオ」では、その名の通り、仕事の見つけ方をはじめ、時間の使い方、自分の価値の表し方、なかには無茶振りクライアントとどう付き合うかなどなど、フリーランスにとってありがちな問題について、崎山さんの体験をもとに解決策を提示しています。

崎山さんは、2023年秋からは、Udemy講師としても活動を開始しました。

「『子育てしながら、在宅の仕事をどうやって両立させているんですか?』と聞かれることが増え、どこか答える場はないかなと探していたんですが、ちょうどランサーズでUdemy講座を製作するプロジェクトがあると聞き、すぐに応募しました」

数カ月の格闘の末に作り上げた講座が、「【仕事効率5倍!】フリーランス・副業のための時間+タスク管理術」です。

時間を上手に管理して仕事をこなしていくコツを、崎山さんが実際に使っている「ワークシート」を用いて覚えていく内容です。

ドキドキしながらアップすると、実際に受講してくれる人が現れ、驚き、大喜びしました。

現在、崎山さんは、次の講座「覚えてもらう営業スタイル」も制作中です。売り込むのではなく、向こうから仕事が舞い込んでくる、そんな仕組み作りについて解説するつもりだそうです。

「新しいスキルを身につけたら、それを使ってみたくなります。うまくやれるようになって『余白』ができると、私はこのままでいいのかな、もっと新しい知識をとり入れたほうがいいんじゃないのかなと、焦り始めます。それが「学ぼう」という意欲になり、実際に学べば、新しいステージにあがれるように思えるんです」

フリーランスは、何もかも自分で切り拓いていかなければなりません。「ゆとり」や「余白」に安心するのではなく、「ゆとり」や「余白」を学ぶ意欲に変えているところに、崎山さんのフリーランス・ライターとしての覚悟が表れているようです。

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