仕事が楽しいと思える人を増やすべく、
DX関連の学びを深める

  • 40代
  • ITコンサルタント
  • 経営者
  • 転職前

    職業 開発・マーケティング

    役職 会社員

  • 転職後

    職業 ITコンサルタント

    役職 経営者

取材にご協力いただいた方 高橋宣成さん

プログラミングのスキルで1週間の仕事をわずか2日に。
喜ばれ、感謝されたことで仕事の意義を改めて考えるようになったという高橋宣成(のりあき)さん。
2015年に独立。革新がめざましい世界で自ら「学び」続けながら、業務効率化を支援するとともに、個人のスキル向上のためにノンプロ研究会や組織へのDX浸透を図るノンプロ協会も運営。
一人でも多くの人に、仕事の喜びを伝えるべく、日々自身の学びを続けています。

Excel VBAで1週間の仕事が2日に!?

「どうしてこんなに苦しい思いをして人生を費やさなきゃいけないのか。それが会社員になって最初に強く感じたことでした」

福岡県糸島市の株式会社プランノーツ代表として、ITによる業務効率化支援のため、研修やセミナーを精力的にこなしている高橋宣成(のりあき)さん。
プログラミングを学び合う場としてノンプログラマー研究会の運営や、組織へのDX浸透を加速させるための一般社団法人ノンプログラマー協会の代表理事なども務めています。

現在、さまざまな事業で忙しい日々を過ごしていますが、会社員になりたての頃は、自分も周りもいやいや働いている人ばかり……。働く意味がまったくわからなかったそうです。

「ブラック企業に入ったときは本当にしんどかった。40歳手前に差しかかったところで、これからどうやって『働く』ことと向き合っていけばいいのか、考え込んでしまいました」

転職も連敗続きで落ち込むばかり。ただ、面接のたびに聞かれた「プログラミングのスキルはありますか?」という問いにハッとしたそう。
「毎日遅くまで残業していた同僚は、Excelの作業に苦心しているようでした。そうだ、プログラミング言語VBAを使えば、Excelの作業を自動化できるかもしれない」

高橋さんはVBAを実務で使うために独学を始めました。実践してみると、1週間かかっていた作業が、なんとわずか2日で終わらせることができました。同僚は驚き、大喜びしてくれました。

「非IT職でも仕事のあり方を変えていけるんだと気づきました。何より、自分の意志でがんばったことで、初めて周りの皆さんに感謝された。これはすごい! 仕事ってきっとこういうことなんじゃないかと思ったんです」

課題に向き合いながら、コミュニティーや協会も設立

その後も、高橋さんはVBAでほかの業務の自動化も進めました。すると、部署で恒常化していた残業がすっかりなくなってしまったそう。これでビジネスが成立するのでは……。

高橋さんが株式会社プランノーツを立ち上げたのは、2015年6月。DX推進の先駆けでした。
営業に苦戦しつつも、コツコツと仕事をこなしていくうちに、やがて一人でプログラミングをしていても、本当の解決にならないことに気がついたそうです。

「業務は一時的に効率化しますが、中身は私にしかわかりません。いずれ改修する必要が出てきたとき、どうするのか」

企業内にプログラミングできる人材が、ぜひとも必要と気がつきました。ただ、独学では多くの人は挫折してしまうし、かといって講師について学べばお金がかかってしまう……。

「悩んでいた頃、当時流行っていたオンラインサロンの存在に気がつきました。オンラインで人を集めてコミュニティーを作り、メンバー同士で交流をしながら、学び合う仕組みにすればよいのでは、と」

こうして2017年に、学習コミュニティー「ノンプログラマーのためのスキルアップ研究会」(以下、ノンプロ研)を立ち上げました。
会費を支払って会員になれば、オンラインでプログラミングに関する情報交換や、定例会や専門に分かれた文科会などのイベントにも参加できるだけでなく、プログラミングのスキルを磨きながら講師として人に教えるチャンスも。現在、ノンプロ研の会員は180名ほどにのぼっているそうです。

これでDXが進んでいくと考えたものの、まだ何かが足りませんでした。
というのも、ノンプロ研で身につけたスキルを、いざ発揮しようとしても、それができない会社が圧倒的に多かったのです。

そこで高橋さんは、職場側の意識やあり方も変えるべく、2021年6月に、ノンプログラマー協会を立ち上げました。
ノンプログラマー協会では、組織を対象に情報交換や調査研究を行っていますが、中でもめざましい成果を上げているのが「越境学習支援プロジェクト」です。

企業が「ノンプロ研」に社員を派遣して、社員にプログラミングの習得をしてもらいます。自分の組織とアウェーの環境を行き来しながら、自らの変化や「冒険する力」をつけることでイノベーションを起こせる人材育成を目指しています。

仕事でうれしい体験をする人を増やしていきたい

ITによる業務支援から、個人のスキルアップ、さらに組織の啓蒙へ……。高橋さん自身が取り組む事業の変化とともに、自身が「学ぶ」内容も変わってきました。
当初はExcel VBAの習得に力を入れ、プログラミング言語のPythonなども独学で学びました。特に役立ったのがUdemyでした。

「たとえば、Pythonは最初のステップを教える入門書やWeb記事はけっこうあっても、特定のライブラリーを体系的に詳しく知りたいと思ったとき、有名なもの以外はなかなか見つかりませんでした。でも、Udemyで検索するとあるんですね。すごく助かりました」

最近、注目を集めているノーコード、ローコードについてもUdemyならば豊富な講座があり、最新情報が得られたそう。

高橋さんは、ノンプロ研を立ち上げると、効果的に学ぶための学習設計方法--インストラクショナルデザインを学び、ノンプロ協会を設立したときは、越境学習を学びました。

今も学び、発信するという、インプットとアウトプットを続けています。起業前に始めたブログは、現在、Voicyを用いた音声配信に。これは、プログラミングを学びたいと明確な意志を持つ人だけでなく、意識していない人にもDXの重要性を伝えたいからだそう。

さらに、高橋さんのアウトプットとして注目すべきなのが、書籍の出版です。

『Excel VBAを実務で使い倒す技術』(2017年4月、秀和システム)は、属人的になりがちなExcel VBAのプログラミングを、誰もが使いやすく、チームで取り組めるようにしたもの。
『詳解! Google Apps Script完全入門』(2018年1月、秀和システム)は、Google Apps Scriptについての本格的な解説書の先駆け。2021年8月には『Pythonプログラミング完全入門 ~ノンプログラマーのための実務効率化テキスト』も出版。いずれも高橋さん自身が、Excel VBAやGoogle Apps Script、Pythonを学び、課題を解決してきた実体験がベースとなっています。
2023年7月には『デジタルリスキリング入門――時代を超えて学び続けるための戦略と実践』(技術評論社)を上梓。個人のリスキリングの取り組み方から、組織の戦略作りまで、まさに高橋さんが取り組んできたことの集大成といえます。

「非IT職--ノンプログラマーがITスキルを身につけてこそ、社会は発展していきます」と、高橋さんは言います。
「ITが活用される現場とは、医療の現場だったり、建築だったり、学校だったり……。それぞれ重要な課題を持っています。そこで働く人たち--ノンプログラマーの皆さんが、本職のITエンジニアの人たちとタッグを組んで、初めて困難な課題を解決していくことができます」

最後に、高橋さんへこれからの目標を聞いてみました。
「まだまだDXで発展していける仕事の現場は存在します。課題が解決できれば満足感は計り知れません。これからも、仕事でうれしい体験をする人をもっともっと増やしていきたいです」

注目の講座

おすすめ記事

×