高い視点からの学びを通して、
あらゆることの「最適解」を見出したい

  • 30代
  • エンジニア
  • 正社員
  • Before

    職業 マーケティング

    役職 正社員

  • After

    職業 エンジニア・PM

    役職 正社員

取材にご協力いただいた方 安井梨沙子さん

学生時代からプログラミングや動画制作を学び、デジタルコンテンツ製作を仕事にしたいと希望していた、安井梨沙子さん。
ベネッセコーポレーションに入社後、マーケティング部門を経て、希望通り開発部門へ異動。現在はプロジェクトマネージャーとしてデジタル教材の開発に携わっています。
企画、開発など、立場の異なる人々とどのように的確なコミュニケーションを取っていくか。安井さんの学びの内容も大きく変化してきました。

モノづくりを仕事にしたいという強い思いで開発部門へ

イラストや動画制作、プログラミングに興味を持っていた安井梨沙子さんが進学先に選んだのは、プログラミングとデザインを学べる九州大学芸術工学部芸術情報設計学科でした。

大学ではiOSアプリやUnityでのゲームアプリの開発に没頭し、卒業後もデジタル教材の開発に携わりたいとベネッセコーポレーションに就職しましたが、最初に配属されたのはマーケティング部門だったそうです。

「中学生向け教材のダイレクトメールの企画・制作を担当することになりました。マーケティングについてはきちんと学んだことがなかったので、体系的に学ぶ必要があると考え、マーケティング・ビジネス実務検定の受験を決意しました」

企画提案をする際、裏付けとなる理論を学びたいと考えた安井さんは、専門書を購入。仕事に追われる中、通勤時間や業務終了後の時間を使って学習を続けました。約半年で資格を取得できたのは、目標としての資格取得があったこと、そして、仕事での企画検討会議など、学んだことをアウトプットする機会があったからだそうです。

入社4年目、安井さんは社内公募制度を活用して開発部門への異動を希望します。

「やはりモノづくりに関わりたいという思いが強かったのです。マーケティング部門でも、デジタル領域やSNS運営など、開発につながる仕事には積極的に手を挙げるようにしていました」

ここでも勉強の日々は続きます。

「とにかく(プログラミングの)知識がなければ何も進められません。仕事をしながら常に学び続けている状態でした」

幸いにも、先輩方が各言語や工程に関する専門書やUdemyの講座を教えてくれたので、迷うことなく学習を進められたそうです。

やがて安井さんは「こどもちゃれんじ」の動画教材のWeb開発に携わるようになり、設計/製造/テスト等の開発業務に従事するようになります。その際もUdemyを活用しましたが、会社で自由に利用できたため、興味のある講座を見つけては目を通し、その中から自分に合ったものを探し出して学べたことが良かったと振り返ります。

PMとして、部門内外のあらゆる立場の人々の理解を深める

現在、安井さんは中学生向けデジタル教材開発のプロジェクトマネージャーを務めており、新たな「学び」に挑戦しています。

まず、プロジェクトマネジメントについて体系的に学ぶべく国際資格であるPMP(Project Management Professional)の取得を目標に定めて現在学習中。目標設定と期限を決めて実践と並行で自らを追い込む学習方法は、マーケティング資格取得時の経験に基づいています。

安井さんが担当しているのは、1年以上の期間をかけて開発するウォーターフォール型のプロジェクトです。その名の通り、水の流れのように各工程の開発を計画的に順を追って進めていく手法ですが、同じ開発部門内には、アジャイル型でアプリを開発しているグループも存在します。短期間でアプリを形にし、実際のユーザーに使ってもらいながら、素早く改良・改善を重ねていく手法です。

「当初、ウォーターフォール型しか知らなかった頃は、アジャイル型の人々の動きに焦りを感じたり、進捗状況が気がかりだったりしました。しかし、書籍で学ぶことで、アジャイル型の理念やメリット、特有の進め方が理解できるようになり、打ち合わせで使われる言葉の真意も『なるほど、そういう意図だったのか』と腑に落ちるようになりました」

ウォーターフォール型とアジャイル型、手法は異なれど、学習する子どもたちにとっては同じ教材です。操作性をはじめとする統一感は不可欠です。お互いの理解を深める必要性を感じ、学びを深めました。

全方位的に考察した上で、「最適解」を見出したい

同じ開発部門内でさえ意思疎通に苦慮するのですから、異なる部門間でのコミュニケーションはさらに難易度が増します。安井さんがプロジェクトマネージャーを務めるプロジェクトには、開発部門のメンバーに加え、企画や営業などの事業部門のメンバーが多数関与します。

プロジェクト開始時に要件定義書を作成し、企画担当者の要望に沿って開発を進めますが、完成してみると「思っていたのと違う」ということは珍しくありません。

「共通言語がなく、伝わっていると思っていても十分にすり合わせができていなかったり、あとになって問題が発覚するリスクは大いにあります」

そこで安井さんは、完成品に近いイメージのプロトタイプを早期に用意し、企画と開発の間で同じビジョンを共有できるよう工夫しました。自らUdemyでプロトタイプ作成ソフトの使い方を学び、企画担当者や新人向けの研修も実施するようにしました。

企画側に必要なデータをあらかじめわかりやすく提示することも、立案に役立つはずです。

「子どもたちが教材をどのように使ったか、どんな反応を示したかなど、学習履歴やログデータを可視化すれば、企画にも活かせるはずです。開発としてそのようなデータを見やすくする工夫も行っています」

開発側にとっては、ユーザーリサーチが問題点の発見に役立ち、よい刺激にもなります。時には開発中の製品を一般の人に使ってもらい、感想を聞くこともあります。

「生活している環境が違う大人と子どもでは画面上での気になる観点も異なります。UI/UXを社内で検討した上で、必ず子どもや保護者の方に使ってもらい感想を聞くことがとても大切です。」

ユーザーは、開発側の意図通りに教材を使うわけではありません。開発側とユーザーの意識のギャップに驚きつつ、それを理解し、修正を加えていきます。

現在、安井さんが読む書籍は、仕事に直結する専門書はもちろん、歴史や哲学、社会の仕組みや成り立ちに触れたものまで、多岐にわたります。

その理由の一つは、立場の異なる人々を理解し、円滑なコミュニケーションを図りたいから。もう一つは、当たり前のように存在する世の中の仕組みを一度疑い、見つめ直したいと考えているからです。

「顧客の課題解決をする上で、営業、企画、そして開発メンバーは共創する必要があります。それぞれのプロフェッショナルが力を合わせていく過程で、自身が幅広い領域の知識を知り架け橋となることで、スピード感を持って議論を深めることができればと思っています」

あらゆる立場の人々を理解しつつ、あらゆる仕組みを見直しながら、「全方位的」に課題解決を図っていきたい。仕事でも家庭でも、もちろん社会全体でも、課題は山積みです。安井さんの「学び」は、これからも終わることなく続いていくのでしょう。

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